97 / 105
97.難しいけど、仲良しがいい
しおりを挟む
夢の中で、精霊と遊んだ。手も足もある精霊と転げ回るの。僕やルミエルがしているのと同じだよ。女の子も男の子もいるけど、皆どちらでもないんだって。難しいね。でも笑顔だった。
寝転んで戯れて、いつもより大きい精霊と遊ぶ。前は指先で光ってる大きさだったけど、今は僕の手を広げたくらい。光になったり、人の姿になったりしながら、触れるだけで嬉しいの。いなくなったかと思ったから。
最初は同じ色で光っていた精霊が、それぞれに色が変わった。赤、青、黄色、緑、白、黒いのもいる。撫でると嬉しそうだった。精霊は言葉を使わない。でも嬉しいのはわかるよ。メリクと同じで伝わってくるの。
夢の中は広い場所で、遠くは何も見えなかった。白い感じで、僕の周りは金色なの。目の色と同じって笑ったら、皆も笑ったみたい。ふわふわして優しい場所だった。
精霊は色に合わせて姿を変える。赤いのは髪の毛が燃えてるし、青いのはお水みたい。緑は柔らかな葉っぱで、白が風だった。黒もメリクの星の世界みたいで、温かいのが黄。
他にも薄い色や濃い色が混じっている。皆は生まれ変われて嬉しいという。生まれ変わりは知らないけど、痛かったり怖かったりしないなら良かった。
「イル」
「うん」
メリクの声だ。答えた途端に目が覚めた。ぱちりと開いた目に、いっぱいの精霊が見える。その中でメリクが笑って手を伸ばした。僕も手を伸ばして、抱き上げてもらう。
「ゆめ、みたの」
ぽつりぽつりと、上手じゃないけど。絵本を読み聞かせしてくれるメリクを真似て、感じたり見たりしたことを話した。精霊の光の中に、シュハザやルミエルもいる。サフィとゼルクが手を伸ばして、僕の黒髪を撫でた。
精霊の話を終えると、皆が驚いた顔をする。創造が、とか。変革が、とか。前にも同じ言葉を聞いたけど、あの時より柔らかい声だった。
「イルは精霊をいっぱい作った。とても凄いことなんだぞ」
「すごい……?」
「ああ、ここにいる誰も出来ない凄いことだ。頑張ったな、イル。ありがとう」
メリクの声に、皆のありがとうが重なった。嬉しいな。僕が皆にお礼を言われるなんて、本当に凄いことだったんだね。なんだかムズムズする。
「精霊の色が違うのは、特性が決まったからでしょうか」
難しそうな話をするシュハザに、ゼルクが肩を上に動かした。すぐに戻して笑う。
「精霊が生まれ直すことが変革とはね。それもボスの愛し子が簡単にやってのけちまった。恐れ入ったもんだ」
「違うと思うわ。変革のタイミングで、ちょうどイルちゃんが生まれたのよ。それで彼女だから、精霊は産まれ直す選択をした……そう思うわ」
サフィも難しい言葉をたくさん使う。でも嫌な感じはないから、僕はメリクに頬をくっつけた。嬉しいってたくさん伝えたいの。
「何にしても、イルちゃんのお手柄だわ。それだけは間違いないもの」
ルミエルが言い切ったら、ゼルクが額をつついた。
「何を威張ってんだよ。お前の手柄じゃねえだろ」
ケンカ? 心配したけど、ルミエルはゼルクを蹴飛ばしてから、僕にひらひらと手を振った。違うみたい。良かった。皆、仲良しがいい。
寝転んで戯れて、いつもより大きい精霊と遊ぶ。前は指先で光ってる大きさだったけど、今は僕の手を広げたくらい。光になったり、人の姿になったりしながら、触れるだけで嬉しいの。いなくなったかと思ったから。
最初は同じ色で光っていた精霊が、それぞれに色が変わった。赤、青、黄色、緑、白、黒いのもいる。撫でると嬉しそうだった。精霊は言葉を使わない。でも嬉しいのはわかるよ。メリクと同じで伝わってくるの。
夢の中は広い場所で、遠くは何も見えなかった。白い感じで、僕の周りは金色なの。目の色と同じって笑ったら、皆も笑ったみたい。ふわふわして優しい場所だった。
精霊は色に合わせて姿を変える。赤いのは髪の毛が燃えてるし、青いのはお水みたい。緑は柔らかな葉っぱで、白が風だった。黒もメリクの星の世界みたいで、温かいのが黄。
他にも薄い色や濃い色が混じっている。皆は生まれ変われて嬉しいという。生まれ変わりは知らないけど、痛かったり怖かったりしないなら良かった。
「イル」
「うん」
メリクの声だ。答えた途端に目が覚めた。ぱちりと開いた目に、いっぱいの精霊が見える。その中でメリクが笑って手を伸ばした。僕も手を伸ばして、抱き上げてもらう。
「ゆめ、みたの」
ぽつりぽつりと、上手じゃないけど。絵本を読み聞かせしてくれるメリクを真似て、感じたり見たりしたことを話した。精霊の光の中に、シュハザやルミエルもいる。サフィとゼルクが手を伸ばして、僕の黒髪を撫でた。
精霊の話を終えると、皆が驚いた顔をする。創造が、とか。変革が、とか。前にも同じ言葉を聞いたけど、あの時より柔らかい声だった。
「イルは精霊をいっぱい作った。とても凄いことなんだぞ」
「すごい……?」
「ああ、ここにいる誰も出来ない凄いことだ。頑張ったな、イル。ありがとう」
メリクの声に、皆のありがとうが重なった。嬉しいな。僕が皆にお礼を言われるなんて、本当に凄いことだったんだね。なんだかムズムズする。
「精霊の色が違うのは、特性が決まったからでしょうか」
難しそうな話をするシュハザに、ゼルクが肩を上に動かした。すぐに戻して笑う。
「精霊が生まれ直すことが変革とはね。それもボスの愛し子が簡単にやってのけちまった。恐れ入ったもんだ」
「違うと思うわ。変革のタイミングで、ちょうどイルちゃんが生まれたのよ。それで彼女だから、精霊は産まれ直す選択をした……そう思うわ」
サフィも難しい言葉をたくさん使う。でも嫌な感じはないから、僕はメリクに頬をくっつけた。嬉しいってたくさん伝えたいの。
「何にしても、イルちゃんのお手柄だわ。それだけは間違いないもの」
ルミエルが言い切ったら、ゼルクが額をつついた。
「何を威張ってんだよ。お前の手柄じゃねえだろ」
ケンカ? 心配したけど、ルミエルはゼルクを蹴飛ばしてから、僕にひらひらと手を振った。違うみたい。良かった。皆、仲良しがいい。
76
お気に入りに追加
1,395
あなたにおすすめの小説
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。

継母の品格 〜 行き遅れ令嬢は、辺境伯と愛娘に溺愛される 〜
出口もぐら
恋愛
【短編】巷で流行りの婚約破棄。
令嬢リリーも例外ではなかった。家柄、剣と共に生きる彼女は「女性らしさ」に欠けるという理由から、婚約破棄を突き付けられる。
彼女の手は研鑽の証でもある、肉刺や擦り傷がある。それを隠すため、いつもレースの手袋をしている。別にそれを恥じたこともなければ、婚約破棄を悲しむほど脆弱ではない。
「行き遅れた令嬢」こればかりはどうしようもない、と諦めていた。
しかし、そこへ辺境伯から婚約の申し出が――。その辺境伯には娘がいた。
「分かりましたわ!これは契約結婚!この小さなお姫様を私にお守りするようにと仰せですのね」
少しばかり天然、快活令嬢の継母ライフ。
▼連載版、準備中。
■この作品は「小説家になろう」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる