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31.素敵な旦那さんと可愛い奥さん
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このお水に入ったら、身体中が痛くなりそう。心配していたら、ベル様が魔法で魚を捕まえてくれた。両手で抱っこしても尻尾が落ちちゃうくらい、大きいお魚だった。初めて見る種類だよ。
「焼くか、生か」
うーん、どっちも好き。あと、巨人のおねえさんが作ってくれた鍋も好き。指折り数えていると、全部作ればいいってベル様が笑う。いいの? お母さんはどれか一つにしなさい、と言うけど。
お魚をたくさん持ってお家に帰る。洞窟の中の湖に放したら、泳ぐかも! ベル様に提案したら、お水が違うから無理みたい。ピリピリするお水で暮らしていると、普通のお水はダメなのかも。
ベル様は大きな氷を作った。その中へお魚を閉じ込めるの。これで溶けるまで平気だし、溶けないように魔法を何度も掛ければいいと教えてもらった。お肉でも使える方法なんだ。
僕はあまり草や野菜を食べなくても平気。ベル様は時々食べている。吸血鬼のおじさんも食べないよね。好みの問題じゃなくて、必要性……難しい言葉だから、こっそり誰かに教えてもらおう。そう考えたのがバレたみたいで、ベル様が話してくれる。
必要性は、野菜を食べないとえいよーが偏るから。生きていくのに野菜が要る人と、要らない人がいる。ドラゴンだとお祖母ちゃん達は食べるし、僕やお父さんは食べなくても平気だ。
「ベル様が食べるなら僕も食べるよ。奥さんだもん」
「ウェパルは優しいな」
褒められちゃった。いい奥さんになるのが、今の僕の夢だ。素敵な旦那さんを手に入れたんだから、僕は可愛い奥さんになる。お祖父ちゃんにも頑張れって言ってもらった。
頭を撫でられながら、頬を擦り寄せる。そのまま口を押し付けた。口付けは仲良しの証なの。ベル様はお返しに額へ口付けをくれた。
お魚を氷に閉じ込めたら、光が当たってきらきら光る。綺麗だな。氷の中を泳いでるみたい。感動しながら、今日のお魚を湖の近くへ運ぶ。生きていると逃げちゃうから、すぐに切られた。
湖の水でよく洗って、外側の鱗を取る。ベル様が爪でぞりぞりと擦ったら、全部落ちた。上手だな、覚えて僕もやろう。ベル様が抱えてもはみだす大きさの魚は、半分に切った。骨を抜いて、片方はそのまま食べることにした。残りは焼いて食べる。
「あーんしろ」
ベル様の指がしゅっと動くと、下の魚が切れる。大きな葉っぱの上に広げたお魚は、赤い色をしていた。あーんと開けた口に、魚が入る。美味しい!
「おぃひぃ……」
両手で頬を包んで、よく味わう。三回くらい続けて食べて、僕は次のお魚を断った。並んでいるお魚を摘んで、ベル様の前に差し出す。
「ベル様も、あーん」
口を開けてくれたので、そっと置いた。歯が白くて綺麗。ベル様は美味しいと笑った。交互に食べて、生の分が終わった。
「全部このままでもいいな」
「焼いたら味が違うぞ。それと同じ魚が凍っているから安心しろ」
まだ同じ魚が残っている? じゃあ、焼いて食べてみようかな。ぽんとお腹を叩く。まだ入るよ。そう示して、ベル様が出した炎でお魚を焼くのを見守った。
「焼くか、生か」
うーん、どっちも好き。あと、巨人のおねえさんが作ってくれた鍋も好き。指折り数えていると、全部作ればいいってベル様が笑う。いいの? お母さんはどれか一つにしなさい、と言うけど。
お魚をたくさん持ってお家に帰る。洞窟の中の湖に放したら、泳ぐかも! ベル様に提案したら、お水が違うから無理みたい。ピリピリするお水で暮らしていると、普通のお水はダメなのかも。
ベル様は大きな氷を作った。その中へお魚を閉じ込めるの。これで溶けるまで平気だし、溶けないように魔法を何度も掛ければいいと教えてもらった。お肉でも使える方法なんだ。
僕はあまり草や野菜を食べなくても平気。ベル様は時々食べている。吸血鬼のおじさんも食べないよね。好みの問題じゃなくて、必要性……難しい言葉だから、こっそり誰かに教えてもらおう。そう考えたのがバレたみたいで、ベル様が話してくれる。
必要性は、野菜を食べないとえいよーが偏るから。生きていくのに野菜が要る人と、要らない人がいる。ドラゴンだとお祖母ちゃん達は食べるし、僕やお父さんは食べなくても平気だ。
「ベル様が食べるなら僕も食べるよ。奥さんだもん」
「ウェパルは優しいな」
褒められちゃった。いい奥さんになるのが、今の僕の夢だ。素敵な旦那さんを手に入れたんだから、僕は可愛い奥さんになる。お祖父ちゃんにも頑張れって言ってもらった。
頭を撫でられながら、頬を擦り寄せる。そのまま口を押し付けた。口付けは仲良しの証なの。ベル様はお返しに額へ口付けをくれた。
お魚を氷に閉じ込めたら、光が当たってきらきら光る。綺麗だな。氷の中を泳いでるみたい。感動しながら、今日のお魚を湖の近くへ運ぶ。生きていると逃げちゃうから、すぐに切られた。
湖の水でよく洗って、外側の鱗を取る。ベル様が爪でぞりぞりと擦ったら、全部落ちた。上手だな、覚えて僕もやろう。ベル様が抱えてもはみだす大きさの魚は、半分に切った。骨を抜いて、片方はそのまま食べることにした。残りは焼いて食べる。
「あーんしろ」
ベル様の指がしゅっと動くと、下の魚が切れる。大きな葉っぱの上に広げたお魚は、赤い色をしていた。あーんと開けた口に、魚が入る。美味しい!
「おぃひぃ……」
両手で頬を包んで、よく味わう。三回くらい続けて食べて、僕は次のお魚を断った。並んでいるお魚を摘んで、ベル様の前に差し出す。
「ベル様も、あーん」
口を開けてくれたので、そっと置いた。歯が白くて綺麗。ベル様は美味しいと笑った。交互に食べて、生の分が終わった。
「全部このままでもいいな」
「焼いたら味が違うぞ。それと同じ魚が凍っているから安心しろ」
まだ同じ魚が残っている? じゃあ、焼いて食べてみようかな。ぽんとお腹を叩く。まだ入るよ。そう示して、ベル様が出した炎でお魚を焼くのを見守った。
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