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66.毛皮の売り込み合戦がすごい
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お弁当は、豪華なお節のようだった。お重って感じが雰囲気として近いかも。中身は洋風で、野菜やハムを挟んだパンだったり、焼いたお肉に揚げた魚もある。ただ、雰囲気っていうか、四角い箱にパックされた姿が似てるの。
「サラのお弁当箱を参考にしたのですよ」
「そうそう。職人にあれこれ注文出して作らせたんだよね」
アランが注文を出して、エルは横で口出ししたのかな。何にしろ、二人でお弁当箱を参考に作らせたみたい。職人さん、困惑してたんじゃない?
「よく出来てると感心してましたので、近々街でも販売されると思いますよ」
「聖女様のお仕事のひとつよ。異世界の知識を持ち込んで、この世界を豊かにするんだもの」
情報をリークしたアランが穏やかに告げると、リディがにこにことフォローした。そっか、ラノベの展開でよく新しい知識を持ち込むけど、こうやって異世界に広がるんだね。お弁当箱の概念がないことにびっくりしていたら、エルが教えてくれた。
「どの国もそうだけど、働きに出る民は街の料理屋で昼食を食べる。家に居れば当然作る。だから家で作って外へ運ぶ考えがなかったんだよ」
「食中毒の危険性も知らせておいてね」
首を傾げる彼らに、ご飯は暖かい日向に置きっぱなしにすると危険なこと。菌が繁殖すると腐ることを伝えた。この世界では食中毒ってないのかしら。お腹壊すことって、あるよね。
「ああ、そういう考え方なのですね。なるほど……食中毒ですか」
感心しきりのアランは、私の頭を撫でる。何かのご褒美みたいだけど、嬉しそうだった。
「そうね、古い食事を食べるとお腹を痛くする事例はあったわ。でも半日でも日向に置くと危険なのは知らないわね」
「そもそも腹など壊さん」
アゼスは踏ん反り返ってるけど、多分……鳥って死肉を食べても平気じゃなかったかな? 全部の鳥じゃないけど、カラスとかその典型例だよね。鷲は新鮮なお肉食べてそうなイメージ。
「あのピンクのお魚は食べられるの?」
「食べたことない、かも」
エルが考えながら答える。他に食べられる魚がいるので、食べようとしたことがないのだとか。赤い湖はここにしかなくて、珍しいから捕まえて帰る人は聞くけど、食べた事例は知らないみたい。
観賞魚と考えた方が良さそう。お弁当のお重からパンを手に取ろうとしたら、リディに取られた。アランが丁寧に私の手を拭いていく。最後にアゼスが浄化の魔法をかけた。完璧過ぎる除菌対策だわ。
リディにパンを半分に切ってもらい、パクリと大きな口で齧る。微風が吹いて、私の髪を揺らした。気持ちいいな。美味しいご飯、一緒に遊びに来た皆、この後お昼寝したい。
「昼寝なら僕の毛皮を貸すよ」
「何を言っている? 寝るなら羽毛だろう」
「え? 私の尻尾を抱いて寝るわよね」
「あなた方の毛皮は、暑い季節に相応しくありません。私の滑らかな毛にしましょう」
売り込みが凄くて驚くけど、揉めまくって……全員で一緒に寝た。四方向ふわっふわの毛皮に包まれて、ゴージャスだけどやっぱり暑いかな。起きたらびっしょり汗を掻いてて、自分でも驚いちゃった。
*******宣伝*******
【出来の悪い王太子殿下の婚約者ですって? 私達は承諾しておりません!】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/470462601/468630682
真実の愛は策略で生まれる ~王太子殿下の婚約者なんて絶対に嫌ですわ~
勉強は出来ず、実技も酷い。顔だけしか取り柄のない一番最初に生まれた王子というだけで、王太子の地位に就いた方。王国を支える3つの公爵家の令嬢達は、他国にも名の知れた淑女であり、王太子レオポルドの婚約者候補に名を連ねた。
「絶対にお断りだわ」
「全員一緒に断りましょうよ」
ちょうど流行している物語の主人公のように演出し、道化を演じて退場していただきましょう。王家も貴族のひとつ、慣習や礼儀作法は守っていただかないと困ります。公爵令嬢3人の策略が花開く!
