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295.神様の目って凄いんだね

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 悪いことした人は、その罰を受けるのが正しい。セティもガイアもそう言った。悪いことしたら謝るし、お仕置きがあるのも理解してる。前にセティにお仕置きされたから。僕の声が聞こえたガイアが、凄い形相で振り返ったけど……セティが何か言い訳してるけど。僕は耳を塞がれて聞こえなかった。

 カイルがにこにこと機嫌よく2人の人間を連れ去る。姿が見えなくなったら、ようやく耳を離してもらえた。お父さんが呻いた後で「叩き潰してやりたい」と零す。いつも優しいお父さんが、すごく怒ってた。へらりと笑って、お父さんの足にしがみ付く。

「お父さん、来てくれて助けてくれてありがとう」

 お礼は絶対に忘れちゃいけないの。頬ずりしたお父さんが舐めるのが擽ったくて嬉しい。奥で心配そうなカイサお姉さんの声がして、説明するためにお父さんが戻っていった。ボリスも危ないから奥にいるみたい。まだ子どもだし、痛いことされたら可哀想だよね。

「ガイアもセティもありがとう。カイルには後でお礼する」

「いい子だ」

 セティに撫でてもらいながら、首を傾げる。

「さっきの人達、道がひとつなのに驚いてたよ。僕の正面から来たのに変だね」

 疑問をそのままぶつけた。誰かと尋ねたら、何で見つかったと不思議がられた。でもルードルフお兄さんの家に、呼んでない人間が歩いてたら声を掛けると思うの。そう伝えると、セティが「ああ」と納得した顔で頷いた。

「今、真っ暗なんだけど見えるだろう?」

「うん」

 真っ暗なの? そういえば、お父さんが岩で出入口を閉めてた。少し暗いけど、ちゃんと見えるのに。自分の手を見つめていると、セティが笑ながら頭を撫でた。手を繋いで一緒に歩き出す。

「神族は暗闇も平気だし、魔法で目くらましをしても視える。おそらく姿が見えないように魔法や魔術を使ったんだろうさ」

「だから僕が見つけて驚いたの?」

「ふふっ、ドラゴンだって見抜くのにね」

 笑いながらガイアが付け足した。ドラゴンは太古の生物で、魔法を当たり前に使う。だから魔法や魔術への耐性があって、あまり効かないみたい。お父さん達が強いのはその所為かな。

「カイルはいつ戻ってくる?」

「数時間は遊んで……じゃなかった、お仕置きしてるから夜か」

 カイサお姉さんの白い鱗が見えるところまで来ると、僕を見つけたボリスが飛び出してきた。お父さんの尻尾をよじ登って乗り越え、必死に駆けてくる。ここはお兄ちゃんだから抱き締めないと! そう思って両手を広げたら、後ろでセティが支えてくれた。おかげで僕も受け止められたよ。

 ボリスに舐め回されて、浄化でセティに綺麗にしてもらう。ガイアとカイルスはお祝いに来てくれたの。新しい卵も産まれるし、ボリスにも祝福をくれるって。神様が祝福すると幸せになると聞いた。僕も神様の端っこになったから、皆に祝福をしようと思う。

 隅っこでみんなにお尻を向けて座り、セティにやり方を教えてもらう。何だか難しい言葉が多くて、首を傾げたら「幸せになーれ」で通じると言われた。本当? 簡単でよかった。

 出入口の岩を外す音がして、お母さんが帰ってくる。いっぱいのお魚は、串に刺して焼くの。お兄さん達も獲物をたくさん運んできた。毟った毛を片付けたりハーブを詰めたり、いっぱいお手伝いして他のドラゴンが来るまで過ごす。

 遊びに来てくれた鮮やかなドラゴンを、ボリスと一緒に洞窟の入り口で並んでお迎えした。綺麗な色ばっかりだ。
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