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第11章 内側の裏切り者
50.出世払いは高くつく、かも(3)
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聖獣とハモるリアムが力説する。
「セイならば、聖獣すべてと契約できる! 計算や読み書きも優秀だし、戦うと強い。綺麗なのに優しくて、俺……私と仲良くしてくれるんだぞ」
うん、これが身内の欲目ってやつか。頬が赤くなるのを自覚しながら、隣に座ったリアムを引き寄せた。恥ずかしくて顔が見られない。でも嫌かといわれたら嬉しいんだと思う。
過去も含めて、こんなにオレを評価してくれた人はいないから。ノロケみたいな発言に照れるリア充になれる未来なんて、前世界のオレに想像つかなかったはず。
「まあ、レイルに出世払いの約束したから……聖獣すべてと契約しないと足りなそう」
冗談めかして呟けば、寄りかかったリアムが笑いながら身を起こした。彼女も真っ赤な顔をしている。
「私の夫も出世だぞ?」
「確かに、この世界で最高の出世だ」
甘い雰囲気を作り出すバカップルをみて、罵った過去のオレに言ってやりたい。バカップルは当事者になると最高に照れて、最高に嬉しくて、最高に熱いものだから邪魔するなと。
「約束どおり、立派なお土産をくれたセイにどう酬いたらいいだろう」
出掛ける前に『西の国の領地を献上』なんて無謀な約束を取り付けられたオレだが、囮を上手に利用して暗躍した騎士達により叶ってしまった。
「じゃあさ、ここのピアスちょうだい」
感情の高ぶりで砕いてしまったピアス穴を示す。覗き込んだリアムが眉をひそめた。白い手が伸びてきて、耳たぶに触れる。
「砕けたのか?」
「うん、レイルが来た時にね」
リアムが危険だと思って赤瞳になりかけた。詳細を省いたオレの頬に貼られた絆創膏もどきを剥ぐと、傷はもう治ったらしい。指で触れても痛みも傷跡も感じ取れなかった。
「砕かぬよう、私のピアスをひとつやろう」
「え?」
いそいそと自分の耳からピアスを外したリアムが近づく。目の前にリアムの胸がきて、すこし膨らんだ胸元に目がいってしまう。室内用の薄着だから、いつもより胸が大きく感じた。
どうしよう、いい匂いする。どきどきしながら動けないオレの耳に指が触れ、残っていた金具を外して新しいピアスが通された。ひんやりするはずの金属が、少し温かい気がする。気のせいだと思うのに、頬が自然と綻んだ。
彼女が身に着けていたピアスだは、すごく特別だ。彼女の魔力が篭もっていて、どこか温かい。逆の耳から紫のピアスをひとつ外した。
「交換しようか」
目を見開いたリアムは頬を染めて、小さく頷いた。
「セイならば、聖獣すべてと契約できる! 計算や読み書きも優秀だし、戦うと強い。綺麗なのに優しくて、俺……私と仲良くしてくれるんだぞ」
うん、これが身内の欲目ってやつか。頬が赤くなるのを自覚しながら、隣に座ったリアムを引き寄せた。恥ずかしくて顔が見られない。でも嫌かといわれたら嬉しいんだと思う。
過去も含めて、こんなにオレを評価してくれた人はいないから。ノロケみたいな発言に照れるリア充になれる未来なんて、前世界のオレに想像つかなかったはず。
「まあ、レイルに出世払いの約束したから……聖獣すべてと契約しないと足りなそう」
冗談めかして呟けば、寄りかかったリアムが笑いながら身を起こした。彼女も真っ赤な顔をしている。
「私の夫も出世だぞ?」
「確かに、この世界で最高の出世だ」
甘い雰囲気を作り出すバカップルをみて、罵った過去のオレに言ってやりたい。バカップルは当事者になると最高に照れて、最高に嬉しくて、最高に熱いものだから邪魔するなと。
「約束どおり、立派なお土産をくれたセイにどう酬いたらいいだろう」
出掛ける前に『西の国の領地を献上』なんて無謀な約束を取り付けられたオレだが、囮を上手に利用して暗躍した騎士達により叶ってしまった。
「じゃあさ、ここのピアスちょうだい」
感情の高ぶりで砕いてしまったピアス穴を示す。覗き込んだリアムが眉をひそめた。白い手が伸びてきて、耳たぶに触れる。
「砕けたのか?」
「うん、レイルが来た時にね」
リアムが危険だと思って赤瞳になりかけた。詳細を省いたオレの頬に貼られた絆創膏もどきを剥ぐと、傷はもう治ったらしい。指で触れても痛みも傷跡も感じ取れなかった。
「砕かぬよう、私のピアスをひとつやろう」
「え?」
いそいそと自分の耳からピアスを外したリアムが近づく。目の前にリアムの胸がきて、すこし膨らんだ胸元に目がいってしまう。室内用の薄着だから、いつもより胸が大きく感じた。
どうしよう、いい匂いする。どきどきしながら動けないオレの耳に指が触れ、残っていた金具を外して新しいピアスが通された。ひんやりするはずの金属が、少し温かい気がする。気のせいだと思うのに、頬が自然と綻んだ。
彼女が身に着けていたピアスだは、すごく特別だ。彼女の魔力が篭もっていて、どこか温かい。逆の耳から紫のピアスをひとつ外した。
「交換しようか」
目を見開いたリアムは頬を染めて、小さく頷いた。
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