【完結】召喚された勇者は贄として、魔王に美味しく頂かれました

綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)

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4.未経験者には過ぎた快楽 ※微

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 投げ出されたのは、ベッドの上。柔らかな寝台がぎしりと軋んだ音を立てた。背中は痛くない。ふわりと受け止める寝具に包まれた俺は、反射的に瞑っていた目を開いた。

 薄暗い部屋は黒い家具やシーツのせいで、さらに暗く感じる。のし掛かるアザゼルの銀髪が輝いて見えた。

「やめ……っ、こんなの、おかし……ぃ!」

 唇を塞がれた後、首筋に噛み付くアザゼルを押しやりながら言葉でも抵抗する。俺は勇者として召喚されたのに、どうして押し倒されてるんだ? それも姫じゃなく異形の男性に、だ。

「諦めよ、そなたは我が贄だ」

 あっという間に裸に剥かれ、豪華なベッドに押し倒される。どこから取り出したのか、首輪が嵌められた。金属なのに冷たくない。鎖が繋がった首輪は、逃走防止か? 犬じゃないんだぞ、くそっ。

「はな、せ……っ、うぅ……ふ、ぅん……ぁ」

 叫ぶ声を遮るように唇を貪られ、流れてくる唾液を飲み込む。吐き出してやりたいが、顎を固定された状態では窒息してしまう。ごくりと動いた喉を確認し、アザゼルはうっそりと笑った。

 俺より体温が低いのか、冷たい手がするりと肌を撫でる。脇腹を上がってきた指は、予想外の場所に到達した。女じゃないのに乳首を弄られても……と思っていた数分前の自分に言いたい。あの時点で蹴飛ばしても逃げるべきだった、と。

「ふっ……うん、ぅ、あぁ」

 俺の喉から出た声で間違いないのに、高くて鼻にかかった甘えるような響きが艶っぽい。こんなの俺じゃない。嘘だろ、胸で感じるわけがないのに。全力で否定しても、体が拾っているのは快感だった。

「ハヤト、もっと感じろ」

 冗談じゃない。こっちはすでに手一杯だっての! 文句を言いたくて睨むが、涙がうっすら滲んだ目では逆効果だった。

「誘っているのか、愛い奴だ」

「ちが……ぅ、あっ」

 濡れた感触が乳首を包む。のけぞった俺の素肌は薄く汗が滲み始めた。感じすぎて勃起しているのが分かる。男相手に嘘だろと思う反面、気持ち良すぎておかしくなりそうだった。

 女性との経験もないのに、ヤラれるのか? 俺の人生は順風満帆だったのに、どこで間違ったんだ。悲観する俺の腰が心と裏腹に揺れる。しょうがないだろ、男なんて快楽に弱いんだから。

 立ち上がった俺自身に手を添えて、ふっと笑った美丈夫が身を滑らせる。のし掛かる重さが消えた。この隙に逃げようと身を捩るが、遅かった。ぬるりと先端に触れたそれが、俺の欲望を包み込む。

「う、そ……っ、うぁあ」

 自慰なんて目じゃない。こんな気持ちいいのは初めてだった。急所を咥えられて怖いのに、感じてしまう。自然と押し付けるように揺れる腰を、アザゼルの手が支えた。ぐっと込み上げる射精感に逆らえず、慌てて彼の顔を押しのける。さすがに口の中はない。

「アザ……る、むりっ、あああぁ!!」

 何とか口内から逃げたと思ったら、アザゼルの整った顔に掛けてしまった。嘘、無理、何これ。唖然とする俺は射精直後の脱力も手伝い、動けない。

「気持ちよかったようだな。黒いシーツはそなたの白い肌に映える」

 顔にかかった白濁を手で拭い、見せるつけるように舐めるアザゼルが微笑む。まだ肩で息をする俺は、その色っぽさに危険を感じた。まだ終わりじゃない気がする。やばい。後ずさろうと手をつくが、ぱしっと跳ね除けられシーツに沈んだ。上から押さえつけるアザゼルが、唇を重ねる。

 ねばっとした感触と生臭さが残る苦い味……くそっ、自分の味なんて知りたくないっての。よくこんなもの舐めたな。悪態を吐く口を塞がれて、酸欠になるまで貪られた。
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