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第25章 子供は強欲なんだぜ?

162.人気取り? やったもん勝ち(4)

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 やはり強面は効果が高い。まとめて10人ずつ並べて自己紹介とアピールを聞いたところ、凄んでジークムンドに殴られたのが3人いた。殴られた奴の助太刀に入った1人はジャックが蹴り倒した。しかも整理券を配り終えて戻ったノアが、ぼそっと情報を追加する。

「並んでた奴と券の番号が合わないぞ」

 うん、まあ想定内だよね。気弱そうな奴を脅して並ばせ、整理券を分取って入ってきたのだろう。まず失格を言い渡した4人が省かれ、残った6人のうち、2人が除外された。理由は犯罪歴だ。面白がって顔を見せたレイルが、オレの隣に陣取って顔判断を始めたのだ。

「右から2番目は婦女暴行、その隣は子供を殴り殺した奴だな」

 簡単そうに判断したレイルの言葉を疑う必要はなく、そのまま2人を削ったのだが、そこから騒いでユハに拘束された。ユハも西の国では兵士だったが、中央の国に来てからの早朝練習でかなり強くなった。傭兵連中のお墨付きをもらえたので、近々ルリと結婚するそうだ。

 くそ、リア充爆ぜろ! お祝いは奮発してやるからな!!

 残った4人は問題なさそうなので、頷いて採用する。ほっとした様子の彼らは、すぐに職場の親方が回収していった。荷物運びからレンガ積みの手伝いまで、仕事は山積みらしい。親方が忙しいのならと、ライアンが合格者を運ぶ役を申し出た。

 ちなみに傭兵連中はレンガ運びや、道具の買い出しなどに役立っており、今日も20人ほどが現場で働いている。オレは命じてないけどね。給与が出てる間は働くのだそうだ。

 仕事の契約期間内に休憩を長く取って、その分はきっちり給与を減らされた経験があるらしい。この世界では珍しくないことで、別に孤児だった傭兵だから差別されたわけじゃないという。

 また10人を招き入れ、簡単に分類されていく。犯罪歴は別にあってもいいんだ。更生してやり直す気があれば、採用する方針だった。内容が弱者への暴力や殺人の場合は基本的にアウト。強盗や酔っ払って喧嘩ならOKにした。

「僕、父親を殺した。それでも仕事もらえるのか?」

 何度目だろう。並んだ10人が入れ替わって、入ってきた少年がいきなり告白した。殺人ならアウトにしてきたオレの振り分けを知る連中は、困惑した表情で目配せする。だからオレは先を促した。

「どうして親を殺したの?」

「妹と母ちゃんを守りたかったから」

 言葉が足りなくて、頭の中で補足する。どうやら家庭内で父親が暴力を振るい、耐えきれなくなった彼が家族を守るために反撃したようだ。

「うん、君はいいよ」
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