74 / 82
74.誕生祝いのお祭りが始まる
しおりを挟む
お祭りの日は、あちこちの種族が集まる。そのため、魔王城だった場所に集まるのが恒例になっていた。今の魔王様はベル様だけど、魔王城を作らなかったの。だからお祭りは、前の魔王様のお城跡に集まる。
昨日はいつもより早い時間に、お迎えが来た。レラジェもキマリスも、お父さん達と帰っていく。お祭りのために早く眠るんだと思う。じゃないと朝早くから移動するのに、疲れちゃうから。
僕はベル様と一緒に行くから、お祭りで会おうねと手を振った。お祭り、楽しみだな。お風呂に入る僕は、ベル様と今日の出来事を話す。ベル様も教えてくれるし、僕も丁寧に説明した。お祭りでたくさんご馳走が用意されるから、今日はご飯を食べない。
ベル様と巣に並んで寝そべり、足を絡めて抱きつく。たくさんの部分がくっ付いていると安心できた。ベル様も嬉しいと言っている。そっと尻尾も回した。優しく撫でるベル様の手に、うとうとしてくる。
ベル様はいつも僕に優しい。いきなり怒ったりしない。危険なことをしたら叱ることもあるけれど、ほとんどは助けてくれた。大好きだよ。人間に指を切られたあの時、もうお母さん達に会えないと思った。
もし殺されていたら、弟や妹にも会えなかったよね。僕が今ここにいて、幸せなのはすべてベル様のお陰だ。夢の中でもずっと、ベル様と一緒にいられたらいいのに。
朝は顔を洗って、すぐに出発した。ベル様の黒くて長い髪はいつも通り綺麗だし、お肌も艶がある。僕はちゃんと昨日のお風呂で鱗を磨いた。銀色で綺麗なはずだよ。
「今日も可愛いぞ、ウェパル」
「本当? 良かった、カッコいいベル様の隣に立つんだもん。綺麗にしたんだ」
長細い植物を乾燥させて作るタワシを使い、綺麗に洗ったの。背中を洗うときは、ベル様も手伝ってくれたよ。あのタワシは、耳長のおねえさんに貰った。おねえさん達も使ってるみたい。今度、お父さんやお母さん、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも洗ってあげよう。
レラジェやキマリスも羨ましがるかな? 鱗がまだ柔らかいから、優しく撫でるだけにしよう。いろいろ考える僕の前で、ベル様は魔族から挨拶を受け始めた。慌ててきりっとした顔を作る。だって僕はベル様の奥さんなんだ。
顔見知りの人、直接は知らない人、名前も顔も知らない人。いろんな魔族が挨拶に来た。熊の獣人さんは、僕に小さなお菓子をくれた。これは何だろう? 黄色い塊がいっぱい。
「ん? 蜂蜜だな。甘いぞ」
一つ摘んで、僕の口へ押し込む。口の中でカランと音がした。ふわっといい匂いがして、甘いのがじわりと広がる。びっくりして目を見開いた。頬を両手で押さえる。
「大変、ほっぺが落ちちゃう」
「大丈夫だ、可愛い頬は残ってるぞ」
笑いながら、ベル様はおでこに口付けをくれた。口の中は甘くて、すごく幸せだ。お菓子をくれた熊の獣人さんには、後でまたお礼を言わなくちゃ。袋の中にはまだ片手くらい残っていた。
「レラジェとキマリスにもあげよう」
挨拶が終わったら、二人にも分けてあげるんだ。そう思いながら、巨人のおにいさんと向き合った。
昨日はいつもより早い時間に、お迎えが来た。レラジェもキマリスも、お父さん達と帰っていく。お祭りのために早く眠るんだと思う。じゃないと朝早くから移動するのに、疲れちゃうから。
僕はベル様と一緒に行くから、お祭りで会おうねと手を振った。お祭り、楽しみだな。お風呂に入る僕は、ベル様と今日の出来事を話す。ベル様も教えてくれるし、僕も丁寧に説明した。お祭りでたくさんご馳走が用意されるから、今日はご飯を食べない。
ベル様と巣に並んで寝そべり、足を絡めて抱きつく。たくさんの部分がくっ付いていると安心できた。ベル様も嬉しいと言っている。そっと尻尾も回した。優しく撫でるベル様の手に、うとうとしてくる。
ベル様はいつも僕に優しい。いきなり怒ったりしない。危険なことをしたら叱ることもあるけれど、ほとんどは助けてくれた。大好きだよ。人間に指を切られたあの時、もうお母さん達に会えないと思った。
もし殺されていたら、弟や妹にも会えなかったよね。僕が今ここにいて、幸せなのはすべてベル様のお陰だ。夢の中でもずっと、ベル様と一緒にいられたらいいのに。
朝は顔を洗って、すぐに出発した。ベル様の黒くて長い髪はいつも通り綺麗だし、お肌も艶がある。僕はちゃんと昨日のお風呂で鱗を磨いた。銀色で綺麗なはずだよ。
「今日も可愛いぞ、ウェパル」
「本当? 良かった、カッコいいベル様の隣に立つんだもん。綺麗にしたんだ」
長細い植物を乾燥させて作るタワシを使い、綺麗に洗ったの。背中を洗うときは、ベル様も手伝ってくれたよ。あのタワシは、耳長のおねえさんに貰った。おねえさん達も使ってるみたい。今度、お父さんやお母さん、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも洗ってあげよう。
レラジェやキマリスも羨ましがるかな? 鱗がまだ柔らかいから、優しく撫でるだけにしよう。いろいろ考える僕の前で、ベル様は魔族から挨拶を受け始めた。慌ててきりっとした顔を作る。だって僕はベル様の奥さんなんだ。
顔見知りの人、直接は知らない人、名前も顔も知らない人。いろんな魔族が挨拶に来た。熊の獣人さんは、僕に小さなお菓子をくれた。これは何だろう? 黄色い塊がいっぱい。
「ん? 蜂蜜だな。甘いぞ」
一つ摘んで、僕の口へ押し込む。口の中でカランと音がした。ふわっといい匂いがして、甘いのがじわりと広がる。びっくりして目を見開いた。頬を両手で押さえる。
「大変、ほっぺが落ちちゃう」
「大丈夫だ、可愛い頬は残ってるぞ」
笑いながら、ベル様はおでこに口付けをくれた。口の中は甘くて、すごく幸せだ。お菓子をくれた熊の獣人さんには、後でまたお礼を言わなくちゃ。袋の中にはまだ片手くらい残っていた。
「レラジェとキマリスにもあげよう」
挨拶が終わったら、二人にも分けてあげるんだ。そう思いながら、巨人のおにいさんと向き合った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
417
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる