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53.初めてのお友達できた
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ルミエルは僕よりお姉さんで、可愛くていっぱい知ってる。花にお名前があるのを、僕は初めて知ったの。でもルミエルは変な笑い方しなかった。だからいい人なんだ。
「マジやばい、天使」
ときどき知らない言葉を使うけど、僕への褒め言葉だって。覚えて使おうと思ったら、特別だからダメだと首を横に振られた。そっか、これは使う人が決まってるんだね。
ルミエルと摘んだお花を持って、歩いてお家へ向かう。メリクみたいに手を繋いでくれたの。はいって手を出したら、嫌だと言わなかった。それが嬉しい。
「仲良しになろうね」
ルミエルは僕と仲良くしてくれると言う。仲良しは家族じゃないけど、お友達が使う言葉だった。聞いたことはあるけど、意味はいま知ったよ。
「お友達は、家族とは違うのよ。家族が一番で、お友達は二番。家族じゃないけど仲良く遊んだりする人を、お友達と呼べばいいわ」
「うん、おぼえる」
にこにこ笑うルミエルは可愛い。僕より濃い肌に白いお洋服は似合うし、赤いリボンもきらきらした髪にぴったり。僕の髪にも赤いリボンつけたけど、あまり似合わないのかな。
「あ、イルったら変なこと考えてるでしょ。赤はね、女の子なら誰でも似合うのよ。髪の色が白でも金でも、もちろん黒でもね」
メリクと一緒だ。僕が考えてることを分かる人だった。ルミエルは大きく手を揺らした。繋いでる僕の腕も揺れる。なんだか楽しい。
「子どもなんだから、甘えていいの」
当たり前のことよ。そう笑うルミエルに、僕も嬉しくて笑った。二人でお家の前まで歩いて、扉を開ける。中に入るとき、ルミエルは「お邪魔します」って言った。
「ただいま、だよ」
「私のお家じゃないから、友達の家ではそう言うのよ」
「おまじゃします?」
「うーん、少し違うわね。お邪魔します」
「おじゃまします?」
「よくできたわ」
メリクと違う小さな手が、僕の頭を撫でる。手の大きさに関係なく、気持ちよかった。
「ありがとう」
「偉いわね、ちゃんとお礼も言えるなんて」
ふふっと笑ったルミエルと花を挿す瓶に水を入れた。そこへメリクが来て、僕とルミエルの前で膝をつく。目の高さが同じになるんだ。
「あのね。なかよしの……えっと、おともだち」
「そっか、仲良くしてやってくれ」
「はい」
ルミエルを、きちんと紹介できなかった。でもメリクは嬉しそう。お友達がいるのは、いいことみたい。また明日も一緒に遊んでくれるかな?
「イルちゃん、明日またね」
「うん」
いつも通り頷いたら、メリクがこっそり教えてくれた。
「またね!」
またねと手を振るの! 嬉しそうに笑ったルミエルは、お家の外で消えた。
「なんで消えるの?」
「遠くへ移動しただけだ。前に俺も使っただろ」
うーん。そうだっけ?
「マジやばい、天使」
ときどき知らない言葉を使うけど、僕への褒め言葉だって。覚えて使おうと思ったら、特別だからダメだと首を横に振られた。そっか、これは使う人が決まってるんだね。
ルミエルと摘んだお花を持って、歩いてお家へ向かう。メリクみたいに手を繋いでくれたの。はいって手を出したら、嫌だと言わなかった。それが嬉しい。
「仲良しになろうね」
ルミエルは僕と仲良くしてくれると言う。仲良しは家族じゃないけど、お友達が使う言葉だった。聞いたことはあるけど、意味はいま知ったよ。
「お友達は、家族とは違うのよ。家族が一番で、お友達は二番。家族じゃないけど仲良く遊んだりする人を、お友達と呼べばいいわ」
「うん、おぼえる」
にこにこ笑うルミエルは可愛い。僕より濃い肌に白いお洋服は似合うし、赤いリボンもきらきらした髪にぴったり。僕の髪にも赤いリボンつけたけど、あまり似合わないのかな。
「あ、イルったら変なこと考えてるでしょ。赤はね、女の子なら誰でも似合うのよ。髪の色が白でも金でも、もちろん黒でもね」
メリクと一緒だ。僕が考えてることを分かる人だった。ルミエルは大きく手を揺らした。繋いでる僕の腕も揺れる。なんだか楽しい。
「子どもなんだから、甘えていいの」
当たり前のことよ。そう笑うルミエルに、僕も嬉しくて笑った。二人でお家の前まで歩いて、扉を開ける。中に入るとき、ルミエルは「お邪魔します」って言った。
「ただいま、だよ」
「私のお家じゃないから、友達の家ではそう言うのよ」
「おまじゃします?」
「うーん、少し違うわね。お邪魔します」
「おじゃまします?」
「よくできたわ」
メリクと違う小さな手が、僕の頭を撫でる。手の大きさに関係なく、気持ちよかった。
「ありがとう」
「偉いわね、ちゃんとお礼も言えるなんて」
ふふっと笑ったルミエルと花を挿す瓶に水を入れた。そこへメリクが来て、僕とルミエルの前で膝をつく。目の高さが同じになるんだ。
「あのね。なかよしの……えっと、おともだち」
「そっか、仲良くしてやってくれ」
「はい」
ルミエルを、きちんと紹介できなかった。でもメリクは嬉しそう。お友達がいるのは、いいことみたい。また明日も一緒に遊んでくれるかな?
「イルちゃん、明日またね」
「うん」
いつも通り頷いたら、メリクがこっそり教えてくれた。
「またね!」
またねと手を振るの! 嬉しそうに笑ったルミエルは、お家の外で消えた。
「なんで消えるの?」
「遠くへ移動しただけだ。前に俺も使っただろ」
うーん。そうだっけ?
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