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43.仲良しの印、いっぱい

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 夜は少し早く寝た。いつもならまだ起きてる時間だけど、明日が早いから寝なさいって。仲良くなるお呪いをしてもらった。これは毎日すると、もっと仲良くなれるみたい。

 セティとうんと仲良くなりたい。少し擽ったいけど、毎日続けたら擽ったいのはなくなるのかな。このお呪いするとよく眠れる気がした。

「おはよう、イシス」

 朝、セティのキスで起きる。にっこり笑うセティにおはようと返して抱っこでベッドに座った。シーツが取れて……あれ? また僕は服を脱いじゃったの?

 首や胸にたくさん、赤いのが出来てた。虫にちくっとされたり、叩かれた痕に似ている。でもつついても痛くなかった。

「これ、なに?」

「赤いのは、仲良くなった印だ。昨日のお呪いの痕だよ。数日すると消えるから、また何度もつけないといけないんだ」

「仲良しの印……消えちゃうの?」

 全部消えて、セティが新しいの付けてくれなかったら、仲良くないのかも。どうしよう、毎日つけてもらわないと……。ぎゅっと拳を握ると、その上にセティの手が乗った。包むみたいにしてくれる。

「大丈夫、ずっと一緒にいるから付け直すよ」

「よかった」

 にっこり笑う。顔を赤くしたセティが「反則だろ」って言ったけど、どういう意味だろう。セティも裸だった。すぐに服を着て、セティと部屋でご飯を食べる。

 他の人がいない場所の方が静かだし、セティをずっと見てられるから好き。お膝に乗って、あーんして食べる。甘いジュースをもらって、昨日のストローがないのに気づいた。

「セティ、ストロー欲しい」

「ん? でも上手に出来ないだろ、苦しいぞ」

「出来るようにやる」

 セティは収納のお部屋からストローを出してくれた。細い筒をジュースに刺す。それから少し吸ったら、ジュースの色が見えた。口に入るまでゆっくり吸って、甘いのが入ったところで離す。ジュースが下まで落ちた。

 はぁ、はぁ……息が苦しいけど出来た。次はもう少し早く吸わないと、また苦しくなる。

 セティはこの部屋は今日でおしまいって言ってた。出した服や靴、食器を手早く収納へ入れてる。何もないところへ捨ててるみたいに見えた。やっぱり不思議。

 喉の奥に入らないように飲み終わった。ほっとした僕の頭をセティが撫でる。

「上手に出来たな」

「うん」

「さすがはイシスだ。いい子だ、賢いぞ」

 朝の明るい光が外から入ってきて、セティを後ろから照らした。

「いい時間だな。出かけよう」

 今日の僕は足元がひらひらした服。長いけど、踏まないくらい。青くてピカピカの黄色が入ってる。同じ青い靴で、髪にも青い紐を結んでくれた。

 セティが同じ色の服を着てる。嬉しくなって声を上げた。

「セティ、同じ。青! 僕知ってる、青」

 同じ色の服を着るのがすごく嬉しい。仲良しの印みたい。するとセティが抱っこしてキスをいっぱいしてくれた。

「ほんっと、理性もつかな」

 何か言った? 時々、セティは僕が知らない言葉を使う。早く覚えて、僕も答えられるようになりたいな。
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