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299.甘い香りに誘われる(SIDEセティ) ※微

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*****SIDE セティ



 にこにこと笑顔を振り撒いてスカートの裾を捲るイシスは、楽しそうだ。慌てて裾を掴んで戻すと、また捲ろうとする。首や顔が赤いから、暑いのだろう。キスで気を逸らして転移した。さすがに事情を察したドラゴン達がファフニールを止めるので、邪魔されずに済みそうだ。

 ドラゴンすら泥酔する仙桃の原酒を飲むなんて、いつもイシスは予想外のことをする。目が離せないが、そこが可愛い。惚れた伴侶を手に入れたんだから、この程度の苦労は笑顔で受け止めるべきか。くすくす笑いながら「約束だよ」とワンピースを脱ぎ去る。イシスの肌は全体に赤く色づいていた。

 白い肌が染まる様は仙桃のようだ。甘く美味しいイシスを知っているから、ごくりと喉が鳴った。手を伸ばすと抱き着いてくる。オレだけが味わえる極上の甘味――長い黒髪を結んだ紐を解き、膝の上に座らせる。向かい合わせで抱き締めることが多いため、イシスは機嫌よく首に腕を絡めた。

「食べる?」

「ああ」

「奥まで、ちゃんとぉ?」

 酔いが回って語尾が怪しいイシスにキスをする。顳や鼻、頬にキスをしていたら両手で顔を掴んで唇を合わせてきた。誰がこんなことを教えたのかと眉を顰めたものの、心当たりは自分しかいない。色気もへったくれもなく脱いだイシスの裸体がやけに艶めかしい。

 色づいた胸の飾りを舌で押し潰すと、鼻にかかった甘い声が漏れた。そういや数日抱いてなかったな。いろいろと騒動が重なり、ただ抱き締めて眠るだけだった。気づいた途端、飢えが全身を支配する。オレだけが貪ることを許された体は熟れて、早く食らえと誘う。

「セティ、僕……はふっ」

 大きな欠伸をしたイシスの目元がとろんと緩む。ここまで煽って眠られたら、今夜は眠れない。テントを守る形で結界を張り巡らせ、音や衝撃を遮断した。外のドラゴンが酔って暴れ、こちらに転がってきても問題ない。完璧に場を整え、イシスの太腿に手を滑らせた。

「ふ、ぅ……んっ」

 何度も味わった魅惑の場所を解し、指で広げていく。蜜を垂らしながら腰を揺らすイシスが、ぎゅっと強く抱き着いた。これが合図だ。もう蕩けた穴を押し広げながら、ゆっくり満たした。

 気持ちいい、もっと。たくさん食べて。奥も……あと、そこっ! セティも、気持ちいい? 可愛らしい問いかけにキスで返し、舌を絡めて吸う。解放してやった唇は、赤く濡れそぼって甲高い声を上げた。

「あっ、あぁ……ん、ふぅ。きゃうっ」

 煽るイシスの表情と声に、最奥まで貫く。悲鳴に似た声を上げたイシスだが、痛みはなかったらしい。すぐにもじもじと身を揺らした。せっかちなのは快楽を受け止めた証拠か。ゆるりと立ち上がった欲を腹で擦り上げながら、何度も何度も奥を突いた。

 たっぷり与えて奪い、疲れて動けなくなったイシスをクッションで囲った寝具に下ろす。寝台と呼ぶには低いが、クッションや敷布は柔らかい。毛布で包んだイシスを置いて、結界の外へ出た。

「……イシス、我が息子よ。なぜこんな男が良いのだ、くそ……」

 ぐちぐちと文句を言いながら酒を樽で煽る竜帝ファフニールを、妻ヴルムが慰める。

「仕方ないでしょう。番とはそういうものよ」

 ガイアとカイルスは引き上げたらしく姿が見えず、他のドラゴンも思い思いの場所で丸まっていた。よく見れば、フェリクスは黄色いドラゴンと尻尾を絡めて眠る。その隣でルードルフも赤い鱗の竜を守るようにして休んでいた。どうやらそれぞれに番を見つけたらしい。

 セティ……セティ、どこ? 不安そうに呼ぶ声に口元を緩め、オレはテントの中に戻る。目が覚めたイシスに水を多めに飲ませ、毛布ごと抱き締めて横になった。

「安心しろ、朝起きるまでこうしてる」

 安心したイシスはほわりと笑う。愛らしいその唇を奪い、眠るまで頭を撫でていた。
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