ハッピーエンド確定、6話完結
「サラのお弁当箱を参考にしたのですよ」
「そうそう。職人にあれこれ注文出して作らせたんだよね」
アランが注文を出して、エルは横で口出ししたのかな。何にしろ、二人でお弁当箱を参考に作らせたみたい。職人さん、困惑してたんじゃない?
「よく出来てると感心してましたので、近々街でも販売されると思いますよ」
「聖女様のお仕事のひとつよ。異世界の知識を持ち込んで、この世界を豊かにするんだもの」
情報をリークしたアランが穏やかに告げると、リディがにこにことフォローした。そっか、ラノベの展開でよく新しい知識を持ち込むけど、こうやって異世界に広がるんだね。お弁当箱の概念がないことにびっくりしていたら、エルが教えてくれた。
「どの国もそうだけど、働きに出る民は街の料理屋で昼食を食べる。家に居れば当然作る。だから家で作って外へ運ぶ考えがなかったんだよ」
「食中毒の危険性も知らせておいてね」
首を傾げる彼らに、ご飯は暖かい日向に置きっぱなしにすると危険なこと。菌が繁殖すると腐ることを伝えた。この世界では食中毒ってないのかしら。お腹壊すことって、あるよね。
「ああ、そういう考え方なのですね。なるほど……食中毒ですか」
感心しきりのアランは、私の頭を撫でる。何かのご褒美みたいだけど、嬉しそうだった。
「そうね、古い食事を食べるとお腹を痛くする事例はあったわ。でも半日でも日向に置くと危険なのは知らないわね」
「そもそも腹など壊さん」
アゼスは踏ん反り返ってるけど、多分……鳥って死肉を食べても平気じゃなかったかな? 全部の鳥じゃないけど、カラスとかその典型例だよね。鷲は新鮮なお肉食べてそうなイメージ。
「あのピンクのお魚は食べられるの?」
「食べたことない、かも」
エルが考えながら答える。他に食べられる魚がいるので、食べようとしたことがないのだとか。赤い湖はここにしかなくて、珍しいから捕まえて帰る人は聞くけど、食べた事例は知らないみたい。
観賞魚と考えた方が良さそう。お弁当のお重からパンを手に取ろうとしたら、リディに取られた。アランが丁寧に私の手を拭いていく。最後にアゼスが浄化の魔法をかけた。完璧過ぎる除菌対策だわ。
リディにパンを半分に切ってもらい、パクリと大きな口で齧る。微風が吹いて、私の髪を揺らした。気持ちいいな。美味しいご飯、一緒に遊びに来た皆、この後お昼寝したい。
「昼寝なら僕の毛皮を貸すよ」
「何を言っている? 寝るなら羽毛だろう」
「え? 私の尻尾を抱いて寝るわよね」
「あなた方の毛皮は、暑い季節に相応しくありません。私の滑らかな毛にしましょう」
売り込みが凄くて驚くけど、揉めまくって……全員で一緒に寝た。四方向ふわっふわの毛皮に包まれて、ゴージャスだけどやっぱり暑いかな。起きたらびっしょり汗を掻いてて、自分でも驚いちゃった。
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勉強は出来ず、実技も酷い。顔だけしか取り柄のない一番最初に生まれた王子というだけで、王太子の地位に就いた方。王国を支える3つの公爵家の令嬢達は、他国にも名の知れた淑女であり、王太子レオポルドの婚約者候補に名を連ねた。
「絶対にお断りだわ」
「全員一緒に断りましょうよ」
ちょうど流行している物語の主人公のように演出し、道化を演じて退場していただきましょう。王家も貴族のひとつ、慣習や礼儀作法は守っていただかないと困ります。公爵令嬢3人の策略が花開く!
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