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4.再びの襲撃、全力で撃退だ
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言葉が拙い子どもは、まだ4歳前後だろう。両親の記憶はなく、母猫と出会ってから一緒に行動しているらしい。出会った時期はまだ暖かかった頃と表現したので、2ヵ月くらい前か。それまでの話を聞くと震えて怯えるのだ。よほど酷い生活を強いられていたようだ。
母猫は子猫を生んだ直後に現れた子どもを、我が子と一緒に育てる気だったのか。子どもの親より猫の方が優しいなんて、世も末だった。この子、人族の子じゃないかも知れない。僕がいくら説明したって、魔法を使えないはず。親のどちらかが魔法を使う種族だった可能性が高い。
魔王の頭上で情報は集めたから、知識はチートレベルだ。
「さむい、ない?」
寒くないかと尋ね、僕を大切そうに抱き込む子ども。その周りに集まった子猫と寄り添い合い、母猫が上からしっかり乗っかる状態だった。猫団子に包まれる子どもに名前を尋ねたが、大きく首を傾げるだけだった。欠伸をする様子に、これ以上の話は無理だと判断する。
明日また話そうな。そう言うと嬉しそうに笑った。表情が豊かなのが救いだな。手があって伸ばせるなら、この子を撫でて抱きしめてやりたい。願うのは自由だ。どんなに望んでも、手は生えてこないけど。
寝息が複数聞える温かな状況で、僕は妙な音に気付いた。そういえば耳も目もないのに、どうやって外の環境を感知してるのか。自分で悩んでも分からないことは放置だ。どうせ悩む時間は山ほどある。今聞こえた音に、母猫も反応した。ぴくりと耳が動くのが見える。方角からして僕の後ろ側か。
暗闇の中で音もなく首を持ち上げた母猫が、カカカッと警戒音を出した。舌打ちするような音に、子猫が敏感に反応する。子どもも顔を上げた。きょろきょろしながら僕を抱き上げ、その上に子猫を積む。ちょ、ぶちの子猫が僕を踏んでるけど。
必死にアピールすると引っ張り上げてくれた。安心した僕の前で、母猫がぶわっと毛を膨らませて威嚇する。尻尾なんて倍くらい膨らんだ。フーッと牙を剥いて威嚇する母猫に、細長い何かが巻き付いた。
蛇だっ! 早く取らないと絞められちゃうぞ。
母猫の首に絡みついた蛇は、さほど大きくない。だが母猫にしたら天敵との戦いは命がけだった。子どもは困っておろおろする。ここは僕が指示するべきか。
子猫を後ろの箱に隠して、僕だけ連れて蛇と戦うんだ。
「うん」
言われた通りに子猫を箱に入れ、子どもは母猫の前に膝を突いた。苦しそうな母猫の足が痙攣している。もう危ない。蛇は母猫の背中に噛みついていた。開いた顎を掴んで引き抜く方法を教えながら、反対の手で僕を握らせる。
僕を膝に乗せて悪戦苦闘した子どもは牙で指に傷をつけられたものの、何とか蛇を引き剥がした。握った僕を蛇に突き立てろと言ったら、目を丸くしたあと俯く。
早くしろ、噛まれちゃうぞ! お母さん猫が殺されてもいいのか!!
何度も繰り返し叫んで、ようやく僕を突き立てた。ぐさっと嫌な感触が生臭さに重なって襲って来る。自分で命じておいてなんだけど、あまり気分は良くなかった。死に際の抵抗で絞めあげられたが、僕はツノなのでノーダメージだ。
ぶわっと魔力が増える感覚があって、背筋が震えた。まあ気分の問題だけど……ぞわぞわと肌が粟立つ感じが近い。子どもに抱かれた母猫がにゃーと元気に声を上げた。彼女は無事らしい。
「いたい?」
不安そうに僕を抜いて撫でる手に、問題ないと嘘をついた。だって泣きそうな顔をしてんだもん。
母猫は子猫を生んだ直後に現れた子どもを、我が子と一緒に育てる気だったのか。子どもの親より猫の方が優しいなんて、世も末だった。この子、人族の子じゃないかも知れない。僕がいくら説明したって、魔法を使えないはず。親のどちらかが魔法を使う種族だった可能性が高い。
魔王の頭上で情報は集めたから、知識はチートレベルだ。
「さむい、ない?」
寒くないかと尋ね、僕を大切そうに抱き込む子ども。その周りに集まった子猫と寄り添い合い、母猫が上からしっかり乗っかる状態だった。猫団子に包まれる子どもに名前を尋ねたが、大きく首を傾げるだけだった。欠伸をする様子に、これ以上の話は無理だと判断する。
明日また話そうな。そう言うと嬉しそうに笑った。表情が豊かなのが救いだな。手があって伸ばせるなら、この子を撫でて抱きしめてやりたい。願うのは自由だ。どんなに望んでも、手は生えてこないけど。
寝息が複数聞える温かな状況で、僕は妙な音に気付いた。そういえば耳も目もないのに、どうやって外の環境を感知してるのか。自分で悩んでも分からないことは放置だ。どうせ悩む時間は山ほどある。今聞こえた音に、母猫も反応した。ぴくりと耳が動くのが見える。方角からして僕の後ろ側か。
暗闇の中で音もなく首を持ち上げた母猫が、カカカッと警戒音を出した。舌打ちするような音に、子猫が敏感に反応する。子どもも顔を上げた。きょろきょろしながら僕を抱き上げ、その上に子猫を積む。ちょ、ぶちの子猫が僕を踏んでるけど。
必死にアピールすると引っ張り上げてくれた。安心した僕の前で、母猫がぶわっと毛を膨らませて威嚇する。尻尾なんて倍くらい膨らんだ。フーッと牙を剥いて威嚇する母猫に、細長い何かが巻き付いた。
蛇だっ! 早く取らないと絞められちゃうぞ。
母猫の首に絡みついた蛇は、さほど大きくない。だが母猫にしたら天敵との戦いは命がけだった。子どもは困っておろおろする。ここは僕が指示するべきか。
子猫を後ろの箱に隠して、僕だけ連れて蛇と戦うんだ。
「うん」
言われた通りに子猫を箱に入れ、子どもは母猫の前に膝を突いた。苦しそうな母猫の足が痙攣している。もう危ない。蛇は母猫の背中に噛みついていた。開いた顎を掴んで引き抜く方法を教えながら、反対の手で僕を握らせる。
僕を膝に乗せて悪戦苦闘した子どもは牙で指に傷をつけられたものの、何とか蛇を引き剥がした。握った僕を蛇に突き立てろと言ったら、目を丸くしたあと俯く。
早くしろ、噛まれちゃうぞ! お母さん猫が殺されてもいいのか!!
何度も繰り返し叫んで、ようやく僕を突き立てた。ぐさっと嫌な感触が生臭さに重なって襲って来る。自分で命じておいてなんだけど、あまり気分は良くなかった。死に際の抵抗で絞めあげられたが、僕はツノなのでノーダメージだ。
ぶわっと魔力が増える感覚があって、背筋が震えた。まあ気分の問題だけど……ぞわぞわと肌が粟立つ感じが近い。子どもに抱かれた母猫がにゃーと元気に声を上げた。彼女は無事らしい。
「いたい?」
不安そうに僕を抜いて撫でる手に、問題ないと嘘をついた。だって泣きそうな顔をしてんだもん。
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