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145.裸で寝たらダメなの? ※微

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 あっちもこっちも、体中たくさん触ってもらった。普段は人に見せないようなところも、セティはキスしたり触ったりしたんだ。恥ずかしいのかな? よく分からない。でも熱に浮かされた時に似た感じは気持ちよくて、僕はもっとして欲しい。

「あいつらが邪魔だな」

 ぼそぼそと文句を言うセティに抱き着いて、熱い息を吐きだした。ぼんやりするけど、まだちゃんとセティが見えるよ。腕を引き寄せる僕の首にちくっと痛みが走った。

「ふっ……」

 声を詰めて息を整えようとする。でも苦しくて、同時にすごく気持ちよくて、幸せで……僕はセティを今、独り占めにしてるんだ。そう気づいたら、嬉しくて胸がきゅっとした。

「いい子だ、イシス。もう眠ろうな?」

「っ、やだ」

 もっと独り占めしたい。僕だけのセティでいて? 我が侭言ったら迷惑なのかな。僕はセティと仲良しになるお呪いをしてるのに、これ以上仲良くなれないの?

「……参った」

 呟いたセティの声に、僕は悪いことを言ってるんだと思った。困らせてる、たぶん。我慢しよう、明日だってお呪いは出来るし、仲直りも出来るから。唇を噛んで鼻を啜る僕に、セティが泣きそうな顔をした。

 やっぱり、僕……いけない子なのかな。

「あと少しだから、我慢しような。オレも我慢する」

 何の話かよく分からないけど、セティも我慢してるの? じゃあ、僕も我慢できるよ。頷いた僕の黒髪を撫でて、セティが笑う。暗いからよく分からなかったけど、セティも黒髪に戻ってた。黒っぽく見える目も、今は紫色だね。

「ほら、枕だ」

 ゲリュオンが街で受け取ってきてくれた枕は、思ってたより大きかった。布の袋に入って、長細い四角だ。僕が知ってる枕より大きいけど、ずっと柔らかかかった。

「おいで、イシス」

 裸のままで、抱っこされる。セティの肌はしっとりしてて、僕も同じだった。汗で濡れた肌をセティが魔法で綺麗にして、一緒に横になる。にっこり笑うと、セティも笑った。

 セティに抱っこされて、僕は目を閉じた。今日のお呪いはいつもと違ったね。きっと仲直りが入ってるからだ。仲良くなるより仲直りの方が大変みたい。でもいつも気持ちいいけど、それで合ってる? 僕だけ気持ちいいんだったら、セティに謝らなくちゃ。

 いろいろ考えながら、目の前にあるセティの胸に頬を押し付けた。優しく撫でてくれる手が温かくて、気づいたら朝だった。

「……うるせぇ」

 ガイアが何か言ったみたい。セティが面倒くさそうに吐き捨てた。

「襲うのはまだ早いっ!」

「わかってるよ」

「わかってたら自重して! 負担は全部イシスに……あ、おはよう」

 テン姿のガイアは後ろ足で立ち上がって叫んでたけど、僕に気づいて挨拶をしてくれた。挨拶は返すものだから「おはよう」と笑う。なぜか泣くガイアがまたセティに抗議した。

「見なよ! イシスは分かってないんだからね」

「……ぎりぎりで我慢しただろ」

「裸に剥いて舐めまわしたくせに」

 ガイアの冷めた言葉に、お母さんが慌てて首を伸ばす。洞窟の隅にある僕の服を咥えて渡してくれた。

『あらやだ、本当に裸じゃないの。イシス、服を着なさい。風邪をひいてしまうわ』

「ありがとう、お母さん」

『可愛い息子が襲われてる横にいる親の気持ちになってちょうだいね、ティフォン』

 あの人なんて早朝から八つ当たりの狩りをしてるのよ。お母さんもセティを責めるの? 僕が悪いからやめて。間に入った僕の言葉に、全員が疲れたみたいに座り込んじゃった。良かった、ケンカ終わりなら仲直りしなくちゃね。
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