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第29章 貴族連合って何?
205.攻め落とした権利? 放棄で!(1)
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「結婚はしない」
「やだぁあああああ!」
「もう結婚する相手が決まってるもん」
「……僕、頑張るから」
何を頑張っても、オレは男だ。ついでに婚約者は高貴な黒髪美人さんで……今は男装の麗人だけど。そういう趣味は断じてない。
南の元王太子殿下の申し出をきっちり断り、クリスティーンが証人になってくれた。非公式だけど、王族からの求婚だからね。断ったことを誰かに記憶しておいてもらわないと、面倒なのが貴族社会なのだそうだ。曖昧な日本人スマイル、愛想笑いを披露したら婚約成立させられそう。
ジャック達に確認したところ、王太子は確かに一度捕獲したらしい。国王や王妃と一緒に牢に入れたが、この国の鉄格子は隙間が大きかった。頭が抜けた勢いで転がり出て、たまたま交代で兵士が入れ替わった時に外へ出たのだろうと推測される。この世界、防犯カメラないから確認できなかった。
捕獲された兎のように再び檻に戻される子供を見送り、後ろで草を貪るマロンを手招きした。
「ねえ、今の子が相手でも契約しない?」
『ご主人様が、どうしても! と言えば考えます。でも折角自由になれたんです。もう56代も見守ってやったんですから、現状維持を希望します』
「……56代か。それは長かったね」
『本当ですよ。ほぼ毎年国王が変わる時期もありましたから、きちんと顔を覚えてない奴もいます』
どっかの国の総理大臣じゃないんだから、それは変わりすぎだろ。最短と最長の期間に興味が湧く。
「最短と最長は?」
『初代は15年でしたか。最短は……2ヶ月? たぶん3ヶ月前後でした』
「それはご苦労さん」
かなり政情不安な王室だったらしい。代替わりの際に処刑はしなかったんだろう。血筋が絶えたら大変だから、あり得るのは塔に幽閉とか。
そういや、この王都の外壁を支えるように塔がたくさん立ってたけど……。嫌な符合点は気づかなかったフリでスルーした。中に元国王やら、王弟がたくさんいそうで嫌だ。面倒臭い。
「この国のことは、オレは関知しないから」
「権利放棄するのか?」
レイルが奇妙な言い回しで確認したので、大きく頷く。すると今度はジャックが「俺も」と手を上げて宣誓した。ノア、ライアン、サシャ、と続いて王城を攻めた主要な二つ名持ちが、異口同音に同意する。
突然の連鎖に目を見開いて凝視すると、煙草を咥えたレイルが火をつけながら説明した。煙をオレに吹きかけないのは偉い。
「城を落とした功績者が統治の権利を得る。指揮官のお前が放棄したので、現場指揮官ジャックへ。それから二つ名持ちの傭兵は、戦場だと指揮官扱いなので全員意思を示す必要がある」
「……げろ」
ぽかっと叩かれて頭を押さえると、品がない発言が悪いとレイルが笑った。
「やだぁあああああ!」
「もう結婚する相手が決まってるもん」
「……僕、頑張るから」
何を頑張っても、オレは男だ。ついでに婚約者は高貴な黒髪美人さんで……今は男装の麗人だけど。そういう趣味は断じてない。
南の元王太子殿下の申し出をきっちり断り、クリスティーンが証人になってくれた。非公式だけど、王族からの求婚だからね。断ったことを誰かに記憶しておいてもらわないと、面倒なのが貴族社会なのだそうだ。曖昧な日本人スマイル、愛想笑いを披露したら婚約成立させられそう。
ジャック達に確認したところ、王太子は確かに一度捕獲したらしい。国王や王妃と一緒に牢に入れたが、この国の鉄格子は隙間が大きかった。頭が抜けた勢いで転がり出て、たまたま交代で兵士が入れ替わった時に外へ出たのだろうと推測される。この世界、防犯カメラないから確認できなかった。
捕獲された兎のように再び檻に戻される子供を見送り、後ろで草を貪るマロンを手招きした。
「ねえ、今の子が相手でも契約しない?」
『ご主人様が、どうしても! と言えば考えます。でも折角自由になれたんです。もう56代も見守ってやったんですから、現状維持を希望します』
「……56代か。それは長かったね」
『本当ですよ。ほぼ毎年国王が変わる時期もありましたから、きちんと顔を覚えてない奴もいます』
どっかの国の総理大臣じゃないんだから、それは変わりすぎだろ。最短と最長の期間に興味が湧く。
「最短と最長は?」
『初代は15年でしたか。最短は……2ヶ月? たぶん3ヶ月前後でした』
「それはご苦労さん」
かなり政情不安な王室だったらしい。代替わりの際に処刑はしなかったんだろう。血筋が絶えたら大変だから、あり得るのは塔に幽閉とか。
そういや、この王都の外壁を支えるように塔がたくさん立ってたけど……。嫌な符合点は気づかなかったフリでスルーした。中に元国王やら、王弟がたくさんいそうで嫌だ。面倒臭い。
「この国のことは、オレは関知しないから」
「権利放棄するのか?」
レイルが奇妙な言い回しで確認したので、大きく頷く。すると今度はジャックが「俺も」と手を上げて宣誓した。ノア、ライアン、サシャ、と続いて王城を攻めた主要な二つ名持ちが、異口同音に同意する。
突然の連鎖に目を見開いて凝視すると、煙草を咥えたレイルが火をつけながら説明した。煙をオレに吹きかけないのは偉い。
「城を落とした功績者が統治の権利を得る。指揮官のお前が放棄したので、現場指揮官ジャックへ。それから二つ名持ちの傭兵は、戦場だと指揮官扱いなので全員意思を示す必要がある」
「……げろ」
ぽかっと叩かれて頭を押さえると、品がない発言が悪いとレイルが笑った。
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