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第十八章 新たなる戦の火種
第71話 北の大国で家具探し(1)
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迷宮巡りの次の行き先を考える魔性達をよそに、ルリアージェはジルの城の家具に興味を示していた。新しい家具が増えていたのだが、そのテーブルの彫刻が素晴らしい。猫足なのは貴族用だからか。見た目重視の家具は、天板のカーブも滑らかで手触りが良かった。
「リア、次の……どうした?」
テーブルの前にしゃがみこんで眺めているルリアージェに気付き、ジルが言葉を止めた。一緒に隣に座り込んで首をかしげると、彫刻を撫でる彼女の指先に気付く。
「気に入ったのかな」
微笑ましげに呟くジルへ、ルリアージェが大きく頷いた。
「この彫刻は美しいな。こういう家具は贅沢品だから滅多に手に入らなかったが、王族の部屋に沢山あったから目ばかり肥えてしまった」
テラレス王城に勤めていた宮廷魔術師が簡単に手に出来る家具ではない。最高級の素材と職人の腕が揃って、初めて生み出される名品だった。うっとりと撫でるルリアージェの様子に、ジルは行き先の変更を提案する。
「次はツガシエにしようか。リュジアン同様、家具の名産地だ」
「そうね、リアの希望なら家具屋巡りもいいわ」
「反対する理由がありません」
ライラとリシュアが同意し、パウリーネも微笑んで頷く。ふと気付いたルリアージェが見回すと、リオネルがいなかった。
「リオネルはどうした?」
「調査に行ったぞ。何か気になるらしい」
「そうか」
魔性達が自分に付き合って四六時中側にいろ、なんて考えないルリアージェはすぐ納得する。ジルもライラだって、動きたいなら勝手に出かけてくれていい。ただ彼らは気を使っているのか、ルリアージェが寝ている時間しか城を空けないが。
優しさや気遣いからの行動を咎める気はないので、ルリアージェは気付きながらも指摘しなかった。彼らが一緒にいたいと思ってくれる気持ちを、素直に嬉しいと感じる。
「ツガシエで家具……あちこち見て回れるだろうか」
「あの国なら高級家具が並ぶのは王都、あとは職人が住む地方のサイワットですか」
リシュアが都市の名前を挙げると、聞き覚えのある地名にルリアージェの目が輝いた。サイワットは家具好きにとって聖地のような場所だ。家具職人がこぞって工房を持ちたがるが、本当に認められた実力者しか店や工房を構えることを許されない。
「サイワットは行きたい!」
絶対に素晴らしい家具と出会える。買えなくても見るだけでも……まだ貧乏性の考えが抜けないルリアージェの喜びように、ジルが即決した。
「よし、次は家具探しでツガシエだ」
「リア、次の……どうした?」
テーブルの前にしゃがみこんで眺めているルリアージェに気付き、ジルが言葉を止めた。一緒に隣に座り込んで首をかしげると、彫刻を撫でる彼女の指先に気付く。
「気に入ったのかな」
微笑ましげに呟くジルへ、ルリアージェが大きく頷いた。
「この彫刻は美しいな。こういう家具は贅沢品だから滅多に手に入らなかったが、王族の部屋に沢山あったから目ばかり肥えてしまった」
テラレス王城に勤めていた宮廷魔術師が簡単に手に出来る家具ではない。最高級の素材と職人の腕が揃って、初めて生み出される名品だった。うっとりと撫でるルリアージェの様子に、ジルは行き先の変更を提案する。
「次はツガシエにしようか。リュジアン同様、家具の名産地だ」
「そうね、リアの希望なら家具屋巡りもいいわ」
「反対する理由がありません」
ライラとリシュアが同意し、パウリーネも微笑んで頷く。ふと気付いたルリアージェが見回すと、リオネルがいなかった。
「リオネルはどうした?」
「調査に行ったぞ。何か気になるらしい」
「そうか」
魔性達が自分に付き合って四六時中側にいろ、なんて考えないルリアージェはすぐ納得する。ジルもライラだって、動きたいなら勝手に出かけてくれていい。ただ彼らは気を使っているのか、ルリアージェが寝ている時間しか城を空けないが。
優しさや気遣いからの行動を咎める気はないので、ルリアージェは気付きながらも指摘しなかった。彼らが一緒にいたいと思ってくれる気持ちを、素直に嬉しいと感じる。
「ツガシエで家具……あちこち見て回れるだろうか」
「あの国なら高級家具が並ぶのは王都、あとは職人が住む地方のサイワットですか」
リシュアが都市の名前を挙げると、聞き覚えのある地名にルリアージェの目が輝いた。サイワットは家具好きにとって聖地のような場所だ。家具職人がこぞって工房を持ちたがるが、本当に認められた実力者しか店や工房を構えることを許されない。
「サイワットは行きたい!」
絶対に素晴らしい家具と出会える。買えなくても見るだけでも……まだ貧乏性の考えが抜けないルリアージェの喜びように、ジルが即決した。
「よし、次は家具探しでツガシエだ」
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