21 / 153
20.贈り物の箱をいっぱい開けた
しおりを挟む
柔らかなベッドで眠り、起きるとお水を飲む。濁った泥水じゃなくて、綺麗に透き通ったお水だよ。それに甘酸っぱい匂いがする果物が入っていた。ごくりと飲んで、もう一口。結局最後まで飲んでしまったけど、誰も叱る人がいない。
僕に怒鳴ったり手を挙げる人がいないだけじゃなく、目が覚めると優しいアスティがいる。僕を好きと言ってくれた。抱き締めて、特別な唇のキスをする人。
僕には宝物はなかったけど、もし今ならアスティが宝だと思う。他の物はなくなっても我慢できるけど、アスティがいないのは絶対に無理だから。
「一緒に贈り物を開けましょう。きっとカイが気に入る物があるわよ」
アスティ以上の宝物はないけど、頷く。ベッドから降りたら、足が冷えないように室内用の靴を履く。後ろに踵を押さえる部分がなくて、お部屋専用なの。歩くとぺたぺたと音がした。
柔らかい絨毯に、たくさんのクッションを並べて座る。侍女のお姉さん達が、お手伝いに来た。
「どれがいい?」
「分からない、どれがいいの?」
同じことを聞き返すと殴られたりしたけど、アスティはしないから。分からないと素直に伝えた。にっこり笑ったアスティの指示で、上から順番に開ける。上は小さな箱が多くて、下は大きな箱ばっかり。中の物が違うのかな、それともたくさん量があるのかも。
上の赤い箱のリボンを解いて、僕の前に置かれる。僕を膝に乗せたアスティを振り仰ぐと、にこにこと促された。
「開けてみて」
「うん!」
僕ね、プレゼントの箱を開けるの初めて。お母さんがくれるときは箱じゃなかったし、他の人が開けてるのは見たことがあった。花模様の赤い箱を開けると、さらに箱が入ってる。外は紙の箱で、中は布の手触りの箱だった。
開けると蓋が上で止まる。中にきらきらした鳥が入っていた。僕の手のひらくらいある鳥は、銀色で緑や黄色の石が埋められてる。目の色は赤だった。
「きれぇ」
「ブローチね。幸運を運ぶ鳥のモチーフだから、胸元や帽子につけても可愛いわ」
ブローチは胸や帽子に着ける飾りと教えてもらった。箱にしまって渡すと、侍女さんが少し離れた机に置く。あとで纏めて片付けるんだね。次の箱は指輪、大きい青い粒の宝石が光ってる。
そこからたくさんの宝石が続いて、小さな箱が終わった。小さな箱は全部宝石だったのかな。次はもう少し大きい箱、開けると帽子やバッグ、靴がいっぱい。
「これは私ので、こっちはカイのね」
同じ色とデザインで、でも大きさが違うの。一緒に履いたら、仲良しみたいに見えるかな。どきどきしながら尋ねたら、一緒に履こうと約束がもらえた。帽子、スカーフ、靴、クッションや毛布、さまざまな物が並んだ。
「お店みたい」
「そうね。次はもっと大きな箱よ」
侍女のお姉さんが開けて見せた箱は、お洋服が入っていた。小さい僕用がほとんどで、ときどきアスティとお揃いの箱もある。
「これ、広間にいた人達がくれたの?」
頷くアスティが「竜族は番が見つかると、お互いに贈り物をする習慣がある」という話。今回は僕がもらった。だから別の誰かに番が見つかったら、今度はあげる側になるんだって。
「その時は一緒に選びましょうね」
僕も一緒に選んでいいの? 嬉しくて笑顔になった。くしゃっと顔が歪んだけど、嫌いにならないでね。
僕に怒鳴ったり手を挙げる人がいないだけじゃなく、目が覚めると優しいアスティがいる。僕を好きと言ってくれた。抱き締めて、特別な唇のキスをする人。
僕には宝物はなかったけど、もし今ならアスティが宝だと思う。他の物はなくなっても我慢できるけど、アスティがいないのは絶対に無理だから。
「一緒に贈り物を開けましょう。きっとカイが気に入る物があるわよ」
アスティ以上の宝物はないけど、頷く。ベッドから降りたら、足が冷えないように室内用の靴を履く。後ろに踵を押さえる部分がなくて、お部屋専用なの。歩くとぺたぺたと音がした。
柔らかい絨毯に、たくさんのクッションを並べて座る。侍女のお姉さん達が、お手伝いに来た。
「どれがいい?」
「分からない、どれがいいの?」
同じことを聞き返すと殴られたりしたけど、アスティはしないから。分からないと素直に伝えた。にっこり笑ったアスティの指示で、上から順番に開ける。上は小さな箱が多くて、下は大きな箱ばっかり。中の物が違うのかな、それともたくさん量があるのかも。
上の赤い箱のリボンを解いて、僕の前に置かれる。僕を膝に乗せたアスティを振り仰ぐと、にこにこと促された。
「開けてみて」
「うん!」
僕ね、プレゼントの箱を開けるの初めて。お母さんがくれるときは箱じゃなかったし、他の人が開けてるのは見たことがあった。花模様の赤い箱を開けると、さらに箱が入ってる。外は紙の箱で、中は布の手触りの箱だった。
開けると蓋が上で止まる。中にきらきらした鳥が入っていた。僕の手のひらくらいある鳥は、銀色で緑や黄色の石が埋められてる。目の色は赤だった。
「きれぇ」
「ブローチね。幸運を運ぶ鳥のモチーフだから、胸元や帽子につけても可愛いわ」
ブローチは胸や帽子に着ける飾りと教えてもらった。箱にしまって渡すと、侍女さんが少し離れた机に置く。あとで纏めて片付けるんだね。次の箱は指輪、大きい青い粒の宝石が光ってる。
そこからたくさんの宝石が続いて、小さな箱が終わった。小さな箱は全部宝石だったのかな。次はもう少し大きい箱、開けると帽子やバッグ、靴がいっぱい。
「これは私ので、こっちはカイのね」
同じ色とデザインで、でも大きさが違うの。一緒に履いたら、仲良しみたいに見えるかな。どきどきしながら尋ねたら、一緒に履こうと約束がもらえた。帽子、スカーフ、靴、クッションや毛布、さまざまな物が並んだ。
「お店みたい」
「そうね。次はもっと大きな箱よ」
侍女のお姉さんが開けて見せた箱は、お洋服が入っていた。小さい僕用がほとんどで、ときどきアスティとお揃いの箱もある。
「これ、広間にいた人達がくれたの?」
頷くアスティが「竜族は番が見つかると、お互いに贈り物をする習慣がある」という話。今回は僕がもらった。だから別の誰かに番が見つかったら、今度はあげる側になるんだって。
「その時は一緒に選びましょうね」
僕も一緒に選んでいいの? 嬉しくて笑顔になった。くしゃっと顔が歪んだけど、嫌いにならないでね。
42
お気に入りに追加
468
あなたにおすすめの小説

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。

私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる