44 / 321
43.仲良しの印、いっぱい
しおりを挟む
夜は少し早く寝た。いつもならまだ起きてる時間だけど、明日が早いから寝なさいって。仲良くなるお呪いをしてもらった。これは毎日すると、もっと仲良くなれるみたい。
セティとうんと仲良くなりたい。少し擽ったいけど、毎日続けたら擽ったいのはなくなるのかな。このお呪いするとよく眠れる気がした。
「おはよう、イシス」
朝、セティのキスで起きる。にっこり笑うセティにおはようと返して抱っこでベッドに座った。シーツが取れて……あれ? また僕は服を脱いじゃったの?
首や胸にたくさん、赤いのが出来てた。虫にちくっとされたり、叩かれた痕に似ている。でもつついても痛くなかった。
「これ、なに?」
「赤いのは、仲良くなった印だ。昨日のお呪いの痕だよ。数日すると消えるから、また何度もつけないといけないんだ」
「仲良しの印……消えちゃうの?」
全部消えて、セティが新しいの付けてくれなかったら、仲良くないのかも。どうしよう、毎日つけてもらわないと……。ぎゅっと拳を握ると、その上にセティの手が乗った。包むみたいにしてくれる。
「大丈夫、ずっと一緒にいるから付け直すよ」
「よかった」
にっこり笑う。顔を赤くしたセティが「反則だろ」って言ったけど、どういう意味だろう。セティも裸だった。すぐに服を着て、セティと部屋でご飯を食べる。
他の人がいない場所の方が静かだし、セティをずっと見てられるから好き。お膝に乗って、あーんして食べる。甘いジュースをもらって、昨日のストローがないのに気づいた。
「セティ、ストロー欲しい」
「ん? でも上手に出来ないだろ、苦しいぞ」
「出来るようにやる」
セティは収納のお部屋からストローを出してくれた。細い筒をジュースに刺す。それから少し吸ったら、ジュースの色が見えた。口に入るまでゆっくり吸って、甘いのが入ったところで離す。ジュースが下まで落ちた。
はぁ、はぁ……息が苦しいけど出来た。次はもう少し早く吸わないと、また苦しくなる。
セティはこの部屋は今日でおしまいって言ってた。出した服や靴、食器を手早く収納へ入れてる。何もないところへ捨ててるみたいに見えた。やっぱり不思議。
喉の奥に入らないように飲み終わった。ほっとした僕の頭をセティが撫でる。
「上手に出来たな」
「うん」
「さすがはイシスだ。いい子だ、賢いぞ」
朝の明るい光が外から入ってきて、セティを後ろから照らした。
「いい時間だな。出かけよう」
今日の僕は足元がひらひらした服。長いけど、踏まないくらい。青くてピカピカの黄色が入ってる。同じ青い靴で、髪にも青い紐を結んでくれた。
セティが同じ色の服を着てる。嬉しくなって声を上げた。
「セティ、同じ。青! 僕知ってる、青」
同じ色の服を着るのがすごく嬉しい。仲良しの印みたい。するとセティが抱っこしてキスをいっぱいしてくれた。
「ほんっと、理性もつかな」
何か言った? 時々、セティは僕が知らない言葉を使う。早く覚えて、僕も答えられるようになりたいな。
セティとうんと仲良くなりたい。少し擽ったいけど、毎日続けたら擽ったいのはなくなるのかな。このお呪いするとよく眠れる気がした。
「おはよう、イシス」
朝、セティのキスで起きる。にっこり笑うセティにおはようと返して抱っこでベッドに座った。シーツが取れて……あれ? また僕は服を脱いじゃったの?
首や胸にたくさん、赤いのが出来てた。虫にちくっとされたり、叩かれた痕に似ている。でもつついても痛くなかった。
「これ、なに?」
「赤いのは、仲良くなった印だ。昨日のお呪いの痕だよ。数日すると消えるから、また何度もつけないといけないんだ」
「仲良しの印……消えちゃうの?」
全部消えて、セティが新しいの付けてくれなかったら、仲良くないのかも。どうしよう、毎日つけてもらわないと……。ぎゅっと拳を握ると、その上にセティの手が乗った。包むみたいにしてくれる。
「大丈夫、ずっと一緒にいるから付け直すよ」
「よかった」
にっこり笑う。顔を赤くしたセティが「反則だろ」って言ったけど、どういう意味だろう。セティも裸だった。すぐに服を着て、セティと部屋でご飯を食べる。
他の人がいない場所の方が静かだし、セティをずっと見てられるから好き。お膝に乗って、あーんして食べる。甘いジュースをもらって、昨日のストローがないのに気づいた。
「セティ、ストロー欲しい」
「ん? でも上手に出来ないだろ、苦しいぞ」
「出来るようにやる」
セティは収納のお部屋からストローを出してくれた。細い筒をジュースに刺す。それから少し吸ったら、ジュースの色が見えた。口に入るまでゆっくり吸って、甘いのが入ったところで離す。ジュースが下まで落ちた。
はぁ、はぁ……息が苦しいけど出来た。次はもう少し早く吸わないと、また苦しくなる。
セティはこの部屋は今日でおしまいって言ってた。出した服や靴、食器を手早く収納へ入れてる。何もないところへ捨ててるみたいに見えた。やっぱり不思議。
喉の奥に入らないように飲み終わった。ほっとした僕の頭をセティが撫でる。
「上手に出来たな」
「うん」
「さすがはイシスだ。いい子だ、賢いぞ」
朝の明るい光が外から入ってきて、セティを後ろから照らした。
「いい時間だな。出かけよう」
今日の僕は足元がひらひらした服。長いけど、踏まないくらい。青くてピカピカの黄色が入ってる。同じ青い靴で、髪にも青い紐を結んでくれた。
セティが同じ色の服を着てる。嬉しくなって声を上げた。
「セティ、同じ。青! 僕知ってる、青」
同じ色の服を着るのがすごく嬉しい。仲良しの印みたい。するとセティが抱っこしてキスをいっぱいしてくれた。
「ほんっと、理性もつかな」
何か言った? 時々、セティは僕が知らない言葉を使う。早く覚えて、僕も答えられるようになりたいな。
53
お気に入りに追加
1,274
あなたにおすすめの小説
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
【完結】少年王が望むは…
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
シュミレ国―――北の山脈に背を守られ、南の海が恵みを運ぶ国。
15歳の少年王エリヤは即位したばかりだった。両親を暗殺された彼を支えるは、執政ウィリアム一人。他の誰も信頼しない少年王は、彼に心を寄せていく。
恋ほど薄情ではなく、愛と呼ぶには尊敬や崇拝の感情が強すぎる―――小さな我侭すら戸惑うエリヤを、ウィリアムは幸せに出来るのか?
【注意事項】BL、R15、キスシーンあり、性的描写なし
【重複投稿】エブリスタ、アルファポリス、小説家になろう、カクヨム
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる