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147.落ちてきたので拾った

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 ボリス用の枕を渡して一緒に遊ぶ。それからお父さんが捕まえた獲物を並んで食べた。ボリスの分は生で、お母さんが噛んで柔らかくするの。僕はセティが焼いてくれたのを食べる。同じお肉なのに匂いも色も違うのを頬張っていると、ゲリュオンが帰ってきた。

「あ、ゲリュオンだ」

 僕が指さした洞窟の入り口から、何かを引きずったゲリュオンが手を挙げた。先にご飯を食べたボリスが走っていく。後ろを覗き込んで、ぐるると喉を鳴らした。なんだろう、ボリスが喜ぶような物を持ってきてくれたのかな?

 食べ終えた僕も挨拶をしてから駆け寄る。ゲリュオンが運んでいたのは、大きな動物だった。僕が知らない種類の動物で、角と翼がある四本足の……これ、何だろう。僕が知る中だとお馬さんが近いんだけど。

「ユニコーン? でも翼があるな」

 お皿や道具を片付けたセティが、僕を後ろから抱きしめた。触れてるのが嬉しくて笑う。するとボリスが唸った。すぐにお母さんに何か言われて、しょんぼりした。怒られちゃったみたい。僕とセティが仲良しだから、きっと寂しかったんだと思う。

 今日は仲直りと仲良しのお呪いに、ボリスも混ぜてあげよう。にこにこしながらそう考えた僕の上で「いや、それはない」とセティが変な顔をする。すごく苦いハーブの実を噛んだ時みたいに、ぐしゃっと顔を顰めて僕にキスをした。

「ダメだぞ、ボリスは家族だからお呪いしないんだ」

 と説明された。すごく嫌そうな顔をするんだよ。家族とはしない? じゃあ、お父さんやお母さんともしないのかな。だったらケンカしたら、どうやって仲直りするの? 疑問を浮かべる僕を、大笑いしたゲリュオンが突いた。

「タイフォンを試すのはやめておけ、あとで酷い目に遭うぞ」

「余計なこと言うな」

 セティがすぐに言い返したけど、僕がセティにひどい目に遭わされることはないよ。だって、セティは優しいもん。頬ずりしたセティが、ふわっと柔らかく笑った。セティは神様だから、僕のお祈りも思いも全部繋がってる。それが嬉しいんだ。繋がってる僕は一人じゃないから。

「それで、このユニコーンもどきはどこで捕まえてきた?」

「落ちてきた」

 拾ったんだ。そう訂正したゲリュオンの声に反応し、よろよろと起き上がった翼と角があるユニコーンは、ゲリュオンに体を預けて寄り掛かる。きっとゲリュオンを好きなんだ!

「まあ、拾ったんなら責任持てよ?」

 くすくす笑うセティに、ゲリュオンは渋い顔をした。ボリスは初めて見たユニコーンに興奮したのか、ぐぁう! と大きな声で鳴く。途端にお母さんが咥えて引きずって戻った。ずるずるとお尻を擦ってるけど、痛くないのかな。ボリスはお母さんに何か言われて、びたんびたんと地面を尻尾で叩く。

 お父さんが加わって叱られたようで、しょんぼりしてお母さんの腹に顔を突っ込んでしまった。後で慰めてあげよう。洞窟の奥を見ていた僕が振り返ると……そこには綺麗な女の子がいた。
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