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134.ガイアはお姉ちゃん?

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 泡立ててよく洗って、順番にセティに乾かしてもらう。一番目は僕だった。トムのお母さんなのにと言ったら、毛皮がないだろうと返される。そう言えば、僕だけ毛皮ないね。毛皮がないと寒いから先に乾かすと言って、僕はセティにタオルで包まれた。着替えが終わったところで、トムとガイアも出て来る。

 中でぶるぶるしたらしく、もう半分くらい乾いてた。温かい風でふわふわにしてもらったトムを受け取り、ガイアと一緒にベッドの端に座る。

「外へ飯を食いに行くにあたり、問題がある」

「僕分かる」

 トムとガイアをどうするか、でしょう? よくできたと頭を撫でてもらい、いつものバッグにトムを入れた。これでトムは平気だけど、ガイアはどうしよう。

「首に巻いていけばバレねえんじゃないか」

「……否定できないけど、僕が襟巻のフリするならイシスに巻き付くよ?」

「そりゃ……危ないな」

 間違いなく誘拐される一択みたい。値段が高そうなテンを巻いた可愛らしい子供なんて、誘拐してくれと宣伝しているようなものだ。危険度が数倍になるんだって。ところで、一択って難しい言葉だね。よく分からないけど、他に選べないとき使うの。

 僕とガイアが一緒にいたら、必ず連れてかれちゃうの? 怖いね。すぐにセティが助けてくれると思うし、いざとなったらお父さんも呼べるけど。お父さんは帝で忙しいから、あまり呼びたくないな。

「ガイア、ひとまず子供になれ」

「仕方ないね」

 溜め息をついたガイアが、するっと人型になる。なぜかスカートだった。銀の髪も長くて腰のあたりまであるよ。それから日に焼けた色の肌で、赤紫の瞳だった。前に会ったガイアが小さい女の子になったみたい。僕より少しお姉さんかな。

「姉……なら、赤毛にしておけ。目の色も合わせろ」

「わかってるよ」

 なぜか唇を尖らせて、ガイアは僕やセティとお揃いになった。凄い凄いと褒めたら、セティが「オレだってできる、やらないだけだ」と唇を尖らせる。なんだか、拗ねたトムみたい。背伸びして、椅子に座ったセティの頭を撫でてから抱き着いた。

「僕のセティはもっとカッコいいし、凄いの。ちゃんと知ってるよ」

 一生懸命伝えたら、セティが笑ってくれる。僕の言葉をちゃんと聞いてくれるのが嬉しい。聞こえないフリされないし、ちゃんと返事した。

「ちょ、やめっ……もう!」

 怒るガイアの声に振り返ると、ゲリュオンがガイアを抱き上げていた。いつもの僕と同じように、腕にお座りする形で持ち上げられてる。目の前にある茶色いゲリュオンの髪をぐしゃぐしゃにしながら、ガイアは飛び降りずに大人しくしてた。

「僕とお揃い」

「……もういいよ、それで」

 何かまだ気に入らないガイアの言葉に、セティとゲリュオンが笑い出した。今日はトムもいるし、屋台に行くみたい。たくさんの屋台が並んで、昼間みたいに明るくて、騒いでる人がいっぱいいる。

「僕、甘いジュースが飲みたい」

 買ってやるとキスしてもらい、僕は嬉しくなった。みんなで出かけるの、楽しいね。お父さんやお母さん、ボリスも来られたらいいのに。
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