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182.狩りは成功だったみたい

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 お父さんとフェリクスお兄さんに駆け寄った。お兄さんは擦り傷があるけど、お父さんは平気だった。後ろからゲリュオンが降りてくる。お父さんの背中に乗ってたんだって。手に赤い色が付いてるけど、ケガしてなかった。シェリアはそっぽ向いて、ゲリュオンの方を見ないの。怒ってるの?

「待たせた、シェリア」

 焼いて用意したお魚を葉っぱの上に並べるシェリアに、ゲリュオンが声を掛ける。気づいたシェリアが泣きながら抱き着いた。しっかり抱っこしてもらって、よかったね。あんなに心配してたのに、どうしてゲリュオンが帰ってすぐ飛びつかなかったんだろう。

「イシスなら飛び付いたけど、シェリアは置いて行かれて寂しかったんだ」

「ボリスみたいに拗ねてたの?」

 くすくす笑うセティに教えてもらって、僕もなるほどと思った。一緒に行きたかったんだね。見えるところにいたら心配も半分になるし、シェリアは怖かったのかも。お父さんやお母さんと逸れたあとで、ゲリュオンしか頼る人がいないんだもん。

 シェリアが並べていたお魚は、残りをお母さんが器用に並べ始めた。慌てて駆け寄ってお手伝いする。それから葉っぱを巻いて包んで、お父さん達のところへ運んだ。葉っぱの間から熱い汁と油が出て熱いけど、落とさないで運べたんだよ。

「お父さん、フェリクスお兄さん。どうぞ」

『おう、ありがとう。温かいうちに頂く』

『イシスはもう食べたのか? ボリスはどうした』

 お父さんは僕やボリスの心配ばっかり。だからボリスはもう治って寝てると言ったら、お兄さんの目が柔らかくなる。なんだ、お兄さんもお父さんと同じくらい心配してたんだね。ぐっすり眠るボリスはお母さんの尻尾に包まれて、起きる様子はなかった。

 ボリスのケガと治療の話は、もうお父さんから聞いてたみたい。寝顔を確認して、まだ血が残ってる首を少し舐めて、フェリクスお兄さんが「ごめんな」と言った。僕は聞かないフリをするの。こういうのは本人達だけの内緒なんだよ。

 ボリスを寝かせるから動けないお母さんにお魚を届けて、お礼に舐められた。嬉しくなって舐め返してたら、セティに後ろから捕まる。そのまま火の側に運ばれて毛布を巻かれちゃった。これじゃお手伝いが出来ないのに。

「今日はもう大人しくしててくれ」

 見るとシェリアも毛布に包まれていた。同じ格好だ。隙間から出た手に器をもって、温かいスープを飲む。中にお魚が入ってて、すごく美味しい。そういえば、フェリクスお兄さん達はご飯のお肉を取りに行ったんじゃなかったっけ?

「フェリクスお兄さん、ご飯獲れたの?」

 お魚だけじゃ、小さいからお腹空いちゃう。心配になって火の近くに座ったお兄さんに聞いたら、瞬きしたあとで笑った。追いついたお父さんが、何もないところから肉を引っ張り出す。もうすでに焼かれていて、いい匂いがしていた。

 ボリスくらいある大きなお肉が三つも!

『たくさん獲れたから心配するな』

 フェリクスお兄さんは火のドラゴンだから、捕まえる時にこんがり焼いたと聞いた。凄い! 火を噴くフェリクスお兄さんカッコいい。褒めたら照れて、後ろの木を尻尾で薙ぎ倒した。ちょうどいいから、川岸からその場所にテントを移動するんだって。セティとゲリュオンが移動している間、僕とシェリアは毛布で丸くなったままスープを飲んでいた。もう大人だから手伝えるんだけどな。
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