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57.聖女の寿命って……そんなに?
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恥ずかしいくらい顔が腫れて、エルに冷やしてもらう。その後、アランに「癒せばいいでしょう」と言われちゃった。どうしても魔法に慣れなくて。アゼスが魔法を使うと、ピリピリ痛かった目元が楽になった。ほっとしちゃう。
泣き顔を見られるのは今更だけど、やっぱり恥ずかしいんだよね。それに宮殿で働いてる人に見られるのも嫌だし。故郷を懐かしんで泣くなんて、めちゃくちゃ子どもだもん。
「サラ、自覚がないようですが……あなたはまだ子どもですよ」
短い手足を確認して笑う。
「そうだね。幼女って大きさかも」
「それもだけど、まだ生まれて20年前後でしょう? 私達は数万年単位で生きるから、サラちゃんは赤子も同然なのよ」
リディに説明されて、数字が二桁ほど多いことに驚いた。それから大急ぎでお着替えが始まる。
「こっちよ」
「ダメ、リボンがこれに決まってるんだから」
「変更すればよかろう」
アランを除く3人が喧嘩してるけど、私はアランのお膝で軽食の果物を食べていた。パーティーがあるんだって。昔読んだ本では貴族はほぼ毎日夜会を開くらしいけど、この世界も同じなのかな。
「社交シーズンが3ヶ月ほどです。その間は毎夜、どこかで夜会が開かれていますね。昼間もお茶会がありますよ」
「アランはこの国にいていいの?」
大公国でも社交シーズンなら、帝国にいたらまずいと思う。
「ご安心ください。我が国の社交シーズンは帝国と真逆の時期です」
夏は帝国の社交シーズン、大公国は真冬に行うとか。国によって気候がそんなに違うの? 北半球と南半球みたいなものかな。知ってる物で理解に努めるけど、全然違った。
帝国の冬は厳しく、雪がすごいらしい。家から出られないほど降るので、春の芽吹きに備えて貴族も領地に篭る。帝都に残る貴族は少ないみたい。逆に大公国は、農閑期に社交シーズンが設定されてた。だから冬に宴を催して、春から秋まできっちり領地で働く。大公国は雪深くない地域だった。
イメージが九州と東北になってきた。うん、わかりやすいかも。
「夏はこちらで過ごし、冬は大公国で過ごせば、一年中楽しめますよ」
アランの魅力的な提案に、私は気持ちを切り替えた。この世界を楽しみ尽くす。人間の私はたぶん後100年も生きないだろうから、全力で遊び倒そう。前の世界で短い生を終えたんだから、このくらいいいよね!
「短い?」
「100年?」
不思議そうな声と表情の聖獣達は、顔を見合わせた後で私に向き合った。
「聖女は数千年生きるはずだ」
「女神様から説明はなかったのかしら」
皇帝ご夫妻の言葉に、顔が引き攣る。え? そんなに長い人生なら、設計きちんとしないと老後が大変だわ。冷や汗が背を伝った。
泣き顔を見られるのは今更だけど、やっぱり恥ずかしいんだよね。それに宮殿で働いてる人に見られるのも嫌だし。故郷を懐かしんで泣くなんて、めちゃくちゃ子どもだもん。
「サラ、自覚がないようですが……あなたはまだ子どもですよ」
短い手足を確認して笑う。
「そうだね。幼女って大きさかも」
「それもだけど、まだ生まれて20年前後でしょう? 私達は数万年単位で生きるから、サラちゃんは赤子も同然なのよ」
リディに説明されて、数字が二桁ほど多いことに驚いた。それから大急ぎでお着替えが始まる。
「こっちよ」
「ダメ、リボンがこれに決まってるんだから」
「変更すればよかろう」
アランを除く3人が喧嘩してるけど、私はアランのお膝で軽食の果物を食べていた。パーティーがあるんだって。昔読んだ本では貴族はほぼ毎日夜会を開くらしいけど、この世界も同じなのかな。
「社交シーズンが3ヶ月ほどです。その間は毎夜、どこかで夜会が開かれていますね。昼間もお茶会がありますよ」
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「ご安心ください。我が国の社交シーズンは帝国と真逆の時期です」
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