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75.大きな魚を獲ろう
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新しいお家は、いろんな人が訪ねてくる。大きいから、泊まっていく人もいるんだ。今日は猫さんが遊びに来た。
「何をして遊ぶ?」
「そうさのぉ、狩りはどうか。これだけの人数がおれば、食料はいくらあっても構わんだろ」
たくさん住んでいるから、獲物もいっぱい必要って意味だね。最近は大人の会話も理解できることが増えたの。
「僕ね、今日はお魚食べたい! こんなにおっきいの!!」
両手を広げて僕の体くらいの大きさを示す。すると目を細めて、猫さんは笑った。大きい魚は湖や川に少ないから、海まで獲りに行く。僕は泳げるからいいよと答えたら、護衛の人がいっぱいついた。
バラムとディー、フィルも一緒だって。フィルは泳ぎが得意な水竜だから、絶対に一緒に行くみたい。皆で遊ぶのは楽しいし、大きいお魚が獲れたら嬉しい。頷いたら、お父さんも参加すると言い出した。
会議があるので、アガリとヴラドおじさん、お母さんはお留守番だ。本当は会議にディーが出るはずなのに、アガリに押し付けたんだよ。頭をよしよしと撫でて、お魚の美味しいところをあげる約束をした。
ドラゴンがいっぱいなので空を飛んでいくけど、猫さんは走っていく。遠いよと心配したら、猫さんは秘密技があるんだとか。お父さんの背中に乗った僕は、見える景色に声を上げた。遠くまで森が広がっている。
森人族のシエル達が協力して、海の近くまで森を増やした。前に悪い人達が住んでいて、木を伐って燃やしたと聞いている。大樹さんは、木も痛みを感じると言っていた。
勝手に人のこと傷つけたらいけないんだよ。悪い人達は消えて、少しだけ海のそばに残っている。だから護衛がいっぱい必要なんだ。僕は魔力もあるし、剣術も習った。それでも心配する家族や仲間がいるから、護衛がいるのは嬉しい。
バラムもフィルも、ドラゴンの姿で飛ぶ。ディーは僕を乗せたかったと不満そうだけど、お父さんの背に乗るのは久しぶりなの。アガリにお仕事を押し付けたから、ディーは一回休み。
茂った葉っぱと枝が緑色の絨毯みたいで、猫さんの姿は見えない。黒と灰色だから、葉っぱの下の暗い部分を走ると全然わからなかった。ドラゴンは速いけど、追いつけるのかな。
少しして、海の近くに到着する。海の青い水と白い砂、緑の森を確認するみたいに、お父さんは大きく円を描いて回った。その白い砂の上に、猫さんがいる!
「猫さんだ」
「ああ、やはり聖獣殿には敵わないか」
せーじゅー? 知らない言葉だけど、たぶん猫さんのことだね。お父さんは猫さんの近くに降りた。背中の鱗を滑って、僕は砂の上に足を付ける。靴を履いているのに、じわじわと熱かった。
「お父さん、足、熱い!」
「この季節はまだマシだが、もう少しすると熱くて歩けなくなるぞ」
「そうなの?」
お料理の火みたいに熱いけど、もっと熱くなるなんて。僕の知らないことは、まだまだたくさんあるね。ディー達も降りてきて、皆、人の形になった。
「大きいお魚はどこにいるの?」
「あの青い水の深いところだ」
お父さんが指さしたのは、ずっと向こう。ドラゴンの姿で向かうと聞いて、僕はえいやって魔力を巡らせた。赤いお父さんと違う僕の鱗は、綺麗なお日様色だ。今日は上手に変身できたかも。
「何をして遊ぶ?」
「そうさのぉ、狩りはどうか。これだけの人数がおれば、食料はいくらあっても構わんだろ」
たくさん住んでいるから、獲物もいっぱい必要って意味だね。最近は大人の会話も理解できることが増えたの。
「僕ね、今日はお魚食べたい! こんなにおっきいの!!」
両手を広げて僕の体くらいの大きさを示す。すると目を細めて、猫さんは笑った。大きい魚は湖や川に少ないから、海まで獲りに行く。僕は泳げるからいいよと答えたら、護衛の人がいっぱいついた。
バラムとディー、フィルも一緒だって。フィルは泳ぎが得意な水竜だから、絶対に一緒に行くみたい。皆で遊ぶのは楽しいし、大きいお魚が獲れたら嬉しい。頷いたら、お父さんも参加すると言い出した。
会議があるので、アガリとヴラドおじさん、お母さんはお留守番だ。本当は会議にディーが出るはずなのに、アガリに押し付けたんだよ。頭をよしよしと撫でて、お魚の美味しいところをあげる約束をした。
ドラゴンがいっぱいなので空を飛んでいくけど、猫さんは走っていく。遠いよと心配したら、猫さんは秘密技があるんだとか。お父さんの背中に乗った僕は、見える景色に声を上げた。遠くまで森が広がっている。
森人族のシエル達が協力して、海の近くまで森を増やした。前に悪い人達が住んでいて、木を伐って燃やしたと聞いている。大樹さんは、木も痛みを感じると言っていた。
勝手に人のこと傷つけたらいけないんだよ。悪い人達は消えて、少しだけ海のそばに残っている。だから護衛がいっぱい必要なんだ。僕は魔力もあるし、剣術も習った。それでも心配する家族や仲間がいるから、護衛がいるのは嬉しい。
バラムもフィルも、ドラゴンの姿で飛ぶ。ディーは僕を乗せたかったと不満そうだけど、お父さんの背に乗るのは久しぶりなの。アガリにお仕事を押し付けたから、ディーは一回休み。
茂った葉っぱと枝が緑色の絨毯みたいで、猫さんの姿は見えない。黒と灰色だから、葉っぱの下の暗い部分を走ると全然わからなかった。ドラゴンは速いけど、追いつけるのかな。
少しして、海の近くに到着する。海の青い水と白い砂、緑の森を確認するみたいに、お父さんは大きく円を描いて回った。その白い砂の上に、猫さんがいる!
「猫さんだ」
「ああ、やはり聖獣殿には敵わないか」
せーじゅー? 知らない言葉だけど、たぶん猫さんのことだね。お父さんは猫さんの近くに降りた。背中の鱗を滑って、僕は砂の上に足を付ける。靴を履いているのに、じわじわと熱かった。
「お父さん、足、熱い!」
「この季節はまだマシだが、もう少しすると熱くて歩けなくなるぞ」
「そうなの?」
お料理の火みたいに熱いけど、もっと熱くなるなんて。僕の知らないことは、まだまだたくさんあるね。ディー達も降りてきて、皆、人の形になった。
「大きいお魚はどこにいるの?」
「あの青い水の深いところだ」
お父さんが指さしたのは、ずっと向こう。ドラゴンの姿で向かうと聞いて、僕はえいやって魔力を巡らせた。赤いお父さんと違う僕の鱗は、綺麗なお日様色だ。今日は上手に変身できたかも。
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