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第19章 出産ラッシュ再び?
345.保育所の喧嘩で魔王召喚
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この頃のイヴの日課は、朝起きて保育所へ行く支度をしたらご飯を食べる。ルシファーに保育所へ連れて行ってもらう前に、リリスに確認することも忘れてはいけない。
真剣な顔で近づき、リリスのお腹に耳を押し当てた。聞こえる音を確認し、顔を上げて大好きなママに尋ねる。
「ママ、弟はいつ出てくるの?」
「まだ先よ」
「今日は出てこない?」
「もっとずっと先」
それを聞いてホッとする。早く出てき欲しいが、保育所へ行っている間に出てきたら嫌だ。出てきてすぐに、私がお姉ちゃんだと教えるつもりだった。
にこにこしながら見守るルシファーと手を繋ぎ、リリスへ手を振る。一緒に保育所へ向かい、着いたらアイカお姉ちゃんと遊ぶのだ。ゴルティーやマーリーン、最近では別のグループの子とも遊んでいた。
徐々に交友関係が広がり、一緒に遊んでも名前も知らない子もいる。でも楽しく遊べているので、誰も問題視しなかった。保育士のガミジンの種族はユニコーンなので、背に子どもがよじ登りたがる。落とさないために足を畳んで座り、自由にさせた。
「うわぁあああ! イヴのぉ!!」
突然泣き出したイヴが、目の前にいた女の子の顔を叩いた。叩かれた子は目を見開き、大きく息を吸い込む。と同時に泣き出した。
「いたぁあああ! きらい! こないで」
手にしたお人形を投げつける。顔に当たったイヴがさらに泣き、大きなぬいぐるみを手に叩いた。親が持たせた結界魔法陣が作動する幼女だが、顔面にぬいぐるみが激突する。運悪く、熊のぬいぐるみの鼻が歯に当たり……すごい音で折れた。
「ケンカはダメだぞ」
間に入るガミジンだが、彼の結界もぬいぐるみに突破され、激しく叩かれる。
「あ、いてっ! ちょ……イヴちゃん! こら、お姉さんになるんでしょ」
ぴたっとぬいぐるみが止まった。無効化を使って、幼女やガミジンの結界を撃破したイヴは最強だ。しかし熊のぬいぐるみをくしゃりと抱き締め、ちょっと困った顔をしている。怒られる気がする。
「イヴちゃん、誰かを叩いてはダメだよ。結界を壊すのもいけない。でも……どうして叩いたの?」
泣きそうな顔でぬいぐるみを抱いたイヴは、唇を尖らせて顔をくしゃくしゃにした。見かねて、ゴルティーが口を開く。
「あのね、イヴが遊んでた熊を、その子が奪おうとしたの。貸してって言わなかったんだ」
ずっと見ていた琥珀竜の言葉に、ガミジンは向きを変えて泣き続ける幼女の歯を拾う。手招きして、泣く女の子を治療した。幻獣であるユニコーンは一定の条件を満たせば、他者の治療が可能だ。
歯の痛みが止まった女の子は、しゃくりあげながらイヴを睨んだ。イヴは俯いたまま唇を尖らせる。もうすぐお姉ちゃんになるから、我慢する。でも私は悪くない。そう全身で訴えていた。
「サライちゃんは、イヴちゃんにごめんなさいして。イヴちゃんもやり過ぎだったから、ごめんなさいする。出来る?」
サライは「いや」と拒否し、イヴは考え込んでしまった。ちゃんと謝れないと、お姉ちゃんになれないのではないか? でも意地悪した子に謝るのは嫌だ。迷うイヴは最強の呪文を使った。
「パッパ」
「パパだぞ、イヴぅ」
保育所に魔王が降臨する。黒衣の純白魔王は、美しい髪が床に散らばるのも気にせず、愛娘の隣に腰を下ろした。
「どうした? 何かあったのか」
泣いた跡が残る頬を撫でた指先を、足元から伸びた手が掴む。ルシファーの影から現れたアスタロトは、溜め息を吐いた。
「イヴ姫が呼んだので、駆けつけたと?」
「その通りだ」
「仕事を投げ出すほどの重大事件とは思えません」
