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第33章 断罪劇、いっちゃう?

271.もう公表しちゃえ!!(1)

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 見苦しい言い争いを続けるべきか、核心をつくべきか。ここで秘密をバラして、リアムの婚約者がオレだと公表するつもりなのは確かだ。裁判の間の会話はすべて記録される。だから公式記録として残るのは、都合がいいと考えたんだろう。

 この辺はウルスラの案だと思う。だって、オレが断罪を申し出たときに背を押してくれたからね。あれはオレが問い詰めたら、彼らが余計なことまで口にすると踏んでの促しだった。

 ふんと鼻を鳴らしたとろり蒟蒻が口を開く。

「調子に乗るなよ。こっちは皇帝陛下の秘密を握ってるんだぞ」

 ざわっと貴族が騒ぎ出す。互いに顔を見合わせて、誰か知らないかと探り始めた。中には知ってるフリをして注目を集めるバカも出てくる。ここはバラすチャンスかな。にしても、簡単に墓穴掘るんだな……こいつら。

「そうだ。俺達は国を揺るがすような秘密を知ってる」

 胸を張るおなら公爵の脅しに、オレはくすくす笑い出した。なんだかおかしくなってきた。前の世界から来た連中がチートだと伝わってる一番の理由って、この世界の大半が愚者だからだ。ある意味幼いんだと思う。オレはラノベでナーロッパ話を読んでるから、こいつらの無駄な自尊心や言い回しを折る方法を知ってる。こういう知識の差や常識の違いが、チートの源だろう。

「いいよ、その秘密バラしても……大したものじゃないんでしょ」

 ここでオレの口からバラさないのが作戦だ。煽れば馬鹿は木に登る。それを上で待ち構えて、足蹴にして落とすのが最善だった。そちらに気を取られてくれれば、真犯人の名を口にする可能性が減るから。

「馬鹿にするな、聞いて驚くなよっ!」

「皇帝陛下は女性だ!」

「「なんだって」」

 騒ぐ貴族の声に得意げな顔をしてるけど、君らはどこまで行っても罪人だからね。別に秘密を知ってたからって許されるはずがないし、そもそも上層部に利用されてるから。ついでに言うなら、秘密を脅しの道具にするなら、最後まで秘匿しないと価値がないんだぞ。全員が知ったら秘密じゃないからね。脅す材料がなくなる。まあ……ざまぁしてやった! と勘違いしてる顔だ。

「前皇帝陛下の妹君、ロザリアーヌ姫殿下。そんなのとっくに知ってるけど……オレの婚約者だもん」

 きょとんとした顔を作って、小首を傾げる。向かい側の傍聴席にいた貴族も、同じように首を傾げた。少しして、理解した奴が騒ぎ始める。あ、これ試験紙として最適だ。頭の回転の良さが一目でわかるもん。

 馬鹿判別機に近い。オレの「なに当たり前のこと言ってるの。あんた情弱?」みたいな煽りに気づかず、3人の罪人は顎が外れたような間抜けな顔でオレを見ていた。
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