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68.水色の卵が割れた!
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お母さんのところへお肉を分けに行く。今は卵を温めているから、皆でご飯を分けるんだ。お父さんのところは昨日行ったから、今日は行かない。
卵はどちらも順調みたい。お母さんが抱っこする卵は水色、お空の色を薄くした感じだ。小さめで、今日も変化はなかった。
「僕がお兄ちゃんだよ、早く出てきてね」
いつも通り声をかける。これはお父さんが抱っこするピンクの卵も同じ。声を掛けると、僕のことを覚えてくれると思う。外へ出てからお兄ちゃんを知るより、先に覚えてた方がいいよね。僕もその方が嬉しい。
「あと一ヶ月」
お月様が消えて戻れば、生まれるはず。両手を卵に当てて、早くなくてもいいけど元気に生まれてねとお願いした。これはベル様に教えてもらったんだ。無理して早く出てくると、よくない場合もある。だから元気に出ておいでとお願いするんだよ。
お兄ちゃんになるから、上手にお願いしてあげたい。会うたびに、卵に両手を当てて話しかけた。お母さんはにこにこしながら見ている。
「どうしたの?」
「ふふっ、ウェパルが生まれた時のことを思い出したの」
なかなか卵が割れなくて、すごく心配して。お父さんが揺らして耳を押し当てた。でも出てこない。お祖父ちゃんがうろうろと歩き回り、お祖母ちゃんも心配して毎日一緒だった。
お母さんも半年を過ぎたのに、と首を傾げた時……転がって卵が落ちた。慌てて拾ったら、そのヒビから僕が顔を出したんだって。前に聞いたお話をまた聞いている。少し離れた場所でお肉を焼くベル様に聞こえちゃうかな。
なんだか恥ずかしいような、擽ったい感じだった。僕は覚えていないけれど、その時から僕も家族になった。大切な家族が増えるんだから、僕は少し長くても待てるよ。卵を撫でた時、ぴしっと音がした。
「お母さん!」
「早いわね」
お肉を焼いているベル様も慌てた。お母さんのために、ご飯を作ってくれていたんだけど。僕の隣で一緒に卵を覗き込む。ヒビはどんどん広がって、小さな手が突き出た。
「っ、出た!」
僕は自分の大きな声に驚いて、慌てて口を手で覆う。弟か妹かまだわからないけど、驚かせたらダメだよね。反対の手も出た。指の間に膜がある。水竜の仲間かも! お母さんもお祖父ちゃんも持ってる。僕も小さいけど、指に膜があった。同じ部分を見つけると嬉しい。
続いてぱかっと卵が二つに割れて、両側に落ちた。片方の手が殻に刺さった状態で、青い鱗の子竜が転がる。じたばた暴れて、残りの殻を割った。突き刺した手も取れたので、安心したよ。
「水竜だな」
ベル様が頷く。お母さんは感動して涙を滲ませる。でも泣かなかった。まだ小さい赤ちゃんの鱗をペロペロと舐める。
「可愛い、妹よ」
女の子だった! 妹ができて喜ぶ僕は、甲高い声を上げる。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんに知らせる合図だ。すぐに来てくれるはず! お父さんは卵があるから無理だね。
「あとで温め役を交代しに行くのはどうだ?」
「いいの? ありがとう!」
ベル様の提案に僕は笑顔で声を上げた。温めるのは僕もできる。ベル様も手伝ってくれるなら安心だった。お父さんも早く会いたいよね。
卵はどちらも順調みたい。お母さんが抱っこする卵は水色、お空の色を薄くした感じだ。小さめで、今日も変化はなかった。
「僕がお兄ちゃんだよ、早く出てきてね」
いつも通り声をかける。これはお父さんが抱っこするピンクの卵も同じ。声を掛けると、僕のことを覚えてくれると思う。外へ出てからお兄ちゃんを知るより、先に覚えてた方がいいよね。僕もその方が嬉しい。
「あと一ヶ月」
お月様が消えて戻れば、生まれるはず。両手を卵に当てて、早くなくてもいいけど元気に生まれてねとお願いした。これはベル様に教えてもらったんだ。無理して早く出てくると、よくない場合もある。だから元気に出ておいでとお願いするんだよ。
お兄ちゃんになるから、上手にお願いしてあげたい。会うたびに、卵に両手を当てて話しかけた。お母さんはにこにこしながら見ている。
「どうしたの?」
「ふふっ、ウェパルが生まれた時のことを思い出したの」
なかなか卵が割れなくて、すごく心配して。お父さんが揺らして耳を押し当てた。でも出てこない。お祖父ちゃんがうろうろと歩き回り、お祖母ちゃんも心配して毎日一緒だった。
お母さんも半年を過ぎたのに、と首を傾げた時……転がって卵が落ちた。慌てて拾ったら、そのヒビから僕が顔を出したんだって。前に聞いたお話をまた聞いている。少し離れた場所でお肉を焼くベル様に聞こえちゃうかな。
なんだか恥ずかしいような、擽ったい感じだった。僕は覚えていないけれど、その時から僕も家族になった。大切な家族が増えるんだから、僕は少し長くても待てるよ。卵を撫でた時、ぴしっと音がした。
「お母さん!」
「早いわね」
お肉を焼いているベル様も慌てた。お母さんのために、ご飯を作ってくれていたんだけど。僕の隣で一緒に卵を覗き込む。ヒビはどんどん広がって、小さな手が突き出た。
「っ、出た!」
僕は自分の大きな声に驚いて、慌てて口を手で覆う。弟か妹かまだわからないけど、驚かせたらダメだよね。反対の手も出た。指の間に膜がある。水竜の仲間かも! お母さんもお祖父ちゃんも持ってる。僕も小さいけど、指に膜があった。同じ部分を見つけると嬉しい。
続いてぱかっと卵が二つに割れて、両側に落ちた。片方の手が殻に刺さった状態で、青い鱗の子竜が転がる。じたばた暴れて、残りの殻を割った。突き刺した手も取れたので、安心したよ。
「水竜だな」
ベル様が頷く。お母さんは感動して涙を滲ませる。でも泣かなかった。まだ小さい赤ちゃんの鱗をペロペロと舐める。
「可愛い、妹よ」
女の子だった! 妹ができて喜ぶ僕は、甲高い声を上げる。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんに知らせる合図だ。すぐに来てくれるはず! お父さんは卵があるから無理だね。
「あとで温め役を交代しに行くのはどうだ?」
「いいの? ありがとう!」
ベル様の提案に僕は笑顔で声を上げた。温めるのは僕もできる。ベル様も手伝ってくれるなら安心だった。お父さんも早く会いたいよね。
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