506 / 1,100
第22章 まさかのヤンデレ属性
133.策略塗れの黒い弟ですまん(2)
しおりを挟む
義理の父になる国王陛下はまだ顔も知らないが、問題ない。中央の国の公爵家と皇帝陛下の後見付き、聖獣付き、ドラゴン殺しの英雄様だ。受け入れないなら退位していただくまでだ。悪だくみの笑みを浮かべたオレのおでこを、レイルがぱちんと指ではじいた。
「いてっ」
「悪い顔してんじゃねえよ。北の国の品位が疑われっだろうが」
「……お前の口の悪さも何とかしろ」
レイルに文句を言いながら、オレのおでこを撫でてくれるシンに「痛かった、お兄ちゃん」と甘えてみる。真っ赤な顔で口元を押さえる兄よ、鼻血が垂れてるぞ。ポケットから取り出したハンカチを渡せば、慌てて血を拭った。
「怖い奴、マジ怖いわ」
レイルの鼻にシワが寄る。べっと舌先を見せて、シンの隣に並んだ。そっと手を握ってみる。すぐに握り返す兄は、もう鼻血出した変態の欠片もなく笑顔だった。
うん、弟って立場も悪くない。一方的に庇護されて許される経験なんて、まったく記憶になかった。幼い頃は両親が甘やかしたんだろう。それが長男の特権だと思うが……残念ながら記憶に残っているのは、弟妹が甘やかされる姿だけ。これはどの家庭でも同じだけど。
せっかく子供の身体に戻ったんだから、甘やかされて幸せに浸る時間も欲しい。この世界に突然きたオレだが、世界のバランスを取って戦う存在オンリーじゃないと思いたかった。
カミサマがどこまで考えたか知らないが、子供の外見で放り出したんだから、オレが子供返りするのも想定内だろ?
「キヨ、もう一度お兄ちゃんって呼んでくれ」
「うん、お兄ちゃん」
素直に呼んでやれば、こっちが引くほど喜んでいる。繋いだ手を振りながら歩く。後ろで大笑いしているレイルに関しては、あとで締めればいいや。
「ところで、準備はしたがどうする?」
今日の夜会で仕掛けるか? そう問われたオレは一瞬で感情を切り替えた。甘えるのはいつでもできる。レイルはにやにや笑いながら、民族衣装の襟を弄っていた。
瞳の色に合わせた薄水色の絹に、銀の刺繍が施された漢服は、裾に向かって濃色になる。見事なグラデーションの帯は黒だった。赤い髪とバランス悪そうなのに、意外と悪くない。色合わせなのか、瑠璃が連なる耳飾りがぶら下がっていた。ピアスとは別につけたのか。雫型の飾りがしゃらんと音を立てた。
「オレは仕掛ける気はないけど、向こうはどうかな~」
「いてっ」
「悪い顔してんじゃねえよ。北の国の品位が疑われっだろうが」
「……お前の口の悪さも何とかしろ」
レイルに文句を言いながら、オレのおでこを撫でてくれるシンに「痛かった、お兄ちゃん」と甘えてみる。真っ赤な顔で口元を押さえる兄よ、鼻血が垂れてるぞ。ポケットから取り出したハンカチを渡せば、慌てて血を拭った。
「怖い奴、マジ怖いわ」
レイルの鼻にシワが寄る。べっと舌先を見せて、シンの隣に並んだ。そっと手を握ってみる。すぐに握り返す兄は、もう鼻血出した変態の欠片もなく笑顔だった。
うん、弟って立場も悪くない。一方的に庇護されて許される経験なんて、まったく記憶になかった。幼い頃は両親が甘やかしたんだろう。それが長男の特権だと思うが……残念ながら記憶に残っているのは、弟妹が甘やかされる姿だけ。これはどの家庭でも同じだけど。
せっかく子供の身体に戻ったんだから、甘やかされて幸せに浸る時間も欲しい。この世界に突然きたオレだが、世界のバランスを取って戦う存在オンリーじゃないと思いたかった。
カミサマがどこまで考えたか知らないが、子供の外見で放り出したんだから、オレが子供返りするのも想定内だろ?
「キヨ、もう一度お兄ちゃんって呼んでくれ」
「うん、お兄ちゃん」
素直に呼んでやれば、こっちが引くほど喜んでいる。繋いだ手を振りながら歩く。後ろで大笑いしているレイルに関しては、あとで締めればいいや。
「ところで、準備はしたがどうする?」
今日の夜会で仕掛けるか? そう問われたオレは一瞬で感情を切り替えた。甘えるのはいつでもできる。レイルはにやにや笑いながら、民族衣装の襟を弄っていた。
瞳の色に合わせた薄水色の絹に、銀の刺繍が施された漢服は、裾に向かって濃色になる。見事なグラデーションの帯は黒だった。赤い髪とバランス悪そうなのに、意外と悪くない。色合わせなのか、瑠璃が連なる耳飾りがぶら下がっていた。ピアスとは別につけたのか。雫型の飾りがしゃらんと音を立てた。
「オレは仕掛ける気はないけど、向こうはどうかな~」
22
お気に入りに追加
551
あなたにおすすめの小説
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
私はただ自由に空を飛びたいだけなのに!
hennmiasako
ファンタジー
異世界の田舎の孤児院でごく普通の平民の孤児の女の子として生きていたルリエラは、5歳のときに木から落ちて頭を打ち前世の記憶を見てしまった。
ルリエラの前世の彼女は日本人で、病弱でベッドから降りて自由に動き回る事すら出来ず、ただ窓の向こうの空ばかりの見ていた。そんな彼女の願いは「自由に空を飛びたい」だった。でも、魔法も超能力も無い世界ではそんな願いは叶わず、彼女は事故で転落死した。
魔法も超能力も無い世界だけど、それに似た「理術」という不思議な能力が存在する世界。専門知識が必要だけど、前世の彼女の記憶を使って、独学で「理術」を使い、空を自由に飛ぶ夢を叶えようと人知れず努力することにしたルリエラ。
ただの個人的な趣味として空を自由に飛びたいだけなのに、なぜかいろいろと問題が発生して、なかなか自由に空を飛べない主人公が空を自由に飛ぶためにいろいろがんばるお話です。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる