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127.街に入る準備だね
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森の中に移動した。目を閉じて開いたら、もう森があるんだ。セティは神様だから力がいっぱいある。僕も出来たらいいのに。
「移動するの、大変?」
「いや。……ああ、そうだな。もう少し大きくなったらイシスにも教える」
「僕も出来るの!?」
頷くセティに抱き着いた。これならいつでもお父さんやお母さんがいる洞窟へ行けるし、ボリスにも会えるね。それに仲良くなった亀さんや燃える鳥さんにも会いに行けるよ。何より、セティと離れたときにすぐ会えるのは、安心だった。
両手を広げて喜んだ僕は、その勢いのままに抱き着いた。う゛ぎゃっ!! お腹のトムが潰されたみたい。変な声を出して飛び降り、こっちを向いて怒ってる。ごめん、忘れちゃったの。ぺしぺしとセティの腕を叩くと、笑いながら降ろしてくれた。
トムが痛がってるのに、笑ったらもっと嫌がるよ? 変なセティに首を傾げ、僕はトムの前にぺたんと座った。手を伸ばすとまだ怒ってる。うーっと唸った。
「ごめん、トム。痛かったね、撫でさせて」
だんだんと唸る声が小さくなって、トムはてくてく歩いて近づいた。指の先の匂いを嗅いで、それから頬を寄せる。伸ばして頭や耳の辺りを撫でた。嬉しくなってトムを抱っこする。服に爪を立ててしがみつくトムは、もしかして寂しかったのかな。さっきのボリスに似てる。
僕はトムのお母さんなんだから、いっぱいいっぱい大切にしなくちゃ。
「ほら、行くぞ」
促されて立ち上がり、トムを抱っこしてセティと手を繋いだ。目を見開いたセティに「歩いていく」と伝えた。疲れたら抱っこするから言うんだぞ。そう言われて大きく頷く。
森の中は膝のあたりまで草が生えていた。でも僕やセティが歩く場所は草が寝てくれる。だから歩きやすいんだ。振り返ったら、僕達が通り過ぎた後は草が起き上がってた。ちょっと手を振ってお礼をしておく。左右に大きく揺れて、まるで草が手を振ってくれたみたい。
ふふっと笑いながら、僕は避けてくれた枝を撫でる。森のみんなが優しい。セティはやっぱりすごい神様だね。
「髪や目の色を変えるからな」
「同じ色?」
「いつもの赤毛と青い目だ。お揃いにするぞ」
お揃いならいい。うんと頷いた僕の前で、セティの黒髪が短くなって赤毛になる。目も瞬きしたら紫から青になった。僕の後ろに結んだ髪も赤く変化して、セティと同じだ。黒髪は他の人に見られると覚えられちゃうから、違う色にするんだと聞いた。神様の色だから、皆が集まってきちゃうのかな。
「疲れてないか?」
「うん」
僕、お母さんのところでお肉いっぱい食べたから。それにガイアのところで大きくなったし、前よりたくさん歩けるようになった。森が切れて、向こう側が草原になった境目で足を止める。きょろきょろ見回した後、先にセティが外へ出た。繋いだ手に引かれて僕も続く。トムは眠くなったみたいで、袋の中に入っちゃった。
「街道に出れば、歩きやすくなるぞ」
「これ、道?」
茶色い土ばかりで、草がない道があった。前に見た街の近くは石が敷いてあったのに。不思議になって尋ねたら、田舎の方は土の道ばかりだと教えてもらう。歩いていると風が吹いて、土がぶわっと舞い上がった。
ちくっと目が痛い。
「うっ……」
すぐに目を閉じたけど、中でごろごろする。何か入ったのかな? 痛い、涙が出ちゃう。擦ろうとした手を、セティが止めた。やだ、痛いのに。
「移動するの、大変?」
「いや。……ああ、そうだな。もう少し大きくなったらイシスにも教える」
「僕も出来るの!?」
頷くセティに抱き着いた。これならいつでもお父さんやお母さんがいる洞窟へ行けるし、ボリスにも会えるね。それに仲良くなった亀さんや燃える鳥さんにも会いに行けるよ。何より、セティと離れたときにすぐ会えるのは、安心だった。
両手を広げて喜んだ僕は、その勢いのままに抱き着いた。う゛ぎゃっ!! お腹のトムが潰されたみたい。変な声を出して飛び降り、こっちを向いて怒ってる。ごめん、忘れちゃったの。ぺしぺしとセティの腕を叩くと、笑いながら降ろしてくれた。
トムが痛がってるのに、笑ったらもっと嫌がるよ? 変なセティに首を傾げ、僕はトムの前にぺたんと座った。手を伸ばすとまだ怒ってる。うーっと唸った。
「ごめん、トム。痛かったね、撫でさせて」
だんだんと唸る声が小さくなって、トムはてくてく歩いて近づいた。指の先の匂いを嗅いで、それから頬を寄せる。伸ばして頭や耳の辺りを撫でた。嬉しくなってトムを抱っこする。服に爪を立ててしがみつくトムは、もしかして寂しかったのかな。さっきのボリスに似てる。
僕はトムのお母さんなんだから、いっぱいいっぱい大切にしなくちゃ。
「ほら、行くぞ」
促されて立ち上がり、トムを抱っこしてセティと手を繋いだ。目を見開いたセティに「歩いていく」と伝えた。疲れたら抱っこするから言うんだぞ。そう言われて大きく頷く。
森の中は膝のあたりまで草が生えていた。でも僕やセティが歩く場所は草が寝てくれる。だから歩きやすいんだ。振り返ったら、僕達が通り過ぎた後は草が起き上がってた。ちょっと手を振ってお礼をしておく。左右に大きく揺れて、まるで草が手を振ってくれたみたい。
ふふっと笑いながら、僕は避けてくれた枝を撫でる。森のみんなが優しい。セティはやっぱりすごい神様だね。
「髪や目の色を変えるからな」
「同じ色?」
「いつもの赤毛と青い目だ。お揃いにするぞ」
お揃いならいい。うんと頷いた僕の前で、セティの黒髪が短くなって赤毛になる。目も瞬きしたら紫から青になった。僕の後ろに結んだ髪も赤く変化して、セティと同じだ。黒髪は他の人に見られると覚えられちゃうから、違う色にするんだと聞いた。神様の色だから、皆が集まってきちゃうのかな。
「疲れてないか?」
「うん」
僕、お母さんのところでお肉いっぱい食べたから。それにガイアのところで大きくなったし、前よりたくさん歩けるようになった。森が切れて、向こう側が草原になった境目で足を止める。きょろきょろ見回した後、先にセティが外へ出た。繋いだ手に引かれて僕も続く。トムは眠くなったみたいで、袋の中に入っちゃった。
「街道に出れば、歩きやすくなるぞ」
「これ、道?」
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ちくっと目が痛い。
「うっ……」
すぐに目を閉じたけど、中でごろごろする。何か入ったのかな? 痛い、涙が出ちゃう。擦ろうとした手を、セティが止めた。やだ、痛いのに。
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