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286.卵を見張るお役目になった
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ゲリュオンとシェリアにもお土産渡したいけど、お嫁さんの卵が産まれるまで洞窟で過ごすことになった。僕とボリスは大切な役目を貰ったの。お父さんやお兄さんが留守の間に、誰かが来たら知らせる役だよ。聖地なのに入り込む人間がいるらしくて、時々卵が盗まれるみたい。
「盗んでどうするんだろう」
お父さんやお母さんから引き離したら、生まれてくる子は困るのに。ボリスが産まれた時もお乳を上げたり、温めたり、肉を食べさせたり忙しかった。小さいうちはお腹を壊しやすいから、舐めたり温めたり、あとご飯にする肉も新鮮なのがいいんだって。その日に捕まえた獲物を食べさせる。
生きたまま運ぶのが理想とお父さんが教えてくれた。ドラゴンの赤ちゃんはお世話が大変で、いっぱい愛してあげないと大きくなれない。それなのにお父さんやお母さんから離すなんて酷いね。
「そうだな、人間は盗んだ卵を売る。買った奴が魔法をかけて孵すこともあるし、薬の材料にされることもあるんだ」
セティの声が悲しそう。薬の材料にするなら、割っちゃうの? 中に赤ちゃんがいるのに!
「割って、卵の中身を使う。殻も材料になるが……割れた卵の子は死んでしまうんだ」
「僕、ちゃんと見張りする!」
ボリスもぐぉおお! と吠えた。駆け寄って、薄いピンクの卵を抱っこする。
「安心していいよ、僕とボリスで守るからね」
「おいおい、俺らも守らせてくれ」
フェリクスお兄さんが笑いながら声を掛ける。そう、家族みんなで守るんだよ。だから怖くない。安心して成長してから出てきて。待ってるからね。たくさん話しかけたら、お嫁さんが名前を教えてくれた。
「私はカイサと言うのよ、よろしくね。可愛いイシス」
カイサお姉さんと呼ぶことになった。セティの膝でご飯を食べながら、ドラゴンが名を教えるのは信頼の証だと教えてもらう。お嫁さんは僕を家族と認めて、お姉さんになったの。嬉しいと笑ったら、口の端についていたソースを舐められた。これはキスじゃないから平気。
お呪いをして眠る間、ときどき外が気になる。でもお父さんやお母さんがいる間は、僕の役目じゃないから出ていかないの。人の役目は取っちゃいけないんだよ。セティに抱っこされて、空を飛ぶ夢を見た。ふわふわと足元が柔らかくて、僕は自分だけで飛んでいたんだ。
目を覚まして少し残念だけど、土の床をしっかり踏みしめて歩く。外へ出るとお父さんやお兄さんが山を直しに出かけるところだった。ご飯は向こうで捕まえて食べるみたい。侵入者がいると怒ってるから、森に誰かいるのかな?
騒がしい鳥や魔獣の様子を見ながら、セティが眉を寄せた。
「念のためにフェルを呼んでおくか」
離れた場所にいるフェルが来るまで、ここは僕達が守らなきゃ! そういえば……エルランドお兄さんとカイサお姉さんの子どもは、僕の弟じゃないよね? なんて呼ぶんだろう。
「盗んでどうするんだろう」
お父さんやお母さんから引き離したら、生まれてくる子は困るのに。ボリスが産まれた時もお乳を上げたり、温めたり、肉を食べさせたり忙しかった。小さいうちはお腹を壊しやすいから、舐めたり温めたり、あとご飯にする肉も新鮮なのがいいんだって。その日に捕まえた獲物を食べさせる。
生きたまま運ぶのが理想とお父さんが教えてくれた。ドラゴンの赤ちゃんはお世話が大変で、いっぱい愛してあげないと大きくなれない。それなのにお父さんやお母さんから離すなんて酷いね。
「そうだな、人間は盗んだ卵を売る。買った奴が魔法をかけて孵すこともあるし、薬の材料にされることもあるんだ」
セティの声が悲しそう。薬の材料にするなら、割っちゃうの? 中に赤ちゃんがいるのに!
「割って、卵の中身を使う。殻も材料になるが……割れた卵の子は死んでしまうんだ」
「僕、ちゃんと見張りする!」
ボリスもぐぉおお! と吠えた。駆け寄って、薄いピンクの卵を抱っこする。
「安心していいよ、僕とボリスで守るからね」
「おいおい、俺らも守らせてくれ」
フェリクスお兄さんが笑いながら声を掛ける。そう、家族みんなで守るんだよ。だから怖くない。安心して成長してから出てきて。待ってるからね。たくさん話しかけたら、お嫁さんが名前を教えてくれた。
「私はカイサと言うのよ、よろしくね。可愛いイシス」
カイサお姉さんと呼ぶことになった。セティの膝でご飯を食べながら、ドラゴンが名を教えるのは信頼の証だと教えてもらう。お嫁さんは僕を家族と認めて、お姉さんになったの。嬉しいと笑ったら、口の端についていたソースを舐められた。これはキスじゃないから平気。
お呪いをして眠る間、ときどき外が気になる。でもお父さんやお母さんがいる間は、僕の役目じゃないから出ていかないの。人の役目は取っちゃいけないんだよ。セティに抱っこされて、空を飛ぶ夢を見た。ふわふわと足元が柔らかくて、僕は自分だけで飛んでいたんだ。
目を覚まして少し残念だけど、土の床をしっかり踏みしめて歩く。外へ出るとお父さんやお兄さんが山を直しに出かけるところだった。ご飯は向こうで捕まえて食べるみたい。侵入者がいると怒ってるから、森に誰かいるのかな?
騒がしい鳥や魔獣の様子を見ながら、セティが眉を寄せた。
「念のためにフェルを呼んでおくか」
離れた場所にいるフェルが来るまで、ここは僕達が守らなきゃ! そういえば……エルランドお兄さんとカイサお姉さんの子どもは、僕の弟じゃないよね? なんて呼ぶんだろう。
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