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33.お祭りは明日ね

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 お父様の立場については、フランクが考えてくれる。丸投げして悪いけれど、私では良い対応を思いつかないのよね。

 お祭りは三日間行われるらしい。初日が一番賑わうので、そこを外して、二日目に街へ行くことになった。あまり混雑していると、護衛が逸れてしまう可能性もある。何より、子供達が迷子になると困るもの。

 積み木の騒動以来、レオンは私にべったり。抱っこして移動すれば離れる心配も少ない。問題は双子よ。エルヴィンが両手を繋いで行く案が出たけれど、不安だった。それぞれに左右へ走られたらどうするのよ。

 この懸念は、お父様が解消した。お父様がユリアンと手を繋ぎ、ユリアーナはエルヴィンと移動する。これなら一対一だから、両側に引っ張られる懸念も、気が逸れて見逃す心配も減った。

 いざという時の集合場所を決め、それぞれに二人ずつ騎士がつく。六人も動員して平気なのか確認したら、少ないくらいですと叱られたわ。家族の護衛はそのまま、私とレオンだけ倍に増えた。八人の騎士と一緒にお祭り参加だ。

 侍女が話したのは、今日がお祭りの初日ということ。ならば、遊びに行くのは明日だった。

「ユリアーナ、ユリアン、エルヴィンも。よく聞いてちょうだい。明日は護衛付きでお祭りに行くの。彼らの指示をきちんと聞くこと、知らない人についていかない。走り出したいくらい楽しそうなものを見つけたら、私達にも教えて。できるかしら?」

「「「はい」」」

 揃って立派なお返事ね。いつもそうだけど、返事はいいの。現場でつい忘れちゃうだけ。その点は護衛にしっかり伝えておこう。いきなり走り出す可能性がある子供の護衛なので、普段の騎士としての仕事とは違いすぎるもの。

 仕事に必要な情報は、事前に共有しないとね。わかっていると思ったなんて、雇い主側の傲慢さ以外の何物でもないわ。話さなくても分かるようになるのは、熟年夫婦として半世紀くらい寄り添ってからよ。

「ぼくは?」

 抱っこしたレオンがこてりと首を傾げる。

「レオンはお母様と一緒よ。明日のお祭りに備えて、お昼寝をしましょう。夜も早く眠るのよ、できる?」

「うん」

「人参も残さないで食べられるかしら」

「……う……ん」

 嫌そうに頷く。人参は苦手なのよね。口に入ったら吐いてまで拒むことはしないけど、スプーンの上に人参が見えると口が開かないの。

「一口食べたらいいわ」

 好き嫌いなくたくさん食べてほしいけれど、無理をすると嫌いを促進しちゃう。まずは一口、調理方法を変更してもらうのもいいわ。

 料理人に相談してみましょう。公爵夫人が口出しするなんて、良くないけれど。前世の知識が役立つなら、使った方がいい。美味しく食べてもらえるよう、お昼寝の間に……。

 そう思っていたのに、お昼寝したレオンの手が私の袖をしっかり握っていて。離れられそうになかった。仕方ないので、調理方法をメモにして渡してもらう。もちろん味見して、変更も構わないと付け足した。

 大嫌いな人参が、大好きなお菓子になったらどうするのか。楽しみね。 
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