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232.あの子達、昔の僕みたい

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 ゲリュオンのお土産だけ、革製品を売ってるお店に行った。腕に巻くならリボンじゃなく、革製のバンドがいいんだって。僕は青いリボンが似合うと思ったけど。よく狩りに行くから、布のリボンじゃ千切れちゃうと言われた。そうだね、長く使ってもらえる方がいい。

「これは?」

「ん? いいんじゃないか。太さもあるし」

 ゲリュオンの焦げ茶の髪色と同じ。腕につけるんだけど、長さも紐で調整できる。これがいい。お店の人に包んでもらって、セティのバッグに入れた。この中は収納のお部屋に繋がってる。

 お父さん達もリボンじゃない方がよかったかな? でもドラゴン用の革は売ってないと思う。凄く量が必要だもん。

「ファフニール達の場合、角に巻いてやればいい。狩りをしても角は使わないからな」

「お父さんの角立派だもんね」

 お母さんはつるんとした1本の角だけど、お父さんは2本であちこちに枝が出てる。お兄さん達は1本だったり2本だったりするけど、あんなに枝があるのはお父さんだけだった。

「ボリスはまだ角がないから、どこに巻こう」

「首でいいじゃないか、そのために長いのを買ったぞ」

 すっごく長いのを買ったけど、あれはボリス用だったのか。僕は長さを考えないで綺麗な色だけ見て買ってたけど、セティが一緒に選んでくれて助かった。全員足りる。安心してにっこり笑う。

 こっちの大陸は、向こうより少し寒い。季節が寒い時期らしい。だから上着を羽織ってる人が多くて、僕もローブを掛けて貰った。中に毛皮が入っててふわふわと暖かい。後ろに帽子が付いてて、腕の辺りに切れ目があるから手も出せるんだ。

 この服考えた人、頭いいよね。縦の裂け目は手が出せるけど、引っ込めると隙間が重なって冷たくないんだ。セティが黒いのを着て、僕は白っぽいのだった。同じ色がいいと言ったら、今度用意してくれるみたい。白いのも素敵だけど、僕はセティと同じ色がいいんだ。

 買ったばかりの串焼きを持って歩いていたら、後ろに子どもがいっぱいついてきた。寒いのにぼろぼろの服を着てて、肌が汚れてる。昔の僕みたい。お腹いっぱいご飯を食べられてないよ。

「セティ、この子達……」

「ああ、そうだな。もう少し買わないと分けるにしても足りないぞ」

 僕の分をあげてもいい? お腹空いてるみたいなんだ。そう頼もうとしたら、先にセティがお店に寄ろうと言い出した。僕が何を考えてるか気づいて、先回りしたんだ。僕が稼いだお金じゃないけど、セティはそういう優しさは大事だぞって言う。

 僕とセティがお店のある広場の中に入っていくと、あの子達は途中で足を止めた。近くの店の人が怒鳴ってる。セティは眉を顰めたあと、大急ぎで肉や野菜の串をたくさん買った。人前だから収納に入れられないので、僕も両手で抱える。ちょっとの間、手が離れちゃうけど仕方ない。セティがそう笑ったから、僕もにっこり笑う。

 子どもが追い払われちゃう前に、届けてあげなくちゃね。
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