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196.お外はどうなったの?
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お爺ちゃんにゲリュオンとシェリアを紹介して、それから覚えたことを話す。見てきた遠くの景色や美味しかったジュース、燃える鳥さん、大きな亀さん。両手を広げて一生懸命話していると、セティに抱っこされた。
「そろそろ外が片付くぞ」
ざわざわと神殿が騒がしい。僕は自分の声で聞こえてなかったけど、外にたくさん人がいるみたい。お爺ちゃんが扉を少し開けたら、白い服の神官が何かを話した。僕の知らない言葉だから、黙って聞いている。途中でタイフォンという単語があった。セティのことだ。
「セティ、お外はどうなったの?」
「竜帝の報復が一段落して、王宮を落とす前だな。国民が助けを求めて神殿に駆けつけたようだが……オレは知らん」
助けないって意味かな。セティが嫌なら仕方ないね。お爺ちゃんやジュースのお店の人が元気なら、僕はいいと思う。お母さんを傷つけた人は、お母さんと同じくらい痛い思いをして欲しいけど。
ぐああああ! 外でドラゴンの声がした。びっくりする。今のは、お父さん? それともお兄さん?
「フェリクスだな。お前を呼んでる」
僕の黒髪を撫でるセティの頬に、僕の頬を擦り付ける。フェリクスお兄さんが呼んでるの? お父さんは鱗があるから、大きな声で叫ばなくても聞こえる。お兄さんも鱗をくれたらいいのに。
「忘れてるんだろ」
「僕、フェリクスお兄さんのところ行ってくる」
「おいおい、オレを置いていくな」
外へ出ようとする僕を捕まえて、セティが笑う。振り返ったら、シェリアが頬をぱんぱんに膨らませてた。
「どうしたの?」
「悪いな。ここにあった菓子を全部口に放り込んだ」
ゲリュオンが困ったような顔をする。別にお菓子食べたのはいいけど……苦しくない? 心配になってシェリアを覗いた。もぐもぐと口を動かすたびに、少しずつ頬が元に戻っていく。大丈夫みたい。苦しくなったら大変だけど、元気なら良かった。
「神官長、あんたに加護をやるから好きにしろ」
「は、はぁ。このような年寄りに有り難き幸せにございます」
光をきらきらと与えて、セティは立ち上がった。僕をしっかり抱き寄せて、ぱちんと指を鳴らす。知らない屋根の上だった。すぐにゲリュオンとしがみついたシェリアが現れる。きょろきょろと見回した先で、お兄さん達が飛んでいるのを見つけた。
「お父さん、お母さん、お兄さん」
大きく手を振ると、フェリクスお兄さんが火を吹く。派手なお返事にくすくす笑う。ボリスを乗せたルードルフお兄さんがくるりと回って、挨拶した。
『タイフォン神の加護を失いし王家の最期を見よ!』
お父さんの声が響いた直後、高い塔のある大きなお城が……バラバラに崩れた。尻尾で叩いたりしてないのに、塔が折れて落ちてくる。屋根に穴が空き、壁が倒れてぐしゃりと潰れた。
「なんか、凄いね」
「……随分、派手な演出を用意したな」
肩を竦めるセティの手を握ったまま、僕は家族の姿を見上げていた。首が痛くなるほど、夢中で。真上にある太陽の光を浴びたドラゴンは、絵本よりずっと強くてカッコいい。
「そろそろ外が片付くぞ」
ざわざわと神殿が騒がしい。僕は自分の声で聞こえてなかったけど、外にたくさん人がいるみたい。お爺ちゃんが扉を少し開けたら、白い服の神官が何かを話した。僕の知らない言葉だから、黙って聞いている。途中でタイフォンという単語があった。セティのことだ。
「セティ、お外はどうなったの?」
「竜帝の報復が一段落して、王宮を落とす前だな。国民が助けを求めて神殿に駆けつけたようだが……オレは知らん」
助けないって意味かな。セティが嫌なら仕方ないね。お爺ちゃんやジュースのお店の人が元気なら、僕はいいと思う。お母さんを傷つけた人は、お母さんと同じくらい痛い思いをして欲しいけど。
ぐああああ! 外でドラゴンの声がした。びっくりする。今のは、お父さん? それともお兄さん?
「フェリクスだな。お前を呼んでる」
僕の黒髪を撫でるセティの頬に、僕の頬を擦り付ける。フェリクスお兄さんが呼んでるの? お父さんは鱗があるから、大きな声で叫ばなくても聞こえる。お兄さんも鱗をくれたらいいのに。
「忘れてるんだろ」
「僕、フェリクスお兄さんのところ行ってくる」
「おいおい、オレを置いていくな」
外へ出ようとする僕を捕まえて、セティが笑う。振り返ったら、シェリアが頬をぱんぱんに膨らませてた。
「どうしたの?」
「悪いな。ここにあった菓子を全部口に放り込んだ」
ゲリュオンが困ったような顔をする。別にお菓子食べたのはいいけど……苦しくない? 心配になってシェリアを覗いた。もぐもぐと口を動かすたびに、少しずつ頬が元に戻っていく。大丈夫みたい。苦しくなったら大変だけど、元気なら良かった。
「神官長、あんたに加護をやるから好きにしろ」
「は、はぁ。このような年寄りに有り難き幸せにございます」
光をきらきらと与えて、セティは立ち上がった。僕をしっかり抱き寄せて、ぱちんと指を鳴らす。知らない屋根の上だった。すぐにゲリュオンとしがみついたシェリアが現れる。きょろきょろと見回した先で、お兄さん達が飛んでいるのを見つけた。
「お父さん、お母さん、お兄さん」
大きく手を振ると、フェリクスお兄さんが火を吹く。派手なお返事にくすくす笑う。ボリスを乗せたルードルフお兄さんがくるりと回って、挨拶した。
『タイフォン神の加護を失いし王家の最期を見よ!』
お父さんの声が響いた直後、高い塔のある大きなお城が……バラバラに崩れた。尻尾で叩いたりしてないのに、塔が折れて落ちてくる。屋根に穴が空き、壁が倒れてぐしゃりと潰れた。
「なんか、凄いね」
「……随分、派手な演出を用意したな」
肩を竦めるセティの手を握ったまま、僕は家族の姿を見上げていた。首が痛くなるほど、夢中で。真上にある太陽の光を浴びたドラゴンは、絵本よりずっと強くてカッコいい。
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