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13.言い訳も理由も必要 ※
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「はっ、はな、せ! ふ……ぅん」
「甘い声と香りで誘っておいて、冷たいのではないか?」
くつりと喉の奥で笑うアザゼルの指が、胸の上を撫でる。時折悪戯を仕掛けるように触れ、押し潰した。腹の奥がじゅんと痺れる。足を突っ張って逃そうとする快楽を、さらに追加されてシーツに沈んだ。
屹立した欲望は放置されたまま、腹の奥に飲み込まされた指が悦楽を生み出す。コリコリと丁寧になぞる動きに、腰がびくんと跳ねた。もう俺の体は、支配権を放棄している。
「や、だぁ……」
必死で拒もうとする両足を大きく広げられ、左足を彼の肩に掛けられる。あらぬ場所まで丸見えの姿に、羞恥より期待が高まった。こんなのおかしい。ヤバい薬でも入れられたか。疑うほどに体は蕩けた。アザゼルの愛撫に身も世もなく悶え、啜り泣く己の声が艶を帯びる。
「ハヤト、そなたは余の花嫁だ。諦めよ」
「ひっ……ぃや、ぁう」
奥まで一気に貫かれて、きゅっと力が入った。締め付ける肉の硬さに襞が喜びの声を上げる。ぐちゅ、じゅぶ。濡れた音が耳から脳を犯した。痛みも感じないことがショックで、がくりと力が抜ける。ずっとこのままなのか? 死ぬまで。
「どこへも逃しはせぬ」
首筋にキツく吸い上げた痕を残される。肌が粟立ち、それすら快感に変換された。アザゼルの銀髪が肌を滑る感覚さえ、ゾクゾクした。耳に吹き込むように甘い声を注がれ、叩きつける勢いで抉られる。奥へ注ぐ飛沫の熱さに眩暈がした。
「同化を終えたな」
薄い腹を撫でるアザゼルが愛おしそうに囁く。断ったのに押し倒された俺は、好き勝手する男に命まで握られてしまった。自殺も出来ないし、アザゼルを殺すことも不可能だろう。
ぐぽっ……抜く時の音まで卑猥で、さらに脱力した。黒いシーツに染みを作った体液が、汗も精も関係なく俺の体を湿らせる。
「気持ち、悪い」
「隅から隅まで洗ってやろう」
すごく嫌らしい言い方をされた。身を捩る俺の両手をシーツに縫い付け、指を絡めて手を繋ぐ。上から下までじっくりと舐め回すように視姦され、肌が赤くなるのがわかった。
「大人しくしておれ」
長い爪が俺を傷つけないよう、アザゼルはシーツごと抱き上げた。不安定な姿勢を嫌って、咄嗟に身を擦り寄せる。落とされるのは御免だ。そう考えた直後、言い訳する自分に気づいた。自殺はよくて落ちるのはダメなのか? そうじゃない。自分の無意識の行動に勝手に理由をつけた。
なぜ言い訳や理由が必要なのか。突き詰めたら都合の悪い事実が出てきそうで、俺は目を閉じる。俺より20センチ近く大柄なアザゼルの腕は、安定感があった。浴室で温かいお湯をかけられ、先ほどの宣言以上に丁寧に洗われる。
暴れても一緒だ。首に鎖がついているから逃げられない。ひとつずつ言い訳しながら、好きにさせた。
「受け入れれば、この世界も悪くないぞ」
「……まだ無理」
呟いて目を閉じた。何も考えたくなかった。
「甘い声と香りで誘っておいて、冷たいのではないか?」
くつりと喉の奥で笑うアザゼルの指が、胸の上を撫でる。時折悪戯を仕掛けるように触れ、押し潰した。腹の奥がじゅんと痺れる。足を突っ張って逃そうとする快楽を、さらに追加されてシーツに沈んだ。
屹立した欲望は放置されたまま、腹の奥に飲み込まされた指が悦楽を生み出す。コリコリと丁寧になぞる動きに、腰がびくんと跳ねた。もう俺の体は、支配権を放棄している。
「や、だぁ……」
必死で拒もうとする両足を大きく広げられ、左足を彼の肩に掛けられる。あらぬ場所まで丸見えの姿に、羞恥より期待が高まった。こんなのおかしい。ヤバい薬でも入れられたか。疑うほどに体は蕩けた。アザゼルの愛撫に身も世もなく悶え、啜り泣く己の声が艶を帯びる。
「ハヤト、そなたは余の花嫁だ。諦めよ」
「ひっ……ぃや、ぁう」
奥まで一気に貫かれて、きゅっと力が入った。締め付ける肉の硬さに襞が喜びの声を上げる。ぐちゅ、じゅぶ。濡れた音が耳から脳を犯した。痛みも感じないことがショックで、がくりと力が抜ける。ずっとこのままなのか? 死ぬまで。
「どこへも逃しはせぬ」
首筋にキツく吸い上げた痕を残される。肌が粟立ち、それすら快感に変換された。アザゼルの銀髪が肌を滑る感覚さえ、ゾクゾクした。耳に吹き込むように甘い声を注がれ、叩きつける勢いで抉られる。奥へ注ぐ飛沫の熱さに眩暈がした。
「同化を終えたな」
薄い腹を撫でるアザゼルが愛おしそうに囁く。断ったのに押し倒された俺は、好き勝手する男に命まで握られてしまった。自殺も出来ないし、アザゼルを殺すことも不可能だろう。
ぐぽっ……抜く時の音まで卑猥で、さらに脱力した。黒いシーツに染みを作った体液が、汗も精も関係なく俺の体を湿らせる。
「気持ち、悪い」
「隅から隅まで洗ってやろう」
すごく嫌らしい言い方をされた。身を捩る俺の両手をシーツに縫い付け、指を絡めて手を繋ぐ。上から下までじっくりと舐め回すように視姦され、肌が赤くなるのがわかった。
「大人しくしておれ」
長い爪が俺を傷つけないよう、アザゼルはシーツごと抱き上げた。不安定な姿勢を嫌って、咄嗟に身を擦り寄せる。落とされるのは御免だ。そう考えた直後、言い訳する自分に気づいた。自殺はよくて落ちるのはダメなのか? そうじゃない。自分の無意識の行動に勝手に理由をつけた。
なぜ言い訳や理由が必要なのか。突き詰めたら都合の悪い事実が出てきそうで、俺は目を閉じる。俺より20センチ近く大柄なアザゼルの腕は、安定感があった。浴室で温かいお湯をかけられ、先ほどの宣言以上に丁寧に洗われる。
暴れても一緒だ。首に鎖がついているから逃げられない。ひとつずつ言い訳しながら、好きにさせた。
「受け入れれば、この世界も悪くないぞ」
「……まだ無理」
呟いて目を閉じた。何も考えたくなかった。
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