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191.明日のために早く寝なさい
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朝日が出たらすぐに出かけるから、今夜は早く寝なさい。お父さんにそう言われたけど、なんで僕に言いながらセティを見てるのかな。僕だってちゃんと話聞けるのに。少し唇を尖らせると、お父さんがべろんと舐めてくれた。
お魚は焼いて食べて、お肉を香草玉のスープで煮た。フェリクスお兄さんは、香草玉が苦手みたい。くしゃみを連発して、苦しそうだった。撫でてあげたいけど、僕の手は香草玉を砕いて匂いがするから諦める。ルードルフお兄さんが狩ってきた小さい鳥は美味しかった。
黒くて小さくて、ドラゴンの羽みたいなのがある。見たことがないけど、牙が凄かった。ゲリュオンが、コウモリって呼んでたみたい。シェリアと並んで、コウモリの足を縛っていく。爪も鋭いんだよ。手を切らないように気を付けながら繋いで、大きい石の上に並べた。
大きい石はフェリクスお兄さんが温めてくれた。濡らしたコウモリを置くたびに、じゅっと音がする。驚いていると、足元の石に躓いた僕がじゅっとなった。でも痛くなくて、不思議。首を傾げていると、後ろからセティが抱っこしてくれる。
「やっぱりな。こうなると思ったんだ」
結界という安全な膜を僕の上に張ってたと言われて、だから熱くないし痛くないのかと納得した。すごい魔法があるんだね。お父さんが岩をぽんって消すのも凄いし、お兄さんのブレスも凄かった。褒めていると、ボリスが突進してくる。受け止めて笑いながら転がった。
最近、ボリスが僕に飛びつく時に加減してるね。だから転がっても痛くないの。遊んでいる間に、シェリアは目を輝かせながらコウモリを並べていた。ごめん、僕もやらなくちゃ。慌てて戻って手伝う。上からボリスもコウモリを掴んで投げた。転がって落ちそうなのを僕が並べ直す。弟が出来ない部分を手伝うのは、お兄ちゃんの役目だから。
蒸し焼きにしたコウモリは柔らかくて、外の皮を剥いでもらって齧った。フェリクスお兄さんは足りないと、四つ足がある動物を生で食べ始める。ボリスも貰って食べてた。生のお肉は、僕じゃお腹壊しそう。分けてもらったお肉は、ゲリュオンとセティが焼いてくれた。
お腹いっぱい食べて、明日の時間を確認してテントに入る。本当はルードルフお兄さんの家に向かう予定だったけど、ウーラノスに行く。セティが「怖くないぞ」って頭を撫でた。そんなに子どもじゃないよ。
夜寝る時に着る服に着替える。最近はワンピースばっかりだから、すぽんと上から脱いで、また被るだけ。この服簡単だし、ひらひらして可愛い。お姫様みたいで僕は好きだった。着替えている間、セティはじっと僕を見てる。着替え終わるとすぐに手を伸ばしてくれるから、抱き着いた。
頬にキス、額にキス、今日は唇もすぐキスしてくれた。時々意地悪して、唇はあまりくれない日もある。嬉しくて僕もキスしたら、首や胸にもいっぱいキスされた。でも顔以外のキスはちくちくするの、どうしてかな。変な声が出ちゃうんだよね。
『ごほん、早く寝なさい』
テントを突いたお父さんに叱られちゃった。
お魚は焼いて食べて、お肉を香草玉のスープで煮た。フェリクスお兄さんは、香草玉が苦手みたい。くしゃみを連発して、苦しそうだった。撫でてあげたいけど、僕の手は香草玉を砕いて匂いがするから諦める。ルードルフお兄さんが狩ってきた小さい鳥は美味しかった。
黒くて小さくて、ドラゴンの羽みたいなのがある。見たことがないけど、牙が凄かった。ゲリュオンが、コウモリって呼んでたみたい。シェリアと並んで、コウモリの足を縛っていく。爪も鋭いんだよ。手を切らないように気を付けながら繋いで、大きい石の上に並べた。
大きい石はフェリクスお兄さんが温めてくれた。濡らしたコウモリを置くたびに、じゅっと音がする。驚いていると、足元の石に躓いた僕がじゅっとなった。でも痛くなくて、不思議。首を傾げていると、後ろからセティが抱っこしてくれる。
「やっぱりな。こうなると思ったんだ」
結界という安全な膜を僕の上に張ってたと言われて、だから熱くないし痛くないのかと納得した。すごい魔法があるんだね。お父さんが岩をぽんって消すのも凄いし、お兄さんのブレスも凄かった。褒めていると、ボリスが突進してくる。受け止めて笑いながら転がった。
最近、ボリスが僕に飛びつく時に加減してるね。だから転がっても痛くないの。遊んでいる間に、シェリアは目を輝かせながらコウモリを並べていた。ごめん、僕もやらなくちゃ。慌てて戻って手伝う。上からボリスもコウモリを掴んで投げた。転がって落ちそうなのを僕が並べ直す。弟が出来ない部分を手伝うのは、お兄ちゃんの役目だから。
蒸し焼きにしたコウモリは柔らかくて、外の皮を剥いでもらって齧った。フェリクスお兄さんは足りないと、四つ足がある動物を生で食べ始める。ボリスも貰って食べてた。生のお肉は、僕じゃお腹壊しそう。分けてもらったお肉は、ゲリュオンとセティが焼いてくれた。
お腹いっぱい食べて、明日の時間を確認してテントに入る。本当はルードルフお兄さんの家に向かう予定だったけど、ウーラノスに行く。セティが「怖くないぞ」って頭を撫でた。そんなに子どもじゃないよ。
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頬にキス、額にキス、今日は唇もすぐキスしてくれた。時々意地悪して、唇はあまりくれない日もある。嬉しくて僕もキスしたら、首や胸にもいっぱいキスされた。でも顔以外のキスはちくちくするの、どうしてかな。変な声が出ちゃうんだよね。
『ごほん、早く寝なさい』
テントを突いたお父さんに叱られちゃった。
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