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第34章 婚約まで走り抜けろ
296.褒めて褒めて褒め倒せ(1)
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レイルに連絡を取ったが返事がないので、ジャック達と軽く手合わせをした。訓練が出来てないので鈍ってないか、確認を兼ねてだ。ぎりぎり合格ラインをもらえたので、明日から早朝訓練に参加できそう。
先日の乱入騎士は貸してもらえることになった上、実家から「殺さない範囲で鍛えてやってください」としごく許可をもらったらしい。ただ当事者のジークムンド達がいないので、彼らの帰国を待っての貸し出しを要求した。
騎士団に関しては、関係した全員が給与を2ヶ月返納らしい。どのくらいの額になるか知らないが、孤児院に使ってくれるよう頼んでおいた。オレは金がなくても何とかなってるからね。北の国で使った借金返済分は、近日回収される予定だし。頑張れジークムンド班! 君達のボーナス額は回収金額と比例してるぞ。
「じゃ、夕食は4人で食べて。もらった肉とパンは置いていく。あと果物はこれね」
野菜は余っているので、足りなくなりそうな食材だけ並べた。献立はノアに一任だ。ジャックが「また焼いて煮ただけか」とぼやくが、嫌ならジャックが料理すればいいと思う。
着替えたオレは、じいやを連れて宮殿へ向かう。今夜は大皿料理で夕食の予定だ。シフェルとクリスティーン、ウルスラにじいやも同席で食べることになった。ちなみにジャック達も誘ったんだ。そうしたら「気が張る食事は嫌だ」って言いやがった。
大皿から取り合うのは中華料理のイメージだけど、コース料理じゃなくても集まる面々が怖いんだと。皇帝陛下や近衛騎士団長と円卓囲むのは、傭兵には気が重いのか。オレも庶民だったから、気後れするのは理解できた。無理強いはしない。
いつも通り、執事のセバスや侍女のお姉さんに声をかけて階段を上がる。リアムの私室ではなく、隣にある部屋をノックした。一応、家族以外が入るのは問題あるらしい。隣は訪ねてきた人と相対する応接室のような使い方だった。オレはつい先日まで、この部屋の存在を知らなかった。
リアムは最初から私室にオレを案内し、家族になる人の認識でいてくれたことに、にやけてしまう。
「リアム、お邪魔します」
「どうぞ!」
扉を開けてくれたのは侍女だが、嬉しそうに駆け寄ったリアムを受け止める。可愛い。
「今日は白? あ、裾や袖にピンクが入ってて可愛い。化粧もちょっと違うね」
変化を見つけては褒める。頬紅の色が先日と違うし、服もシンプルだけど上質だ。
「ん……髪も、少しここ短くなった?」
「よく気づいたな、じゃなくて。気づいてくれて嬉しい」
頬を染めるリアムに微笑みながら、円卓に移動する。シフェル達はまだのようで、オレはさっさと彼女と並んで腰掛けた。じっくり観察して、見落としがないか確認する。じいやが満足そうに頷きながら見守ってくれていた。
「オレ、見落としてないよな? リアムが可愛くて、見惚れちゃうから」
どこか見落としてたらごめんな。そう告げて締めくくった。これが日本でも出来ていたら、きっとモテたと思う。だけど今になってみたら、リアムと会うために誰とも付き合わなかったんだと運命すら感じていた。
漫画やアニメで培った知識は、とにかく女性の変化を見つけて褒めまくる。謙遜されても褒める。その意識でじっくり見つめると、細かな変化も気づけるようになった。これは相手がリアムだからで、他の人相手じゃ発揮出来ない。変化に気づけるほど、他の人のことみてないからな。
「セイは女性にモテそうだ」
困ったような顔で、誰かに取られると口にするから驚いた。オレが誰かに取られる? その心配は逆だぞ。
「オレの方が、捨てられないかいつもしんぱ……ぶっ」
口説いてる途中で、飛んできたハンカチに言葉を塞がれた。
先日の乱入騎士は貸してもらえることになった上、実家から「殺さない範囲で鍛えてやってください」としごく許可をもらったらしい。ただ当事者のジークムンド達がいないので、彼らの帰国を待っての貸し出しを要求した。
騎士団に関しては、関係した全員が給与を2ヶ月返納らしい。どのくらいの額になるか知らないが、孤児院に使ってくれるよう頼んでおいた。オレは金がなくても何とかなってるからね。北の国で使った借金返済分は、近日回収される予定だし。頑張れジークムンド班! 君達のボーナス額は回収金額と比例してるぞ。
「じゃ、夕食は4人で食べて。もらった肉とパンは置いていく。あと果物はこれね」
野菜は余っているので、足りなくなりそうな食材だけ並べた。献立はノアに一任だ。ジャックが「また焼いて煮ただけか」とぼやくが、嫌ならジャックが料理すればいいと思う。
着替えたオレは、じいやを連れて宮殿へ向かう。今夜は大皿料理で夕食の予定だ。シフェルとクリスティーン、ウルスラにじいやも同席で食べることになった。ちなみにジャック達も誘ったんだ。そうしたら「気が張る食事は嫌だ」って言いやがった。
大皿から取り合うのは中華料理のイメージだけど、コース料理じゃなくても集まる面々が怖いんだと。皇帝陛下や近衛騎士団長と円卓囲むのは、傭兵には気が重いのか。オレも庶民だったから、気後れするのは理解できた。無理強いはしない。
いつも通り、執事のセバスや侍女のお姉さんに声をかけて階段を上がる。リアムの私室ではなく、隣にある部屋をノックした。一応、家族以外が入るのは問題あるらしい。隣は訪ねてきた人と相対する応接室のような使い方だった。オレはつい先日まで、この部屋の存在を知らなかった。
リアムは最初から私室にオレを案内し、家族になる人の認識でいてくれたことに、にやけてしまう。
「リアム、お邪魔します」
「どうぞ!」
扉を開けてくれたのは侍女だが、嬉しそうに駆け寄ったリアムを受け止める。可愛い。
「今日は白? あ、裾や袖にピンクが入ってて可愛い。化粧もちょっと違うね」
変化を見つけては褒める。頬紅の色が先日と違うし、服もシンプルだけど上質だ。
「ん……髪も、少しここ短くなった?」
「よく気づいたな、じゃなくて。気づいてくれて嬉しい」
頬を染めるリアムに微笑みながら、円卓に移動する。シフェル達はまだのようで、オレはさっさと彼女と並んで腰掛けた。じっくり観察して、見落としがないか確認する。じいやが満足そうに頷きながら見守ってくれていた。
「オレ、見落としてないよな? リアムが可愛くて、見惚れちゃうから」
どこか見落としてたらごめんな。そう告げて締めくくった。これが日本でも出来ていたら、きっとモテたと思う。だけど今になってみたら、リアムと会うために誰とも付き合わなかったんだと運命すら感じていた。
漫画やアニメで培った知識は、とにかく女性の変化を見つけて褒めまくる。謙遜されても褒める。その意識でじっくり見つめると、細かな変化も気づけるようになった。これは相手がリアムだからで、他の人相手じゃ発揮出来ない。変化に気づけるほど、他の人のことみてないからな。
「セイは女性にモテそうだ」
困ったような顔で、誰かに取られると口にするから驚いた。オレが誰かに取られる? その心配は逆だぞ。
「オレの方が、捨てられないかいつもしんぱ……ぶっ」
口説いてる途中で、飛んできたハンカチに言葉を塞がれた。
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