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33.良い知らせと悪い知らせに似て
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ルーカス様が顔を出さない。宰相閣下が物凄く忙しい……嫌な予感がする。カードを取り出して確認した。アテュの二十二枚を裏返してシャッフルする。
私自身の運命は占えないけれど、国の行く末は示された。本当は国王陛下か王妃様に触れてもらいたかったが、しゃしゃり出て占うほどじゃないし。綺麗に混ぜてからカードを積み重ね、一枚ずつ上から開いていく。
占い方法は知りたい内容に応じて、さまざまな形を使う。今回はざっくりと「今後どうなる?」と広い範囲を占った。そのため半分近いカードを開くことになる。範囲を絞れば、もっと枚数は少なく出来た。決まった位置に置いていくカードは、あまり良くない。
「運勢が悪いって、こういう場面で使うのかも」
溜め息を吐いて呟き、繋げて読んでみた。過去は不要なので飛ばし、現在が手詰まり。未来は二つのルートが出てきた。よく言う「いい知らせと悪い知らせがある」みたいな感じだ。
上手く立ち回れば、国に立ち込める暗雲は晴れる。打つ手を誤れば、戦争になる可能性を示唆していた。二つの未来の確率は半々、どちらに転んでもおかしくない。今度はこの部分だけに注力して占い直した。
何がきっかけで分岐しているのか。どう選んだら回避できるか。カードは一つの可能性を示した。
「……約束の打診?」
恋愛を示すカードも出たので、婚約か結婚の打診かも。宮廷占い師イーリスの婚約ではない。最近、身近で結婚が持ち上がったのは……ハンナ? でも国内の貴族、それも侯爵家次男と結婚するのに。どうしてだろう。
外からの干渉が暗示されているから、政略結婚じゃないのかな。ハンナと別件っぽい。安心しながらカードを片付けた。順番通り並べ替え、きちんとケースに収める。蓋をしてからケースの下に落ちていないか、再度確かめた。
「もやもやする」
うーんと唇を尖らせ考えてみるものの、曖昧すぎてわからなかった。やっぱり、陛下か王妃様が触れないとダメかも。情報を知らない私が占うから、カードも迷うんだと思うわ。
ベッドに寝転がり、恋愛小説を捲る。栞を抜いて読み始めたが、集中できなかった。内容が素通りしていく。
「もうっ!」
身を起こしてクッションを投げた私は、ノックの音に慌ててヴェールを被った。入室の許可を出せば、王妃様の侍女だ。王妃様が占いを希望されていると知り、承諾した。カードのケースを手にお伺いした部屋は、個人的な応接間のようだ。
「ごめんなさいね、どうしても不安なの」
悪いルートで戦争の暗示があった。王妃様は事情をご存知なのだろう。いつもは家族のことや誰かの恋愛を占うが、今日は違った。望まれるままカードを取り出し、シャッフルする。
「ご不安な内容を思い浮かべながら混ぜてください」
「政略結婚の話なの」
詳しく話せないようで、王妃様は濁して伝えた。カードを丁寧に混ぜ、最後に両手を置いて祈るように目を閉じる。その姿がひどく印象的だった。
「では展開いたします」
一枚目を裏返す。二枚目を並べた。『法王』『隠者』……隠しきれない悪事、それも結婚絡み? 三枚目を手にしたまま、私は動きを止めた。先ほどの占いと重なる……?
私自身の運命は占えないけれど、国の行く末は示された。本当は国王陛下か王妃様に触れてもらいたかったが、しゃしゃり出て占うほどじゃないし。綺麗に混ぜてからカードを積み重ね、一枚ずつ上から開いていく。
占い方法は知りたい内容に応じて、さまざまな形を使う。今回はざっくりと「今後どうなる?」と広い範囲を占った。そのため半分近いカードを開くことになる。範囲を絞れば、もっと枚数は少なく出来た。決まった位置に置いていくカードは、あまり良くない。
「運勢が悪いって、こういう場面で使うのかも」
溜め息を吐いて呟き、繋げて読んでみた。過去は不要なので飛ばし、現在が手詰まり。未来は二つのルートが出てきた。よく言う「いい知らせと悪い知らせがある」みたいな感じだ。
上手く立ち回れば、国に立ち込める暗雲は晴れる。打つ手を誤れば、戦争になる可能性を示唆していた。二つの未来の確率は半々、どちらに転んでもおかしくない。今度はこの部分だけに注力して占い直した。
何がきっかけで分岐しているのか。どう選んだら回避できるか。カードは一つの可能性を示した。
「……約束の打診?」
恋愛を示すカードも出たので、婚約か結婚の打診かも。宮廷占い師イーリスの婚約ではない。最近、身近で結婚が持ち上がったのは……ハンナ? でも国内の貴族、それも侯爵家次男と結婚するのに。どうしてだろう。
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「もやもやする」
うーんと唇を尖らせ考えてみるものの、曖昧すぎてわからなかった。やっぱり、陛下か王妃様が触れないとダメかも。情報を知らない私が占うから、カードも迷うんだと思うわ。
ベッドに寝転がり、恋愛小説を捲る。栞を抜いて読み始めたが、集中できなかった。内容が素通りしていく。
「もうっ!」
身を起こしてクッションを投げた私は、ノックの音に慌ててヴェールを被った。入室の許可を出せば、王妃様の侍女だ。王妃様が占いを希望されていると知り、承諾した。カードのケースを手にお伺いした部屋は、個人的な応接間のようだ。
「ごめんなさいね、どうしても不安なの」
悪いルートで戦争の暗示があった。王妃様は事情をご存知なのだろう。いつもは家族のことや誰かの恋愛を占うが、今日は違った。望まれるままカードを取り出し、シャッフルする。
「ご不安な内容を思い浮かべながら混ぜてください」
「政略結婚の話なの」
詳しく話せないようで、王妃様は濁して伝えた。カードを丁寧に混ぜ、最後に両手を置いて祈るように目を閉じる。その姿がひどく印象的だった。
「では展開いたします」
一枚目を裏返す。二枚目を並べた。『法王』『隠者』……隠しきれない悪事、それも結婚絡み? 三枚目を手にしたまま、私は動きを止めた。先ほどの占いと重なる……?
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