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37.囚われたのはどちらか ※

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 火照ってくる体をくねらせる。アザゼルの手を導いて、俺の腰に当てた。もう片方は勝手に乳首を弄ってる。抱き着いた俺の手が汗で滑り、手を伸ばして密着した。体位を入れ替えるために転がる。

「っ! ハヤト?」

「強請って欲しいんだろ? 待ってろ、その気にさせてやる」

 デカくて太いがまだ硬さの足りないアザゼルを、ゆっくりと手で煽る。体の位置をずらし、見せつけるように先端を口に含んだ。嫌悪感なんて、ここ数年でなくなった。今は期待に腹の奥が収縮するほど、慣らされてる。

「よく見てろ」

 硬くなり始めたアザゼルの上に跨り、腰を揺らす。濡れた先端が俺の穴を掠め、期待に肌が色づいた。何度も触れるだけで焦らすと、アザゼルの瞳孔が獣のように縦に裂けた。呼吸が荒くなる。

 そろそろ、か?

「アザ、ゼル……くれよ」

 卑猥な言葉なんて必要ない。まだ人生は長いみたいだし、あと数百年したら口にするかもな?

「ぁああ、ぁう、ぅンッ」

 解してもいない尻に、アザゼルが飲み込まれていく。いつの間にか慣れたけど、ぴりりと縁が痛い。でもこの方がいい。後に来る快感が大きいから。

 ぐっと締め付けながら、ゆっくりと体内に収める。揺すらずに突き上げずに待つアザゼルの端正な顔は歪み、快楽と締め付けに迷う様子が見てとれた。硬い腹筋の上に手を突いて、腰を後ろに突き出すように体勢を変える。このまま奥まで、俺のペースだ。自重で沈む杭を完全に収め、ほっと息をついた。

「動くぞ」

「ま、だっ」

 待てを躾けてる最中だ。大人しく飼われるだけの俺だと思うなよ。にやりと笑ったアザゼルが緩く腰を動かす。ほんのわずかな動きなのに、快楽を刻まれた腹は期待にうねる。絞り上げる動きで、アザゼルに快感を返した。

「待てるのか?」

 余よりハヤトが待てぬであろう。そう匂わせるアザゼルの声が聞こえた気がした。ずっと精を注がれたせいか、アザゼルの心が時々届くことがある。性的な行為の最中ばかりってのは、どうかと思うけど。

「ん……も、ちょっと」

 呼吸を整えて、アザゼルの腹に突いた手に力を込める。腰を浮かせて飲み込む。すごくたくさん動いた気がするのに、目に映ったのは僅か数センチ程度だ。くそ、これじゃまた好きに貪られて終わりじゃねえか。

「なるほど、動きたいのか」

 にやりと笑うアザゼルの顔を縁取る銀髪が、俺の黒髪の上に散らばっている。見るともなしに視線を向けたら、顎を掴んで視線を合わされた。

「目を逸らすな」

「くそっ……ん、あっ、こら……大人しく」

 待っていたら日が暮れる。そんな言葉を浴びせられ、あっという間に下からの突き上げに鳴かされた。

「やぁ、あっ……ふぅ、んぁ、ああっ」

「良い声で鳴く」

 体を支えていた腕ががくんと折れ、崩れるようにアザゼルの上に倒れた。角度の変わった雄に予想外の奥を抉られ、背が反り返った。抱き締める腕から逃れる術もないまま、アザゼルを搾る。ガクガクと全身を震わせながら達した俺は、体位を入れ替えて奥の奥に注がれた。流れ出る精を指で掬い、戻そうとするアザゼルの笑みが怖い。

「な、にっ……ん、いや、ぁあ」

 まだアザゼルを飲み込んでいっぱいに引き伸ばされた縁から、指が入り込む。こんなの、無理だ。頭が白くなって達していた。それでも容赦なく貫かれる。もう抵抗も何も出来ず、受け入れるだけの器だった。それでも敏感になった腹の奥は、まだ足りぬと蠢く。

「駆け引きなど不要だ。ハヤトは未来永劫、この魔王アザゼルの伴侶――のがしはせぬ」

 束縛激しい独占欲をぶつけられ、俺は嬉しいと感じてしまう。アザゼルには絶対に言えないけど、最強の魔王が俺に溺れてる事実は気分がいい。

「余以外の誰とも触れ合うことなく、言葉を交わすこともない。この腕の中で果てるがよい」

「なら、夢中にっ……させて、みろよ」

 息を整えながらついた悪態を、余裕の笑みで口付けと一緒に飲み込まれた。痛いくらいに注がれる愛情を飲み干しながら、俺は狂っていく。お前の言う「愛情」がやっと理解できてきた。俺以外によそ見しないよう、縛り付けてやるよ。

 この世界で俺にはお前だけでいい。お前も俺だけを見ろ。そうしたら、全部やるよ。アザゼルだけのハヤトになるか――絶対に、裏切るなよ?

 異世界に勇者として召喚され、魔王への贄にされて喰われた。美味しく召し上がった魔王は、俺に夢中だ。

 囚われたのは、果たしてどちらか。










     The END……














10/31、23時
※アスモダイ SIDEの余談が入ります。

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