イヴはさらに困ってしまった。お姉ちゃんになるため、嫌な子にも謝るのか聞こうとしただけなのに、パッパがアシュタに怒られている……どうしよう。後ろからぽんと肩を叩いた琥珀竜は、真理を一言。
「関わらなくていいと思うよ」
真剣な顔で近づき、リリスのお腹に耳を押し当てた。聞こえる音を確認し、顔を上げて大好きなママに尋ねる。
「ママ、弟はいつ出てくるの?」
「まだ先よ」
「今日は出てこない?」
「もっとずっと先」
それを聞いてホッとする。早く出てき欲しいが、保育所へ行っている間に出てきたら嫌だ。出てきてすぐに、私がお姉ちゃんだと教えるつもりだった。
にこにこしながら見守るルシファーと手を繋ぎ、リリスへ手を振る。一緒に保育所へ向かい、着いたらアイカお姉ちゃんと遊ぶのだ。ゴルティーやマーリーン、最近では別のグループの子とも遊んでいた。
徐々に交友関係が広がり、一緒に遊んでも名前も知らない子もいる。でも楽しく遊べているので、誰も問題視しなかった。保育士のガミジンの種族はユニコーンなので、背に子どもがよじ登りたがる。落とさないために足を畳んで座り、自由にさせた。
「うわぁあああ! イヴのぉ!!」
突然泣き出したイヴが、目の前にいた女の子の顔を叩いた。叩かれた子は目を見開き、大きく息を吸い込む。と同時に泣き出した。
「いたぁあああ! きらい! こないで」
手にしたお人形を投げつける。顔に当たったイヴがさらに泣き、大きなぬいぐるみを手に叩いた。親が持たせた結界魔法陣が作動する幼女だが、顔面にぬいぐるみが激突する。運悪く、熊のぬいぐるみの鼻が歯に当たり……すごい音で折れた。
「ケンカはダメだぞ」
間に入るガミジンだが、彼の結界もぬいぐるみに突破され、激しく叩かれる。
「あ、いてっ! ちょ……イヴちゃん! こら、お姉さんになるんでしょ」
ぴたっとぬいぐるみが止まった。無効化を使って、幼女やガミジンの結界を撃破したイヴは最強だ。しかし熊のぬいぐるみをくしゃりと抱き締め、ちょっと困った顔をしている。怒られる気がする。
「イヴちゃん、誰かを叩いてはダメだよ。結界を壊すのもいけない。でも……どうして叩いたの?」
泣きそうな顔でぬいぐるみを抱いたイヴは、唇を尖らせて顔をくしゃくしゃにした。見かねて、ゴルティーが口を開く。
「あのね、イヴが遊んでた熊を、その子が奪おうとしたの。貸してって言わなかったんだ」
ずっと見ていた琥珀竜の言葉に、ガミジンは向きを変えて泣き続ける幼女の歯を拾う。手招きして、泣く女の子を治療した。幻獣であるユニコーンは一定の条件を満たせば、他者の治療が可能だ。
歯の痛みが止まった女の子は、しゃくりあげながらイヴを睨んだ。イヴは俯いたまま唇を尖らせる。もうすぐお姉ちゃんになるから、我慢する。でも私は悪くない。そう全身で訴えていた。
「サライちゃんは、イヴちゃんにごめんなさいして。イヴちゃんもやり過ぎだったから、ごめんなさいする。出来る?」
サライは「いや」と拒否し、イヴは考え込んでしまった。ちゃんと謝れないと、お姉ちゃんになれないのではないか? でも意地悪した子に謝るのは嫌だ。迷うイヴは最強の呪文を使った。
「パッパ」
「パパだぞ、イヴぅ」
保育所に魔王が降臨する。黒衣の純白魔王は、美しい髪が床に散らばるのも気にせず、愛娘の隣に腰を下ろした。
「どうした? 何かあったのか」
泣いた跡が残る頬を撫でた指先を、足元から伸びた手が掴む。ルシファーの影から現れたアスタロトは、溜め息を吐いた。
「イヴ姫が呼んだので、駆けつけたと?」
「その通りだ」
「仕事を投げ出すほどの重大事件とは思えません」
イヴはさらに困ってしまった。お姉ちゃんになるため、嫌な子にも謝るのか聞こうとしただけなのに、パッパがアシュタに怒られている……どうしよう。後ろからぽんと肩を叩いた琥珀竜は、真理を一言。
「関わらなくていいと思うよ」
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