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14.新しいお家に巣を作ったよ
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お家が決まったら、巣作りをする。この洞窟は誰も使っていなかったので、巣の材料になる干し草がなかった。他にもベル様が必要なものもあるよね。
お父さんやお母さんに洞窟の位置を教えないと。それから近くの森を調べてご飯も。僕は立派な大人になるんだから、ちゃんと考えて動けるよ。そう話したら「えらいぞ」と褒められた。
ベル様はすぐに褒めてくれる。すごく嬉しい。ベル様の手は温かくて気持ちいいし、優しいんだ。それに声も好き、微笑むお顔も綺麗で好き。僕の好きをたくさん集めたら、ベル様になると思う。
「一度戻るぞ」
「うん」
ぎゅっとベル様に抱きつく。また移動で踵を鳴らした。二回鳴らす音は、移動の合図みたい。覚えておこう。目を閉じて、グラグラするのを耐える。すぐに背中を撫でられて、ゆっくり目を開けた。
くん……鼻をひくつかせる。お母さんの洞窟だった。匂いで判断して、尻尾を揺らす。ここは安全だから。
「やはり母親と離すのは早すぎるか」
何のお話? ベル様が遠くに行っちゃうのかな。不安になって、服を握る手に力を入れた。強く握って見上げる。僕を置いてっちゃいそうな気がした。
「そんな顔をするな、ウェパル。お前は俺の伴侶だ」
いまさら変更しない。そう言われて、にっこり笑う。よかった。僕がまだ子どもだから、心配になったの。
「あら、いらしてたのですね。ウェパルはお邪魔をしませんでしたか」
「問題ない。いい子だった」
奥から出てきたお母さんに、ベル様は僕を撫でながら返事をした。それから新しい洞窟の場所を説明して、巣作りに必要な物を尋ねる。あれこれ相談した後、道具を揃えてもらうことにした。
僕達ドラゴンは、巣材があれば暮らしていける。ご飯だって大人は三日に一度しか食べない。でもベル様は違うんだって。他の魔族から提供される道具を持っていく。
「魔族の会合が三日後にございます。そちらには顔を出されますか?」
「もちろんだ。新しい魔王の誕生を認めさせねばならぬ」
魔族の最強種はドラゴンだから、一番えらいお祖父ちゃんが認めたら決まりだ。それでも他の種族が文句を言うかもしれないから、黙らせてやるってベル様はにやりと笑った。悪い感じだけど、カッコいい。
ぽぅっと見惚れていると、ベル様に頭をぐりぐり撫でられた。
「どうした?」
「僕の旦那さんはカッコいいね」
いまの笑った顔、僕は好きだな。そう伝えたら、お母さんが「あらあら」と笑う。お父さんに聞かれたら大変だわ、と付け足した。じゃあ、お父さんの前では言わない。
今日から新しい洞窟に引っ越すことになり、僕はベル様の腕から降りた。ぺたぺたと歩き回り、お母さんから受け取った干し草を運ぶ。枯れた草よりいい匂いがするの。お祖母ちゃんが分けてくれたんだよ。
たくさんの道具を並べたベル様の足元に、草を積み上げた。巣を作るのは、向こうに着いてから。今は材料だけ運ぶんだ。お母さんに手を振って、道具と一緒に移動した。二回鳴らす合図で目を閉じる。ベル様の足にしがみついて移動し、すぐに草を運んだ。
「そこだと雨が降れば濡れるぞ」
「でも、夜のお空が見えるよ」
明るい穴の下に置いたら、ベル様がうーんと唸った。何か複雑な模様を描いて、魔力を巡らす。何も変わってない気がする。
「これでいい。好きな場所に巣を作れ」
ベル様の許可が出た。星が見える場所で、大きな木が邪魔しない場所。見つけた丸い広場で、僕は積み上げた干し草を巣に仕上げた。前回より綺麗な巣になってよかった。
お父さんやお母さんに洞窟の位置を教えないと。それから近くの森を調べてご飯も。僕は立派な大人になるんだから、ちゃんと考えて動けるよ。そう話したら「えらいぞ」と褒められた。
ベル様はすぐに褒めてくれる。すごく嬉しい。ベル様の手は温かくて気持ちいいし、優しいんだ。それに声も好き、微笑むお顔も綺麗で好き。僕の好きをたくさん集めたら、ベル様になると思う。
「一度戻るぞ」
「うん」
ぎゅっとベル様に抱きつく。また移動で踵を鳴らした。二回鳴らす音は、移動の合図みたい。覚えておこう。目を閉じて、グラグラするのを耐える。すぐに背中を撫でられて、ゆっくり目を開けた。
くん……鼻をひくつかせる。お母さんの洞窟だった。匂いで判断して、尻尾を揺らす。ここは安全だから。
「やはり母親と離すのは早すぎるか」
何のお話? ベル様が遠くに行っちゃうのかな。不安になって、服を握る手に力を入れた。強く握って見上げる。僕を置いてっちゃいそうな気がした。
「そんな顔をするな、ウェパル。お前は俺の伴侶だ」
いまさら変更しない。そう言われて、にっこり笑う。よかった。僕がまだ子どもだから、心配になったの。
「あら、いらしてたのですね。ウェパルはお邪魔をしませんでしたか」
「問題ない。いい子だった」
奥から出てきたお母さんに、ベル様は僕を撫でながら返事をした。それから新しい洞窟の場所を説明して、巣作りに必要な物を尋ねる。あれこれ相談した後、道具を揃えてもらうことにした。
僕達ドラゴンは、巣材があれば暮らしていける。ご飯だって大人は三日に一度しか食べない。でもベル様は違うんだって。他の魔族から提供される道具を持っていく。
「魔族の会合が三日後にございます。そちらには顔を出されますか?」
「もちろんだ。新しい魔王の誕生を認めさせねばならぬ」
魔族の最強種はドラゴンだから、一番えらいお祖父ちゃんが認めたら決まりだ。それでも他の種族が文句を言うかもしれないから、黙らせてやるってベル様はにやりと笑った。悪い感じだけど、カッコいい。
ぽぅっと見惚れていると、ベル様に頭をぐりぐり撫でられた。
「どうした?」
「僕の旦那さんはカッコいいね」
いまの笑った顔、僕は好きだな。そう伝えたら、お母さんが「あらあら」と笑う。お父さんに聞かれたら大変だわ、と付け足した。じゃあ、お父さんの前では言わない。
今日から新しい洞窟に引っ越すことになり、僕はベル様の腕から降りた。ぺたぺたと歩き回り、お母さんから受け取った干し草を運ぶ。枯れた草よりいい匂いがするの。お祖母ちゃんが分けてくれたんだよ。
たくさんの道具を並べたベル様の足元に、草を積み上げた。巣を作るのは、向こうに着いてから。今は材料だけ運ぶんだ。お母さんに手を振って、道具と一緒に移動した。二回鳴らす合図で目を閉じる。ベル様の足にしがみついて移動し、すぐに草を運んだ。
「そこだと雨が降れば濡れるぞ」
「でも、夜のお空が見えるよ」
明るい穴の下に置いたら、ベル様がうーんと唸った。何か複雑な模様を描いて、魔力を巡らす。何も変わってない気がする。
「これでいい。好きな場所に巣を作れ」
ベル様の許可が出た。星が見える場所で、大きな木が邪魔しない場所。見つけた丸い広場で、僕は積み上げた干し草を巣に仕上げた。前回より綺麗な巣になってよかった。
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