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28.純粋過ぎるのも罪だ(SIDEセティ)
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*****SIDE セティ
風呂に入れて気分を変えようと思っただけなのに、まさか握られるとは……思わなかった。触ってはダメかと問われれば、いずれは触ってもらいたいので嘘もつけず。中途半端な言葉にイシスは再び手を伸ばす。反射的に掴んでやめさせたが、本音を言えば興奮した。
子供の外見で色気はないが、可愛いと思う。だが欲情したら変態だろうと自分に言い聞かせた。ここは我慢のしどころだ。ぐっと堪えてイシスの気を逸らす。
「ご飯食べに行くぞ。ほら、先に上がれ」
湯船から出して部屋に押し出し、こっそり処理する。くそ……イシスを襲っちまえばよかったか。いや、あの小さな体にそれは無体過ぎる。壊したら取り返しがつかない。何より痛いと泣かれて嫌われたら、かなりショックを受けたはず。
湯の中に放った白濁を誤魔化すように流し、部屋に入るとびしょ濡れでイシスが立っていた。当然拭く様子もなく、黒髪からぽたぽたと水が滴る。この場面で初めて……イシスに色気を感じた。ただ立っているだけのガキだぞ? 自分に言い聞かせても、処理したはずの欲が反応しそうになる。
なんてこった。こんなの、反則だろ。イシスが可愛いのが悪いという理不尽な呟きを飲み込み、自分の理性の脆さを嘆いた。荒ぶる神と称されたが、こんな部位まで荒ぶらなくてもいいだろ。
「風呂から出たら温かくしないと、腹や頭が痛くなるぞ」
もっともらしい言葉で誤魔化し、震える手で布越しにイシスに触れた。直接触ったら理性が木っ端微塵に砕けそうな気がする。素直に拭かれたイシスがにっこり笑う。この子は知っていて煽っているのか? そう思うタイミングだが、間違いなく無垢なだけだ。勘違いして手を出したら大罪だと自らを戒めた。
食事は部屋に運ばせる。少し金を弾めば、宿の人間も嫌とは言わない。イシスが好む薄味の魚を中心に用意させ、スープはポタージュ系の重いものを選んだ。今日はイシスを膝に乗せて食べるのはやめる。その決意は、すぐに崩れた。
一人で食べるように言い聞かせ、向かい合わせに座らせた途端、イシスは俯いた。目の前にカトラリーを並べれば、ずずっと鼻を啜る音が聞こえる。
「イシス?」
「僕、セティに嫌われた」
ぽたぽたと大粒の涙をこぼして泣く子供に勝てず、そんなことはないと膝に乗せた。おずおずと伸ばす手に頷き、安心させようと努める。微笑んでスープを掬ったスプーンを差し出した。
「あーん」
口を開いた雛のような姿に、まさかの反応。くそっ、鎮まれ。やや頭をもたげた欲を叱咤し、何もなかったようにパンを渡す。その間に魚を解し始めた。肉にしなくてよかった。そう考えながら、わずかな小骨まで微に入り細に入り拾う。
「セティ、これ……大変なの?」
じっと見つめるセティの紫水晶の瞳から目を逸らしそうになる。純粋過ぎるのも罪だ。別の神が口にした言葉の意味を実感した。確かにこれは罪だろう。逆らえない。
「もう終わるよ。はい、あーん」
フォークで切り身を差し出せば、ぱくりと口に入れて嬉しそうに両手で頬を包んだ。なんてことはない食事風景のはずだ。好物を食べた時の子供の反応なんて、そう変わらないはずなのに。
あのほんのり色づいた唇が開いて、赤い舌がちらりと覗き、ぱくりと口を閉じる仕草さえ、すべてが色に通じる。己の趣味を自問自答しながら、修行のような食事を終えたオレは疲れていた。
「今日は休もう」
「わかった」
当然のように隣に滑り込んだ子供を抱き寄せながら、オレは己の理性の限界を試すこととなった。
風呂に入れて気分を変えようと思っただけなのに、まさか握られるとは……思わなかった。触ってはダメかと問われれば、いずれは触ってもらいたいので嘘もつけず。中途半端な言葉にイシスは再び手を伸ばす。反射的に掴んでやめさせたが、本音を言えば興奮した。
子供の外見で色気はないが、可愛いと思う。だが欲情したら変態だろうと自分に言い聞かせた。ここは我慢のしどころだ。ぐっと堪えてイシスの気を逸らす。
「ご飯食べに行くぞ。ほら、先に上がれ」
湯船から出して部屋に押し出し、こっそり処理する。くそ……イシスを襲っちまえばよかったか。いや、あの小さな体にそれは無体過ぎる。壊したら取り返しがつかない。何より痛いと泣かれて嫌われたら、かなりショックを受けたはず。
湯の中に放った白濁を誤魔化すように流し、部屋に入るとびしょ濡れでイシスが立っていた。当然拭く様子もなく、黒髪からぽたぽたと水が滴る。この場面で初めて……イシスに色気を感じた。ただ立っているだけのガキだぞ? 自分に言い聞かせても、処理したはずの欲が反応しそうになる。
なんてこった。こんなの、反則だろ。イシスが可愛いのが悪いという理不尽な呟きを飲み込み、自分の理性の脆さを嘆いた。荒ぶる神と称されたが、こんな部位まで荒ぶらなくてもいいだろ。
「風呂から出たら温かくしないと、腹や頭が痛くなるぞ」
もっともらしい言葉で誤魔化し、震える手で布越しにイシスに触れた。直接触ったら理性が木っ端微塵に砕けそうな気がする。素直に拭かれたイシスがにっこり笑う。この子は知っていて煽っているのか? そう思うタイミングだが、間違いなく無垢なだけだ。勘違いして手を出したら大罪だと自らを戒めた。
食事は部屋に運ばせる。少し金を弾めば、宿の人間も嫌とは言わない。イシスが好む薄味の魚を中心に用意させ、スープはポタージュ系の重いものを選んだ。今日はイシスを膝に乗せて食べるのはやめる。その決意は、すぐに崩れた。
一人で食べるように言い聞かせ、向かい合わせに座らせた途端、イシスは俯いた。目の前にカトラリーを並べれば、ずずっと鼻を啜る音が聞こえる。
「イシス?」
「僕、セティに嫌われた」
ぽたぽたと大粒の涙をこぼして泣く子供に勝てず、そんなことはないと膝に乗せた。おずおずと伸ばす手に頷き、安心させようと努める。微笑んでスープを掬ったスプーンを差し出した。
「あーん」
口を開いた雛のような姿に、まさかの反応。くそっ、鎮まれ。やや頭をもたげた欲を叱咤し、何もなかったようにパンを渡す。その間に魚を解し始めた。肉にしなくてよかった。そう考えながら、わずかな小骨まで微に入り細に入り拾う。
「セティ、これ……大変なの?」
じっと見つめるセティの紫水晶の瞳から目を逸らしそうになる。純粋過ぎるのも罪だ。別の神が口にした言葉の意味を実感した。確かにこれは罪だろう。逆らえない。
「もう終わるよ。はい、あーん」
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あのほんのり色づいた唇が開いて、赤い舌がちらりと覗き、ぱくりと口を閉じる仕草さえ、すべてが色に通じる。己の趣味を自問自答しながら、修行のような食事を終えたオレは疲れていた。
「今日は休もう」
「わかった」
当然のように隣に滑り込んだ子供を抱き寄せながら、オレは己の理性の限界を試すこととなった。
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