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95章 結婚式が近づくと
1298. お揃いのジュエリーはいかが?
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大公女は、四大属性をイメージしたドレスを誂える予定だ。地のルーサルカ、水のルーシア、シトリーは風を、レライエが炎だった。公式ドレスは、それぞれに地模様の違う同じクリーム色の絹のドレスを用意している。今回はそのデザインを借りる形となった。
個々に一族と行う結婚式は純白のドレスを用意するらしい。リリスが淡いピンクの宝石やパールを散らした純白のドレスに決まったので、色かぶりを防ぐために色付きドレスを纏うのだ。水色に光る青い糸を織り込んだ流水デザインがルーシアへ。髪や瞳の色と同系色で纏めたので、お飾りの宝石類の色を派手にしてバランスを取るらしい。
舞い散る葉をイメージした緑のドレスを用意されたルーサルカは、焦げ茶の髪や濃い肌色が大地を象徴している。銀灰色の瞳に合わせ、銀細工に赤い宝石を用意することに決まった。木の実のように装飾品が映えるだろう。実は義父のアスタロトの瞳の色では? と憶測が飛んだが定かではない。
シトリーは魔力量の多さを示す銀髪と銀瞳を持つ。全体に色が淡いので、濃紺のドレスを選んだ。これは肌と対照的な色を選ぶことで、引き立てる手法らしい。大人っぽく背中を抜いたデザインが特徴で、その分お飾りも胸元を中心に飾る。薄い琥珀色の小ぶりな宝石を連ねたネックレスを見つめていた。
燃える炎に似たオレンジの髪やベージュの肌に合わせ、レライエはレモンイエローのドレスを選択した。同色の濃淡を利用した上で、隣に並ぶ翡翠竜の鱗とも相性がいい色だ。胸元を大胆にレースで飾る予定なので、耳飾りと指輪を真剣に選ぶ。宝石は婚約者アムドゥスキアスの結納から探すと気合を入れていた。休みは洞窟内で宝石探検を繰り広げる。
全員の衣装が決まったところで、お飾りのデザインで紛糾した。折角だからお揃いのジュエリーを一つずつ身に着けたいと言い出したのだ。それぞれに与えられたティアラは、ドレスに合わせ属性を象徴するデザインになっていた。これを使うか、別に誂えるかで揉める。
ルーシアやシトリーは新しく作りたいし、ルーサルカとレライエはティアラで十分と考える。育った環境や金銭感覚の差が出た。彼女らの騒ぎを横目に、ルシファーは手元の書類を手早く処理した。早く仕事を終えて、リリスの装飾品を決めたい。
書類に印章を押し終えたリリスは、開いたカタログに掲載されたブローチに目を輝かせる。これ、素敵だわ。大粒の石を一つ、周囲は金の葉が包む形で固定されていた。爪を使った無粋な止め方ではなく、埋め込みを採用するのは、服や髪を絡めないようにだろう。
「これ、素敵よ。お揃いで石を変えたらどうかしら」
まだ最後の書類に目を通すルシファーを残し、隣の椅子から飛び降りたリリスは大公女達に合流した。広げたカタログのデザインに、全員が目を見開く。ブローチは盲点だった。これなら公式衣装でも付けられる。それに大粒の石を変更したり、蔦部分を流水や曲線に変更する小さなアレンジも可能だった。
「これなら個性も出せて、お揃い感覚もありますね」
「私、これがいいわ」
「大粒なのに品がいい」
それぞれの感想を聞きながら、リリスがにっこりと笑って手を叩いた。
「じゃあ、これにして少しずつデザインを変えましょうよ。折角だからそれぞれに別の人のを選ぶのはどう? 本人が選ぶといつも同じじゃない!」
書類を書き終えたルシファーがやっと顔を上げた。その時にはもう女性達の買い物相談は終わっており、誰が誰のデザインをするかで盛り上がっている。置いて行かれたルシファーは、小さく肩を落とした。間に合わなかった……机に伏せて拗ねるルシファーに気づき、リリスが声を掛けるまで。魔王はいじいじと机に指で穴を開けていたとか。
個々に一族と行う結婚式は純白のドレスを用意するらしい。リリスが淡いピンクの宝石やパールを散らした純白のドレスに決まったので、色かぶりを防ぐために色付きドレスを纏うのだ。水色に光る青い糸を織り込んだ流水デザインがルーシアへ。髪や瞳の色と同系色で纏めたので、お飾りの宝石類の色を派手にしてバランスを取るらしい。
舞い散る葉をイメージした緑のドレスを用意されたルーサルカは、焦げ茶の髪や濃い肌色が大地を象徴している。銀灰色の瞳に合わせ、銀細工に赤い宝石を用意することに決まった。木の実のように装飾品が映えるだろう。実は義父のアスタロトの瞳の色では? と憶測が飛んだが定かではない。
シトリーは魔力量の多さを示す銀髪と銀瞳を持つ。全体に色が淡いので、濃紺のドレスを選んだ。これは肌と対照的な色を選ぶことで、引き立てる手法らしい。大人っぽく背中を抜いたデザインが特徴で、その分お飾りも胸元を中心に飾る。薄い琥珀色の小ぶりな宝石を連ねたネックレスを見つめていた。
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全員の衣装が決まったところで、お飾りのデザインで紛糾した。折角だからお揃いのジュエリーを一つずつ身に着けたいと言い出したのだ。それぞれに与えられたティアラは、ドレスに合わせ属性を象徴するデザインになっていた。これを使うか、別に誂えるかで揉める。
ルーシアやシトリーは新しく作りたいし、ルーサルカとレライエはティアラで十分と考える。育った環境や金銭感覚の差が出た。彼女らの騒ぎを横目に、ルシファーは手元の書類を手早く処理した。早く仕事を終えて、リリスの装飾品を決めたい。
書類に印章を押し終えたリリスは、開いたカタログに掲載されたブローチに目を輝かせる。これ、素敵だわ。大粒の石を一つ、周囲は金の葉が包む形で固定されていた。爪を使った無粋な止め方ではなく、埋め込みを採用するのは、服や髪を絡めないようにだろう。
「これ、素敵よ。お揃いで石を変えたらどうかしら」
まだ最後の書類に目を通すルシファーを残し、隣の椅子から飛び降りたリリスは大公女達に合流した。広げたカタログのデザインに、全員が目を見開く。ブローチは盲点だった。これなら公式衣装でも付けられる。それに大粒の石を変更したり、蔦部分を流水や曲線に変更する小さなアレンジも可能だった。
「これなら個性も出せて、お揃い感覚もありますね」
「私、これがいいわ」
「大粒なのに品がいい」
それぞれの感想を聞きながら、リリスがにっこりと笑って手を叩いた。
「じゃあ、これにして少しずつデザインを変えましょうよ。折角だからそれぞれに別の人のを選ぶのはどう? 本人が選ぶといつも同じじゃない!」
書類を書き終えたルシファーがやっと顔を上げた。その時にはもう女性達の買い物相談は終わっており、誰が誰のデザインをするかで盛り上がっている。置いて行かれたルシファーは、小さく肩を落とした。間に合わなかった……机に伏せて拗ねるルシファーに気づき、リリスが声を掛けるまで。魔王はいじいじと机に指で穴を開けていたとか。
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