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58.もっと欲しい。たくさん、もっと!
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セティのお友達が来て、一緒にご飯を食べた。僕は途中で眠くなったけど、ずっとお酒を飲みながら話していたのかな。目が覚めたのはお風呂の中だった。セティに寄り掛かった僕は欠伸をひとつ。
「ん? 起きたのか」
「うん。さっきの人は?」
「ゲリュオンなら帰ったぞ。また会いに来るよ」
近いうちにまた来ると聞いて、今度はちゃんと起きていられるよう頑張ろうと思う。ご飯をたくさん食べると眠くなるのは、ここ最近で知ったこと。そんなにお腹いっぱい食べたことなかったから、眠くならないためには残せばいいのかな? でもご飯を残すのは悪いことだよね。
ぽちゃんと水を叩いて考えていると、セティの唇が額に触れる。瞬きして見上げた先で、機嫌のいいセティがもう一度額にキスをくれた。
「こっち」
強請って目を閉じた。頬、鼻の頭、反対の頬……意地悪して唇に触れないから、むっとして尖らせた。突き出した唇にそっと重なった柔らかさに、僕はすぐ緩めてしまう。ぺろっと唇を舐めたセティの舌が、僕の口に入って舐めた。舌で追いかけるのに逃げられて、絡めて吸われる。
セティからいつもと違う匂いがした。お酒の匂いだ。ゲリュオンと飲んでた紫みたいなお酒が漂わせた匂いは、少し苦い味がした。両手を伸ばして抱き着いたセティの首や頬が少し赤い。いつもより温かいかも。
絡んだ舌を必死で吸う。じんとして背中や腰の辺りが痺れた。もっと欲しい。たくさん、もっと!
「仲良しのお呪いはここまで」
終わりだと言われたら我慢するけど、でもたくさんキスしたかった。もしかしたら僕が眠ってる間にお呪いは終わってたのかも。セティは優しいから付き合ってくれたんだね。
明日はちゃんと起きてて、ずっとセティとお呪いできるように頑張ろう。頬にすり寄ると、じょりっとする髭がなかった。手で撫でるとすべすべしている。気持ちいからもう一度頬を寄せて、そのまま寄り掛かった。
「イシス、眠いのか?」
「ううん」
そうじゃないよ。ゲリュオンが一緒にいても楽しいけど、セティを独り占めできる方が好き。こうやって僕だけ見てくれるセティが嬉しい。大好き。
「んっ……もう上がろう」
セティが焦って立ち上がる。湯船のお湯が大きく揺れて、僕を抱き上げたセティと部屋に戻った。丁寧に拭いた髪は赤くて、まだ神様の黒じゃない。寝るときの服を着て、大好きな黒い神様の絵本をもってベッドに上った。
この宿のベッドは、前の宿のベッドより高い。先に絵本を上に置いて、両手でシーツを掴んで飛び上がってから転がった。真ん中に移動して絵本を引っ張る。1枚目だけ白い服だけど、それ以外は全部好き。開いて絵本の黒髪の神様を撫でた。
「おいで。もう寝るぞ」
「おやすみ。セティ」
「ああ。おやすみ、イシス」
手招きされて、本をベッドの端に置く。近づいたセティに抱き着いて、僕は目を閉じた。普段より早いセティの心臓の音を聞きながら、ゆっくりと深呼吸する。セティの匂いがして、少しお酒の匂いも混じっていた。背中に回されたセティの腕が嬉しくて、とても安心できる。
明日もセティと一緒にいられますように。いつも通りのお祈りを神様に捧げるうちに、僕はまた眠ってしまった。
「ん? 起きたのか」
「うん。さっきの人は?」
「ゲリュオンなら帰ったぞ。また会いに来るよ」
近いうちにまた来ると聞いて、今度はちゃんと起きていられるよう頑張ろうと思う。ご飯をたくさん食べると眠くなるのは、ここ最近で知ったこと。そんなにお腹いっぱい食べたことなかったから、眠くならないためには残せばいいのかな? でもご飯を残すのは悪いことだよね。
ぽちゃんと水を叩いて考えていると、セティの唇が額に触れる。瞬きして見上げた先で、機嫌のいいセティがもう一度額にキスをくれた。
「こっち」
強請って目を閉じた。頬、鼻の頭、反対の頬……意地悪して唇に触れないから、むっとして尖らせた。突き出した唇にそっと重なった柔らかさに、僕はすぐ緩めてしまう。ぺろっと唇を舐めたセティの舌が、僕の口に入って舐めた。舌で追いかけるのに逃げられて、絡めて吸われる。
セティからいつもと違う匂いがした。お酒の匂いだ。ゲリュオンと飲んでた紫みたいなお酒が漂わせた匂いは、少し苦い味がした。両手を伸ばして抱き着いたセティの首や頬が少し赤い。いつもより温かいかも。
絡んだ舌を必死で吸う。じんとして背中や腰の辺りが痺れた。もっと欲しい。たくさん、もっと!
「仲良しのお呪いはここまで」
終わりだと言われたら我慢するけど、でもたくさんキスしたかった。もしかしたら僕が眠ってる間にお呪いは終わってたのかも。セティは優しいから付き合ってくれたんだね。
明日はちゃんと起きてて、ずっとセティとお呪いできるように頑張ろう。頬にすり寄ると、じょりっとする髭がなかった。手で撫でるとすべすべしている。気持ちいからもう一度頬を寄せて、そのまま寄り掛かった。
「イシス、眠いのか?」
「ううん」
そうじゃないよ。ゲリュオンが一緒にいても楽しいけど、セティを独り占めできる方が好き。こうやって僕だけ見てくれるセティが嬉しい。大好き。
「んっ……もう上がろう」
セティが焦って立ち上がる。湯船のお湯が大きく揺れて、僕を抱き上げたセティと部屋に戻った。丁寧に拭いた髪は赤くて、まだ神様の黒じゃない。寝るときの服を着て、大好きな黒い神様の絵本をもってベッドに上った。
この宿のベッドは、前の宿のベッドより高い。先に絵本を上に置いて、両手でシーツを掴んで飛び上がってから転がった。真ん中に移動して絵本を引っ張る。1枚目だけ白い服だけど、それ以外は全部好き。開いて絵本の黒髪の神様を撫でた。
「おいで。もう寝るぞ」
「おやすみ。セティ」
「ああ。おやすみ、イシス」
手招きされて、本をベッドの端に置く。近づいたセティに抱き着いて、僕は目を閉じた。普段より早いセティの心臓の音を聞きながら、ゆっくりと深呼吸する。セティの匂いがして、少しお酒の匂いも混じっていた。背中に回されたセティの腕が嬉しくて、とても安心できる。
明日もセティと一緒にいられますように。いつも通りのお祈りを神様に捧げるうちに、僕はまた眠ってしまった。
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