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第6章 聖獣、一方的な契約
22.増えた仲間たちの確執(4)
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「聖獣殿は、キヨを守るのか?」
『与えられた名と我の名誉にかけて』
「なら、仲間だな。これからよろしく頼む」
ジャックの手はまだすこし震えていた。普通に考えて、確かに黒豹は怖い。かつてのオレなら仲良くなんてならないし、同じ部屋に入れるなど考えもしなかった。魔力感知を覚えて、戦い方を叩き込まれて、勝てる気がしてたから一緒にいられるけど。
まあ、朝起きたら魔力感知できずに潜り込まれてたという現実を突きつけられたとしても――契約とやらの恩恵なのか、ヒジリに恐怖は感じなかった。
欠伸をもうひとつ。どうしてか眠い。目元を擦りながらヒジリの背に揺られていると、濡れたタオルを渡された。受け取って顔を拭き、首を傾げながら上を見る。
「ノア、おはよ~」
「おはよう、キヨ。それと聖獣殿」
ノアは一晩間を空けて吹っ切れたのか、ヒジリに対して挨拶を向ける。だが呼び名が気になったので、礼を言ってタオルを返しながら疑問をぶつけた。
「なあ、なんで聖獣殿って呼ぶの?」
そこで「コイツ、なに当たり前のことを」って顔をしたジャックとノアが顔を見合わせる。後ろから現れたライアンが口を開いた。
「キヨ、聖獣殿は普通の使役獣じゃない。契約した人間なんて数えるほどしかいないのに、勝手に名前なんて呼べるか」
意味がわからない。ヒジリの首に手を回して抱きつきながら、目の前で動く耳を引っ張ってみた。触れた瞬間に振り返ったヒジリの金瞳に睨まれ、そっと耳から手を離す。
これは怒ってる。たぶん触れちゃいけない類だろう。尻尾がぱしんぱしんと強い音を立てて床を叩いていた。先に謝ってしまおう。
「ごめん」
『主殿であっても次は許さぬ』
言い聞かされて「はぁ~い」と間延びした返事をした。そんなに怖いわけじゃないが、悪いことをしたと思ったのだ。寝ているところで耳を舐められたり噛まれたら、きっとオレもマジギレする。やられたら嫌なことを相手にしてはいけない。
「聖獣って名前じゃないから、違和感ある」
ぷくっと頬を膨らませながら抗議したところ、最後に合流したサシャが溜め息を吐いた。
「いいか、キヨ。この国で聖獣殿と契約した者はいない。つまり、名前が無くても通じるんだ」
「ふーん」
納得できないから「はい」とは言わない。そんな中途半端な返事をしている間に、食堂へついた。彼ら4人は早朝訓練を行ったらしく、多少汗をかいている。そして今朝の訓練を免れたオレは、干し肉ではない朝食に目を輝かせた。
『与えられた名と我の名誉にかけて』
「なら、仲間だな。これからよろしく頼む」
ジャックの手はまだすこし震えていた。普通に考えて、確かに黒豹は怖い。かつてのオレなら仲良くなんてならないし、同じ部屋に入れるなど考えもしなかった。魔力感知を覚えて、戦い方を叩き込まれて、勝てる気がしてたから一緒にいられるけど。
まあ、朝起きたら魔力感知できずに潜り込まれてたという現実を突きつけられたとしても――契約とやらの恩恵なのか、ヒジリに恐怖は感じなかった。
欠伸をもうひとつ。どうしてか眠い。目元を擦りながらヒジリの背に揺られていると、濡れたタオルを渡された。受け取って顔を拭き、首を傾げながら上を見る。
「ノア、おはよ~」
「おはよう、キヨ。それと聖獣殿」
ノアは一晩間を空けて吹っ切れたのか、ヒジリに対して挨拶を向ける。だが呼び名が気になったので、礼を言ってタオルを返しながら疑問をぶつけた。
「なあ、なんで聖獣殿って呼ぶの?」
そこで「コイツ、なに当たり前のことを」って顔をしたジャックとノアが顔を見合わせる。後ろから現れたライアンが口を開いた。
「キヨ、聖獣殿は普通の使役獣じゃない。契約した人間なんて数えるほどしかいないのに、勝手に名前なんて呼べるか」
意味がわからない。ヒジリの首に手を回して抱きつきながら、目の前で動く耳を引っ張ってみた。触れた瞬間に振り返ったヒジリの金瞳に睨まれ、そっと耳から手を離す。
これは怒ってる。たぶん触れちゃいけない類だろう。尻尾がぱしんぱしんと強い音を立てて床を叩いていた。先に謝ってしまおう。
「ごめん」
『主殿であっても次は許さぬ』
言い聞かされて「はぁ~い」と間延びした返事をした。そんなに怖いわけじゃないが、悪いことをしたと思ったのだ。寝ているところで耳を舐められたり噛まれたら、きっとオレもマジギレする。やられたら嫌なことを相手にしてはいけない。
「聖獣って名前じゃないから、違和感ある」
ぷくっと頬を膨らませながら抗議したところ、最後に合流したサシャが溜め息を吐いた。
「いいか、キヨ。この国で聖獣殿と契約した者はいない。つまり、名前が無くても通じるんだ」
「ふーん」
納得できないから「はい」とは言わない。そんな中途半端な返事をしている間に、食堂へついた。彼ら4人は早朝訓練を行ったらしく、多少汗をかいている。そして今朝の訓練を免れたオレは、干し肉ではない朝食に目を輝かせた。
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