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241.神話を読んでキスをして
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いっぱい捲らないと絵が出て来ない本を、ゆっくり読んでいく。黒髪と紫の瞳の人が出てきた表紙で選んだけど、やっぱりタイフォン神様のお話だった。隣に描いてあった神様もガイアみたい。昔の神様のお話は、神話という名前がついていた。
収納の中の整理を始めたセティの近くで、ふかふかの椅子に座って広げた本の文字を指で辿る。どこを読んでたか、すぐにわかるんだよ。セティに教えてもらったの。今までは絵がいっぱいだから読んでる文字の場所がすぐわかったけど、文字ばかりになったら分からない。指の場所を左から右へ移動させながら読んだ。
タイフォン神様は世界に散らばる要らない物を壊す。そこが空いたら、今度はガイア神様が埋めるように新しい物を作る。ガイア神様が作るのは、タイフォン神様が壊した分だけ。じゃないと世界が物でいっぱいになって溢れちゃうから。
新しいページを捲って考えた。壊さないと作れない。じゃあタイフォン神様が仕事しないと、ガイア神様も仕事できないの?
「そうだ、だからオレとガイアは対で双子なんだよ」
双子は一緒に生まれた子。壊す神様と作る神様は一緒に生まれて、仲良し。僕は一緒に生まれなかったから、仲良くなるお呪いが必要だよね。じゃあ、セティは僕よりガイアの方が仲良しなのかな。
「少し違うな。仲良しというか、もう一人の自分だ」
「僕がもう一人?」
「ボリスは近いんじゃないか、仲良しのお呪いしなくても仲がいいだろ」
お母さんの4番目が僕で、5番目がボリス。一緒に大きくなったから仲がいい。そういうこと? それなら僕も分かる。頷いて続きに目を通したけど、難しい言葉が多くて半分しか読めなかった。諦めてセティの隣に移動する。手元の穴の中にいろいろ入っていた。
「もういらないから、どこかで処分するか」
小さく見えるけど、取り出すと大きい机や椅子がある。あとベッドも。それからお洋服もいっぱいだった。串焼きが入った袋もある。
「今日は果物と串焼き、ジュースにパン。それから……」
「まだあるの?」
「美味しいお菓子を見つけた。一緒に食べよう」
「うん!」
セティの「美味しい」はいつも本当になる。だから楽しみだった。どんな美味しいが待ってるんだろう。わくわくしながらセティの隣に座る。人がいない部屋の中だから、誰も怒らないよね? きょろきょろしてから、伸び上がってセティの唇にキスをした。
触れた唇を舐めて、途端に頭の後ろを押さえられて吸われる。甘くてくらくらするのに、さらに僕は転がったみたい。いつの間にか天井とセティを見上げていた。見開いた僕の目に、セティの瞳が映る。さっきまで青い目をしていたのに、今は紫色だった。僕、やっぱり紫の目のセティの方が好き。
キスはなかなか終わらなくて、僕は息が続かない。まだ我慢できるけど、もう少ししたら苦しくなっちゃうかも。鼻で息をして口でキスをするのは難しいよ。
「ふっ……ぅん、は、ぁ」
苦しくなるまでキスをして、いっぱい息を吸い込む。ごくりと喉を鳴らしたセティを見上げて、抱き着いた。
収納の中の整理を始めたセティの近くで、ふかふかの椅子に座って広げた本の文字を指で辿る。どこを読んでたか、すぐにわかるんだよ。セティに教えてもらったの。今までは絵がいっぱいだから読んでる文字の場所がすぐわかったけど、文字ばかりになったら分からない。指の場所を左から右へ移動させながら読んだ。
タイフォン神様は世界に散らばる要らない物を壊す。そこが空いたら、今度はガイア神様が埋めるように新しい物を作る。ガイア神様が作るのは、タイフォン神様が壊した分だけ。じゃないと世界が物でいっぱいになって溢れちゃうから。
新しいページを捲って考えた。壊さないと作れない。じゃあタイフォン神様が仕事しないと、ガイア神様も仕事できないの?
「そうだ、だからオレとガイアは対で双子なんだよ」
双子は一緒に生まれた子。壊す神様と作る神様は一緒に生まれて、仲良し。僕は一緒に生まれなかったから、仲良くなるお呪いが必要だよね。じゃあ、セティは僕よりガイアの方が仲良しなのかな。
「少し違うな。仲良しというか、もう一人の自分だ」
「僕がもう一人?」
「ボリスは近いんじゃないか、仲良しのお呪いしなくても仲がいいだろ」
お母さんの4番目が僕で、5番目がボリス。一緒に大きくなったから仲がいい。そういうこと? それなら僕も分かる。頷いて続きに目を通したけど、難しい言葉が多くて半分しか読めなかった。諦めてセティの隣に移動する。手元の穴の中にいろいろ入っていた。
「もういらないから、どこかで処分するか」
小さく見えるけど、取り出すと大きい机や椅子がある。あとベッドも。それからお洋服もいっぱいだった。串焼きが入った袋もある。
「今日は果物と串焼き、ジュースにパン。それから……」
「まだあるの?」
「美味しいお菓子を見つけた。一緒に食べよう」
「うん!」
セティの「美味しい」はいつも本当になる。だから楽しみだった。どんな美味しいが待ってるんだろう。わくわくしながらセティの隣に座る。人がいない部屋の中だから、誰も怒らないよね? きょろきょろしてから、伸び上がってセティの唇にキスをした。
触れた唇を舐めて、途端に頭の後ろを押さえられて吸われる。甘くてくらくらするのに、さらに僕は転がったみたい。いつの間にか天井とセティを見上げていた。見開いた僕の目に、セティの瞳が映る。さっきまで青い目をしていたのに、今は紫色だった。僕、やっぱり紫の目のセティの方が好き。
キスはなかなか終わらなくて、僕は息が続かない。まだ我慢できるけど、もう少ししたら苦しくなっちゃうかも。鼻で息をして口でキスをするのは難しいよ。
「ふっ……ぅん、は、ぁ」
苦しくなるまでキスをして、いっぱい息を吸い込む。ごくりと喉を鳴らしたセティを見上げて、抱き着いた。
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