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94.金色できらきらの部屋

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 ご飯を食べた後、歯を綺麗にしてからお母さんに抱き着いた。卵を抱いていたお母さんは立ち上がる。卵の横で眠るトムを置いて、僕はお母さんの手に掴まって移動した。後ろから笑いながらセティがついてくる。

 硬くて大きな鱗の腕と違って、手の先は白っぽくて鱗が小さい。手のひらは僕がすっぽり入るくらい大きかった。包まれて向かう先は、宝物がきらきらしてる洞窟の奥だ。

「どうして白い鱗は小さいの?」

『大きいと指が動かないからだよ』

 自分の手を同じような位置にして眺める。手のひらを上に向けて動かして、気づいた。

「お母さんの指、僕より1つ多い」

『そう、よく気づけたね。イシスは賢い子だよ』

 褒められて嬉しくなる。白い鱗は撫でると柔らかくて、冷たくて気持ちいい。ごろんと寝転んだら、お母さんが優しく降ろしてくれた。

「すごぉい!!」

 目の前がきらきらしてる。絵本に描いてあった宝の山だった。同じだけど絵本より目がちかちかして、痛いくらい。近づいて一つ拾う。丸くて絵が描いてあった。戻して別のを拾うと、青くて透き通ってる。金色の鎖がついていた。これは金色に青いのが捕まってるの?

「綺麗だね! この鎖はなんで?」

「ああ、それは首飾りだ。そら」

 セティの説明によると、僕の足を捕まえてた鎖とは違うんだって。首にかけてもらうと重くない。それにすぐ冷たさが気にならなくなった。お腹より上に青い透明なのがきらきらする。

『昔から光るものを見ると集めたくなるのよ』

 ふふっと笑ったお母さんが入り口に座って、うっとりと目を細めた。金色のきらきらが大好きなんだね。お母さんが好きなら、僕も見つけたら持ってこよう。いっぱいは持てないけど、セティが手伝ってくれたら、たくさん持ってこれる。

「滅びた国の財宝もあるから、奥は古いぞ。ほら、探検してこい」

 セティに言われて、きらきらを踏んづけて先へ進んだ。踏まないで歩こうとしたんだけど、場所がないんだ。奥の洞窟は部屋いっぱいにきらきらが広がっていた。足首まで埋まると急いで前に足を出す。じっとしてると、きらきらに食べられちゃいそう。

 みにゃーん。突然鳴き声と同時に、トムが飛び込んできた。同じ金色だから? 僕と違って沈まないで上を上手に走っていく。もしかして、足が僕よりたくさんだからかも。真似して手を突いて進むと、さっきより沈まなくなった。

 トムの歩き方は便利だね。じゃらじゃらと音をさせながら進んで、山の天辺から後ろへ行くと……大きな壺があった。中は何も入ってなくて、持ち上げて覗き込む。

「セティ、何か変なのある」

「どれ?」

 立って歩いてるのに沈まないセティの足元をじっと見る。僕と何が違うんだろう。すぐに近くに来たセティが、座った僕が抱いた壺をじっと眺めた後で驚いた顔をした。それから慌てた様子で周囲を見回す。首をかしげていると、セティが「トム」と子猫を呼んだ。

 僕も一緒に呼びながら探すけど、見つからない。どこかに隠れたの? 
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