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46.相談そっちのけで子猫譲渡会
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嫉妬も嬉しいと頬を緩めたベリアルを見て、破れ鍋に綴じ蓋という言葉を思い出した。どんな人にも相応しい相手がいる。ヤンデレなアスモデウスに、ややドM風味のベリアルがいたように。
『そういう訳だから、重要なのはアスモデウスがいない間にベリアルが襲われる方向の心配だと思う』
性的にだ。その部分は琥珀がいるので濁した。もちろんバルテルもベリアルも察している。両者ともに頬を赤らめた。
「森人は手を出さんだろうな」
種族が違うと美的センスも変わるらしい。ベリアルを見ても、琥珀同様性的な対象に見えないと言い切った。個人差は多少あるが、基本は細すぎて相手として見れないのが本音だ。痩せ細った兎を捕まえても、美味しそうとは思わない。そう例えられて、ベリアルと一緒に納得した。
「シドウ、これ美味しい」
ベリアルの差し入れた果物を頬張る琥珀は、嬉しそうに笑う。口の端から溢れた食べカスを、ベリアルが拾った。ベトベトに汚れた口元を拭おうとすれば、大人しく待っている。その姿に警戒心はなく、かつて敵対したとは思えない親密さがあった。
「ありがと」
また果物を手に取ったので、一応注意しておく。
『琥珀、それ以上食べるとご飯が食べられなくなるぞ』
「……我慢する」
泣きそうな顔をしながら、机の上に置き直した。転がった果物を母猫ニーが匂い、興味なさそうに蹴飛ばす。これが猫に小判か……いや、全然意味が違った。子猫達が走ってきて、ベリアルの髪や服に戯れ始めた。今日は大人しく寝ていたのだが、夕方が近くなって起きたらしい。
「可愛いですね」
「よければ飼うか?」
子猫はそろそろ親離れの時期だ。固形食を食べるようになったので、飼ってくれる家を探す予定だった。同じ集落に暮らしているため、別々に飼っても毎日顔は合わせるのだが。ぶち猫のラウはアルマが引き取ると決まっていた。三毛のナウはこのままバルテルの手元に残す予定だ。
必然的に黒猫のクウをベリアルが飼う。アスモデウスの石棺を守る家は、明日から賑やかになるだろう。爪研ぎや子猫が眠る籠を用意したら、手元に引き取ることになった。
「大切に育てますね」
嬉しそうに抱き上げる腕の中で、クウは大人しく喉を鳴らす。甘えた仕草が可愛いのか、何度も頭を撫でて子猫の喉を摩った。相性は良さそうだ。それにアスモデウスが目覚めるまで数十年、一人で守るのは辛いだろうし。猫の寿命は20年ほどだから、起きたアスモデウスに嫉妬される心配もない。
相談は途中から子猫の譲渡会に変わったが、ベリアルはスッキリしたらしい。穏やかな表情で帰路についた。
「魔族ってのは攻撃的なイメージだったが、猫を可愛がるとはな。意外だった」
『ベリアルは魔族の中でも温和な方だからな。攻撃する時は容赦ないが、それはどの種族でも同じだし。このまま平和に過ごせたらいいな』
余計なフラグを立てたことに、僕が気付くのは数週間後のことだった。
『そういう訳だから、重要なのはアスモデウスがいない間にベリアルが襲われる方向の心配だと思う』
性的にだ。その部分は琥珀がいるので濁した。もちろんバルテルもベリアルも察している。両者ともに頬を赤らめた。
「森人は手を出さんだろうな」
種族が違うと美的センスも変わるらしい。ベリアルを見ても、琥珀同様性的な対象に見えないと言い切った。個人差は多少あるが、基本は細すぎて相手として見れないのが本音だ。痩せ細った兎を捕まえても、美味しそうとは思わない。そう例えられて、ベリアルと一緒に納得した。
「シドウ、これ美味しい」
ベリアルの差し入れた果物を頬張る琥珀は、嬉しそうに笑う。口の端から溢れた食べカスを、ベリアルが拾った。ベトベトに汚れた口元を拭おうとすれば、大人しく待っている。その姿に警戒心はなく、かつて敵対したとは思えない親密さがあった。
「ありがと」
また果物を手に取ったので、一応注意しておく。
『琥珀、それ以上食べるとご飯が食べられなくなるぞ』
「……我慢する」
泣きそうな顔をしながら、机の上に置き直した。転がった果物を母猫ニーが匂い、興味なさそうに蹴飛ばす。これが猫に小判か……いや、全然意味が違った。子猫達が走ってきて、ベリアルの髪や服に戯れ始めた。今日は大人しく寝ていたのだが、夕方が近くなって起きたらしい。
「可愛いですね」
「よければ飼うか?」
子猫はそろそろ親離れの時期だ。固形食を食べるようになったので、飼ってくれる家を探す予定だった。同じ集落に暮らしているため、別々に飼っても毎日顔は合わせるのだが。ぶち猫のラウはアルマが引き取ると決まっていた。三毛のナウはこのままバルテルの手元に残す予定だ。
必然的に黒猫のクウをベリアルが飼う。アスモデウスの石棺を守る家は、明日から賑やかになるだろう。爪研ぎや子猫が眠る籠を用意したら、手元に引き取ることになった。
「大切に育てますね」
嬉しそうに抱き上げる腕の中で、クウは大人しく喉を鳴らす。甘えた仕草が可愛いのか、何度も頭を撫でて子猫の喉を摩った。相性は良さそうだ。それにアスモデウスが目覚めるまで数十年、一人で守るのは辛いだろうし。猫の寿命は20年ほどだから、起きたアスモデウスに嫉妬される心配もない。
相談は途中から子猫の譲渡会に変わったが、ベリアルはスッキリしたらしい。穏やかな表情で帰路についた。
「魔族ってのは攻撃的なイメージだったが、猫を可愛がるとはな。意外だった」
『ベリアルは魔族の中でも温和な方だからな。攻撃する時は容赦ないが、それはどの種族でも同じだし。このまま平和に過ごせたらいいな』
余計なフラグを立てたことに、僕が気付くのは数週間後のことだった。
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