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26.やっとツノを探す気になったらしい
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「そのようなデマ、どこから聞きました?」
「この森の住人なら、獣でさえ知ってる事実だ」
うまくぼかして肩を竦めるバルテルは、馬鹿にしたように笑った。うまいぞ、相手を激怒させて底を探る気だ。だがさすがにベリアルほどになれば、そう簡単に崩れない。
「そうですか。森ごと焼き払えば思いだしてもらえそうですね」
おいおい、ベリアル。当初の目的を忘れてるんじゃないか? たぶん、別の用事があって森人に声を掛けた筈なのに、魔王アスモデウスが負けたと言われて頭に血が上ってやがる。冷静そうな顔と口調で、すでにキレていた。
あいつが魔法を使えば、確かに森を焼き尽くすくらい簡単だろう。それだけの魔力を単独で有している。配下の魔族を呼びだして潰せば、さらに消費できる魔力量は上がる。森人に勝ち目はないぞ。
唸りながら対策を考え始める僕を、すぽっと琥珀が引き寄せた。じっと僕を見て「怖い?」と首を傾げる。やばい、可愛いぞ。そんな場合じゃないのに。大丈夫だと伝えて、もう一度上げられないか頼んだところ、手が疲れるらしい。それはそうだ。座って右手だけ上に掲げていたのだから。
どこかの枝に乗せてくれてもいいんだが。そう伝えたが拒否された。挙句に袋に入れて立てばよく見えると、とんでもない解決方法を提示してくる。知能指数高いと思ったの、間違ってたか? 立とうとする琥珀に、ベリアルの後ろに回るようにお願いした。
いざという時は、後ろからさくっとヤるしかない。僕の魔力を大量に引き出せば、背の蝙蝠の翼を焼き払って撤退させるくらい可能だ。魔力を効率的に使えるようになれば、倒すことも出来る。今はまだ無理だけど。
「そもそも、なんの用で来た。森を焼きに来たのか」
呆れ半分でバルテルがぼやく。ベリアルを焚きつけたくせに自分は冷静なバルテルの言葉に、我に返ったベリアルが眉を寄せた。乗せられた事実が不愉快なのだ。プライドが高い奴だから当然の反応だな。
「魔王アスモデウス陛下のツノを探している」
驚くことに探し物、それも僕だった。今更? というのが僕の感想だ。あの時折れた僕を無視した挙句、勇者一行に拉致されたんだぞ。今頃現れて探してると言われても、だから? としか思わない。ムッとした僕の心の声が届いたのか、バルテルの口元が緩んだ。アルマは陰で吹き出しそうになるのを堪えた。
「なんだ、魔王様ともあろう人が、ツノに逃げられたのか」
「ツノってのは頭の上だろう。見落としたんじゃねえか?」
そんな眼鏡を上に上げたのを忘れて探す人扱いしたら、さすがに魔王が可哀想だろ。例えが良かったのか、この場の森人の大半が笑い出した。それをベリアルは嘲笑と受け止め、剣呑になっていく。
「魔王陛下を愚弄するか!」
「いやいや。魔王は強いんだろうさ、だったら頭の上のツノはどうやって消えたんだ? 折られたのか、逃げ出したのか」
バルテルがおかしいじゃねえかと指摘する。反論しようとしたベリアルがふと後ろを振り向いた。僕を握った琥珀に気づき、目を見開く。アルマが結界を展開しながら束縛の蔓を伸ばすが、ベリアルの炎が阻んだ。一瞬の羽ばたきで琥珀の前に移動し、手の中の僕をじっくり眺めてから笑った。
「そのツノを寄越しなさい」
「やだ」
即答だった。琥珀、お前……目の前の人、一応魔王軍の偉い人だぞ?
「この森の住人なら、獣でさえ知ってる事実だ」
うまくぼかして肩を竦めるバルテルは、馬鹿にしたように笑った。うまいぞ、相手を激怒させて底を探る気だ。だがさすがにベリアルほどになれば、そう簡単に崩れない。
「そうですか。森ごと焼き払えば思いだしてもらえそうですね」
おいおい、ベリアル。当初の目的を忘れてるんじゃないか? たぶん、別の用事があって森人に声を掛けた筈なのに、魔王アスモデウスが負けたと言われて頭に血が上ってやがる。冷静そうな顔と口調で、すでにキレていた。
あいつが魔法を使えば、確かに森を焼き尽くすくらい簡単だろう。それだけの魔力を単独で有している。配下の魔族を呼びだして潰せば、さらに消費できる魔力量は上がる。森人に勝ち目はないぞ。
唸りながら対策を考え始める僕を、すぽっと琥珀が引き寄せた。じっと僕を見て「怖い?」と首を傾げる。やばい、可愛いぞ。そんな場合じゃないのに。大丈夫だと伝えて、もう一度上げられないか頼んだところ、手が疲れるらしい。それはそうだ。座って右手だけ上に掲げていたのだから。
どこかの枝に乗せてくれてもいいんだが。そう伝えたが拒否された。挙句に袋に入れて立てばよく見えると、とんでもない解決方法を提示してくる。知能指数高いと思ったの、間違ってたか? 立とうとする琥珀に、ベリアルの後ろに回るようにお願いした。
いざという時は、後ろからさくっとヤるしかない。僕の魔力を大量に引き出せば、背の蝙蝠の翼を焼き払って撤退させるくらい可能だ。魔力を効率的に使えるようになれば、倒すことも出来る。今はまだ無理だけど。
「そもそも、なんの用で来た。森を焼きに来たのか」
呆れ半分でバルテルがぼやく。ベリアルを焚きつけたくせに自分は冷静なバルテルの言葉に、我に返ったベリアルが眉を寄せた。乗せられた事実が不愉快なのだ。プライドが高い奴だから当然の反応だな。
「魔王アスモデウス陛下のツノを探している」
驚くことに探し物、それも僕だった。今更? というのが僕の感想だ。あの時折れた僕を無視した挙句、勇者一行に拉致されたんだぞ。今頃現れて探してると言われても、だから? としか思わない。ムッとした僕の心の声が届いたのか、バルテルの口元が緩んだ。アルマは陰で吹き出しそうになるのを堪えた。
「なんだ、魔王様ともあろう人が、ツノに逃げられたのか」
「ツノってのは頭の上だろう。見落としたんじゃねえか?」
そんな眼鏡を上に上げたのを忘れて探す人扱いしたら、さすがに魔王が可哀想だろ。例えが良かったのか、この場の森人の大半が笑い出した。それをベリアルは嘲笑と受け止め、剣呑になっていく。
「魔王陛下を愚弄するか!」
「いやいや。魔王は強いんだろうさ、だったら頭の上のツノはどうやって消えたんだ? 折られたのか、逃げ出したのか」
バルテルがおかしいじゃねえかと指摘する。反論しようとしたベリアルがふと後ろを振り向いた。僕を握った琥珀に気づき、目を見開く。アルマが結界を展開しながら束縛の蔓を伸ばすが、ベリアルの炎が阻んだ。一瞬の羽ばたきで琥珀の前に移動し、手の中の僕をじっくり眺めてから笑った。
「そのツノを寄越しなさい」
「やだ」
即答だった。琥珀、お前……目の前の人、一応魔王軍の偉い人だぞ?
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