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17.番が見つかるとお祝いするんだって

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 一緒に寝て起きたら、お仕事に行くと聞いた。僕は待ってるのかと思ったら、一緒に行っても平気だって。抱っこされて着いたお部屋は、すごく広かった。

 大きいドラゴンのボリスが、すっぽり入るくらいだよ。上に綺麗な光る天井があって、きらきらと光が落ちてきた。ステンドグラスと呼ぶの。教えてもらって覚える。ステンドグラスは天井のガラスを変えると、違う色に出来るみたい。ドラゴンの絵になってる今の天井が好きだよ。

 アスティのお膝に座った僕の上に、赤い色の光が降ってきた。これも時間が経つと違う場所へ光が移動する。知らなかったことを覚えるのは楽しかった。僕は嬉しくて、聞きながら頷く。

「我らが竜女王陛下にご挨拶申し上げます。番様と出会えたと聞き、お祝いに駆けつけました」

「ご苦労。この子が私の番、カイよ。傷つける者は神であろうと滅ぼすわ」

 アスティが声を出すと、部屋中に響いた。そんなに大きな声じゃなかったと思う。並んでる人は綺麗な服の人ばかりで、髪も金や銀、赤、青と色々いた。皆、綺麗な人ばかり。

 順番に挨拶してくれた。聞いたことのない響きの名前ばかりで、長くて難しい。アスティは聞いて頷くだけでいいと言った。覚えるのは、アスティが紹介した人だけでいいの。ボリスは覚えたよ。本当はボリスも長いお名前があるみたい。今度教えてもらおう。

 ご挨拶した人は、いろんな物をくれた。光る石がついた飾りは、髪や首に飾るやつだ。見たことあるよ。もっと小さい輪っかは何するんだろう。首を傾げて見ていたら、アスティが指に付けた。ぴたりと入ったのを見て、使い方を覚える。指に飾るんだね。じゃあ、もう少し大きいのは腕に巻くのかな。首は入れられないと思う。

 こっそり尋ねたら、そうだよと頷いてくれた。絵が描かれたお皿、銀色の食器、艶があるすべすべの布。いっぱいもらって、僕はいっぱいお礼を言った。

 お名前は覚えてないけど、お顔はわかる。ありがとうと言うたびに、アスティは嬉しそうだし、物をくれた人も喜んだ。積み重なったたくさんの贈り物を見ていたら、女性が瓶に入った物を僕に差し出す。

「金平糖というお菓子です。喜んでいただけるかしら」

 こんぺいとう? 初めて聞くお菓子だった。受け取った瓶は、女の人が持ってた時は軽そうだったのに、受け取ったら重い。縦に線が入った瓶は表面に飾りが入って、触ったら壊れそう。恐る恐る抱き抱えた。

「ひとつ食べてみる?」

 アスティが上の蓋をとる。天辺に鳥の飾りが付いた瓶は、鳥籠の形なんだって。上が柔らかく丸い形をしていて、下はすとんと真っ直ぐ。鳥籠なのに、鳥は外についてるんだね。そう言ったら皆が「まあ、本当に」って頷いた。

 瓶の中はお星様がいっぱい。小さな棘がついたお菓子を、アスティは手で摘んだ。

「痛くないの?」

「痛くないわよ。甘くて美味しいんだから、きっと気にいるわ」

 アスティがまず口に入れる。それを見て「あーん」の合図で口を開けた。ころんと音を立てて入ってきた金平糖は、飴じゃない。でも甘かった。ころころしても、口に刺さらないんだよ。

「美味しい?」

「うん、ありがとう」

 僕を見て待っている女の人にお礼をする。ぺこっとしたら、周りの人が皆で頭を下げるから、びっくりしちゃった。
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