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73.お前のせいだぞ!
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メリクと一緒にいると、重いのが消えていく。僕に見えるメリクは何かがくっついてる。それが消えて軽くなった感じだ。メリクが痛くなさそうで良かった。
たくさん近くにいたら、きっと全部消えるよね。そう思うから、抱っこも手を繋いで歩くのも楽しかった。
「お前のせいだぞ!」
花を眺めていた僕に、突然話しかける人が来るまで。僕は何も知らなかった。その人は赤い髪だけど、目の色は緑色だ。こないだの夢の人とは違う。でも似ているな、と思った。
「お前が現れたから、だから……リザベル様がっ!」
僕に向かって光る何かを振り翳した。精霊が大騒ぎして集まってくる。それを振り払うように乱暴に手を動かした男の人は、僕に光を突き立てた。ちくっとする。でも叩かれた時より痛くないや。
にゃーが突進して、男の人を引き離す。刺さった光はそのままだけど、僕は迷いながら手を触れた。これは抜いた方がいいと思う。メリクが見たら、きっと泣いちゃうから。
「もう泣きそうだ。痛いか、イル」
僕より痛そうな顔をするメリクが、そっと抱き上げた。刺さった光を自分で引っ張る。ぽんと抜けた。先が刺さる形だけど、棒みたい。
「っ! イル? 本当に、痛くないのか?」
僕の気持ちが通じたみたいで、メリクは不思議そうな顔をする。僕が知ってるのは、綺麗な花を摘んだら手に何か刺さった時だけ。にゃーが舐めて取ってくれた。取れるまで痛かったけど、この棒は平気だよ。
最初だけちくっとして、後は全然痛くなかった。だから平気と頷く。メリクは僕が握った棒を受け取る。そうしたら、メリクの手がじゅっ! と痛そうな音を出した。
「メリク、やっ!」
痛いのやだ! 痛いと感じたメリクの気持ちが僕に伝わる。すぐに棒を捨てたけど、手は赤くなっていた。ぽたりと赤い血が垂れる。
「う、わぁああん」
泣いても仕方ないのに、メリクの手が赤いのが怖くて。痛そうで、涙と声が溢れた。鼻を啜りながら目を擦り、メリクの手に顔を寄せる。
「イル?」
呼ぶ声に返事をせず、ぺろりと舐めた。慌てて手を引っ込めるメリクの腕を掴んで、もう一度舐める。だって、僕の手にチクチクが刺さった時、にゃーが舐めたら取れた。きっとこの痛いのも、舐めたら消えると思う。
「イル、大丈夫。少ししたら消えるから」
話すメリクの声は優しい。でも心配だった。顔を上げた僕の目に、にゃーが飛ばされるのが見える。転がるにゃーが立ち上がり、睨みつけると男の人が燃えた。
「侵入者ですって? よくも私のメンツを潰してくれたじゃない」
ルミエルが空に浮いていて、でも背中に羽がない。そのまま男の人を指差して何かしたら、消えてしまった。目を見開く僕に、メリクが「何もなかった」と言いながら手で隠す。その手にあった傷は、もう残ってなかった。
「おてて、なおった?」
「ああ、痛いのもイルのおかげで消えた」
安心して大きく息を吐いたら、体が動かない。変なの。
「ルミエルやにゃーが助けてくれたから、後でお礼を言おうな」
「うん」
頷いて、家の中に入る。もうここは安全じゃないとか、もっと頑丈にしようとか。メリクは呟きながら、僕の黒髪を撫でてくれた。
僕、あの人に何かしたのかな。僕のせいだって叫んでいた。それが気になって、僕は自分の親指を咥えて唇を尖らせる。泣きたくなった僕に、メリクがたくさんのキスをくれた。
たくさん近くにいたら、きっと全部消えるよね。そう思うから、抱っこも手を繋いで歩くのも楽しかった。
「お前のせいだぞ!」
花を眺めていた僕に、突然話しかける人が来るまで。僕は何も知らなかった。その人は赤い髪だけど、目の色は緑色だ。こないだの夢の人とは違う。でも似ているな、と思った。
「お前が現れたから、だから……リザベル様がっ!」
僕に向かって光る何かを振り翳した。精霊が大騒ぎして集まってくる。それを振り払うように乱暴に手を動かした男の人は、僕に光を突き立てた。ちくっとする。でも叩かれた時より痛くないや。
にゃーが突進して、男の人を引き離す。刺さった光はそのままだけど、僕は迷いながら手を触れた。これは抜いた方がいいと思う。メリクが見たら、きっと泣いちゃうから。
「もう泣きそうだ。痛いか、イル」
僕より痛そうな顔をするメリクが、そっと抱き上げた。刺さった光を自分で引っ張る。ぽんと抜けた。先が刺さる形だけど、棒みたい。
「っ! イル? 本当に、痛くないのか?」
僕の気持ちが通じたみたいで、メリクは不思議そうな顔をする。僕が知ってるのは、綺麗な花を摘んだら手に何か刺さった時だけ。にゃーが舐めて取ってくれた。取れるまで痛かったけど、この棒は平気だよ。
最初だけちくっとして、後は全然痛くなかった。だから平気と頷く。メリクは僕が握った棒を受け取る。そうしたら、メリクの手がじゅっ! と痛そうな音を出した。
「メリク、やっ!」
痛いのやだ! 痛いと感じたメリクの気持ちが僕に伝わる。すぐに棒を捨てたけど、手は赤くなっていた。ぽたりと赤い血が垂れる。
「う、わぁああん」
泣いても仕方ないのに、メリクの手が赤いのが怖くて。痛そうで、涙と声が溢れた。鼻を啜りながら目を擦り、メリクの手に顔を寄せる。
「イル?」
呼ぶ声に返事をせず、ぺろりと舐めた。慌てて手を引っ込めるメリクの腕を掴んで、もう一度舐める。だって、僕の手にチクチクが刺さった時、にゃーが舐めたら取れた。きっとこの痛いのも、舐めたら消えると思う。
「イル、大丈夫。少ししたら消えるから」
話すメリクの声は優しい。でも心配だった。顔を上げた僕の目に、にゃーが飛ばされるのが見える。転がるにゃーが立ち上がり、睨みつけると男の人が燃えた。
「侵入者ですって? よくも私のメンツを潰してくれたじゃない」
ルミエルが空に浮いていて、でも背中に羽がない。そのまま男の人を指差して何かしたら、消えてしまった。目を見開く僕に、メリクが「何もなかった」と言いながら手で隠す。その手にあった傷は、もう残ってなかった。
「おてて、なおった?」
「ああ、痛いのもイルのおかげで消えた」
安心して大きく息を吐いたら、体が動かない。変なの。
「ルミエルやにゃーが助けてくれたから、後でお礼を言おうな」
「うん」
頷いて、家の中に入る。もうここは安全じゃないとか、もっと頑丈にしようとか。メリクは呟きながら、僕の黒髪を撫でてくれた。
僕、あの人に何かしたのかな。僕のせいだって叫んでいた。それが気になって、僕は自分の親指を咥えて唇を尖らせる。泣きたくなった僕に、メリクがたくさんのキスをくれた。
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