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73.お兄ちゃんだから妹と弟を預かるの
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「あ、レラジェ! ダメだよ」
悪戯好きなレラジェが、青い鱗をきらきらさせて水に飛び込む。ばしゃっと水を周囲に撒き散らし、僕達のお家の湖を泳ぎ始めた。お母さんは特に教えていないけれど、ドラゴンの子は泳げる。僕もそうだったし、キマリスもマグマを泳ぐよ。一緒に遊ぼうと呼ぶレラジェの鳴き声に、弟キマリスはおろおろした。
泳ぐのは問題ないけれど、湖は湧き水だから冷たい。寒くなると動きが鈍くなる火竜のキマリスは、困惑した顔で僕を振り返った。この子達はまだ言葉を話せない。でも何を考えてるかは分かる。僕がお兄ちゃんだからね!
「キマリスは行きたい?」
迷いながら小さく頷く。だったら泳いでいいよと許可を出した。代わりに冷える前に僕が助けに行く。そう約束する。安心したキマリスは「キュー」と鳴いてゆっくり水に入っていった。
熱いのに弱いレラジェも、先日お父さんの洞窟へ遊びに来た。ぐったりしてたけど、楽しそうだったんだ。一緒に遊びたい二人は、普段から僕達のお家に預けられる。ベル様も許可をくれたし、吸血鬼のおじさんを始めとして魔族が集まるから、人数が増えても同じだって。
いろんな魔族がいつもいるから、お父さんやお母さんも安心して預けていた。僕はお兄ちゃんだから、ベル様のお仕事がない時は妹と弟の面倒を見るんだ。
「キマリス、まだ平気?」
泳ぐ姿は平気そう。じっと目で追いかけた。お水、今日はあまり冷たくないのかな? 手を浸してみるけれど、僕は冷たいのも熱いのも平気だから分からない。顔を上げた視線の先で、キマリスがこっちを振り向いた。
「あ! 今行く」
僕はキマリスに声をかけ、冷たい湖に入った。レラジェより速く泳げる僕は、すぐにキマリスにたどり着く。寒そうに震える弟を背中に乗せて、揺らさないよう泳いだ。落としちゃうと可哀想だから。レラジェも気づいて寄ってきたけれど、キマリスの尻尾を引っ張ったりする。
「こら、レラジェ」
尻尾を振って、レラジェを追い払った。波を起こせば、すぐに距離が離れる。僕の泳ぐ速さについてこられないの。一度沈んでから浮いて、慌てて追いかけてきた。
キマリスを草の上に下ろし、僕は寝転がる。今日は空が晴れていて、お日様が気持ちよかった。ぽかぽかするけれど、外は風が強くて寒いらしい。さっき耳長のおねえさんが教えてくれた。ここは縦穴の底だから、光は届くけれど風は来ない。
「キマリス、おいで」
僕は震える弟を抱き締めた。こうすると温かいんだ。僕はベル様に教えてもらったよ。やっと追いついたレラジェが、ふんふんと鼻を鳴らして怒る。可愛い妹も引き寄せて、一緒に転がった。しばらく暴れていたレラジェも大人しくなる頃、キマリスは寝息を立てる。
僕も眠くなってきちゃった。大きな欠伸をして、明日からのお祭りを想像する。よその魔族のお祭りは行ったことあるけれど、ドラゴンのお祭りは初めてだった。準備に忙しいお父さん達は、今頃飛び回っているのかな。
「ウェパル、眠ったのか?」
目を閉じてしばらくして、ベル様の声が聞こえた。起きてるよと答えたいのに、目蓋が開かない。それに手足が動かなかった。泥に沈んだみたいに重い。
「すっかり取られてしまったな」
呟きと一緒に頬に触れる。口付けだ! いつもと同じ触れ方に頬が緩んだ。起きたら、お返しするね。
悪戯好きなレラジェが、青い鱗をきらきらさせて水に飛び込む。ばしゃっと水を周囲に撒き散らし、僕達のお家の湖を泳ぎ始めた。お母さんは特に教えていないけれど、ドラゴンの子は泳げる。僕もそうだったし、キマリスもマグマを泳ぐよ。一緒に遊ぼうと呼ぶレラジェの鳴き声に、弟キマリスはおろおろした。
泳ぐのは問題ないけれど、湖は湧き水だから冷たい。寒くなると動きが鈍くなる火竜のキマリスは、困惑した顔で僕を振り返った。この子達はまだ言葉を話せない。でも何を考えてるかは分かる。僕がお兄ちゃんだからね!
「キマリスは行きたい?」
迷いながら小さく頷く。だったら泳いでいいよと許可を出した。代わりに冷える前に僕が助けに行く。そう約束する。安心したキマリスは「キュー」と鳴いてゆっくり水に入っていった。
熱いのに弱いレラジェも、先日お父さんの洞窟へ遊びに来た。ぐったりしてたけど、楽しそうだったんだ。一緒に遊びたい二人は、普段から僕達のお家に預けられる。ベル様も許可をくれたし、吸血鬼のおじさんを始めとして魔族が集まるから、人数が増えても同じだって。
いろんな魔族がいつもいるから、お父さんやお母さんも安心して預けていた。僕はお兄ちゃんだから、ベル様のお仕事がない時は妹と弟の面倒を見るんだ。
「キマリス、まだ平気?」
泳ぐ姿は平気そう。じっと目で追いかけた。お水、今日はあまり冷たくないのかな? 手を浸してみるけれど、僕は冷たいのも熱いのも平気だから分からない。顔を上げた視線の先で、キマリスがこっちを振り向いた。
「あ! 今行く」
僕はキマリスに声をかけ、冷たい湖に入った。レラジェより速く泳げる僕は、すぐにキマリスにたどり着く。寒そうに震える弟を背中に乗せて、揺らさないよう泳いだ。落としちゃうと可哀想だから。レラジェも気づいて寄ってきたけれど、キマリスの尻尾を引っ張ったりする。
「こら、レラジェ」
尻尾を振って、レラジェを追い払った。波を起こせば、すぐに距離が離れる。僕の泳ぐ速さについてこられないの。一度沈んでから浮いて、慌てて追いかけてきた。
キマリスを草の上に下ろし、僕は寝転がる。今日は空が晴れていて、お日様が気持ちよかった。ぽかぽかするけれど、外は風が強くて寒いらしい。さっき耳長のおねえさんが教えてくれた。ここは縦穴の底だから、光は届くけれど風は来ない。
「キマリス、おいで」
僕は震える弟を抱き締めた。こうすると温かいんだ。僕はベル様に教えてもらったよ。やっと追いついたレラジェが、ふんふんと鼻を鳴らして怒る。可愛い妹も引き寄せて、一緒に転がった。しばらく暴れていたレラジェも大人しくなる頃、キマリスは寝息を立てる。
僕も眠くなってきちゃった。大きな欠伸をして、明日からのお祭りを想像する。よその魔族のお祭りは行ったことあるけれど、ドラゴンのお祭りは初めてだった。準備に忙しいお父さん達は、今頃飛び回っているのかな。
「ウェパル、眠ったのか?」
目を閉じてしばらくして、ベル様の声が聞こえた。起きてるよと答えたいのに、目蓋が開かない。それに手足が動かなかった。泥に沈んだみたいに重い。
「すっかり取られてしまったな」
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