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46.またね、の約束

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 お嫁さんはお花を喜んでくれた。それと、大きな木に咲いて落ちた白と赤のお花も見せる。驚いたあと、よかったわねと頭を撫でられた。

 これは森人族にとって、すごく名誉なことみたい。僕がお花をもらった話は、皆が知ってる。ご飯を食べるお家でも、いろんな人から声をかけられた。ほとんどが「おめでとう」だったの。

 僕もお花をもらえて嬉しいから「ありがとう」を返す。優しい人がいっぱいで嬉しかった。このお花は特別な力があるというけど、人によって効果は違う。教えてもらった話は、ちゃんと覚えておかないと。

 お嫁さんと赤ちゃんのお部屋で一日過ごして、明日は帰る日だ。もっといたいけど、ディーのお仕事が待ってるんだ。お仕事は大事だから、我慢だよ。赤ちゃんやお嫁さんのお部屋は、お泊まりができない。

 赤ちゃんと一緒に寝たかったのに。唇を尖らせた僕に、お嫁さんは新しい約束をくれた。指を絡めて揺らして離すの。お歌を歌って、約束をするのは初めてだった。

「約束を破ったら罰があるわ。だから必ず、いつでもいいから遊びにいらっしゃい」

「うん!」

 今度はアガリやフィル、バラムも一緒だと嬉しいな。お嫁さんは甘い香りがした。あと、ふわっと優しい匂いだ。どちらもお母さんに似ている。会いたくなっちゃった。

「帰ったら、アガリが行き先を決めて待ってるぞ。その次はフィルだったか?」

「うん、バラムも約束したの」

 僕が寂しい顔をしたから、ディーは明るい声で話しかける。僕も笑顔で答えた。約束がいっぱいだと知って、シエルが「人気者だな」と頭に触れる。撫でるより、置いた感じ。大人扱いかな。

「人気?」

「ああ、皆に大好きだと言われる人だ」

「そうなの? 嬉しいな」

 新しい言葉を覚えたよ。人気があるのは、僕を大好きな人がいっぱいいるから。じゃあ、僕が知っている人は全員、人気があるんだね。ディーは竜の王様で、皆がたくさん仲良くしてる。お仕事が上手で優しいアガリも同じ。

 強いバラムも、他のドラゴンの騎士の人と仲がいい。フィルも綺麗で優しいから、大好きな人がいっぱいいそう。シエルもお友達がいっぱいいるし、お嫁さんも素敵だ。僕の周りは人気者がたくさん!

 指で数えながらそう伝えたら、皆が笑顔になった。やっぱり当たってたんだ。お嫁さんとはお別れだから、ぎゅっと抱きついた。明日の朝、早くに帰るんだ。赤ちゃんも触らせてもらう。ふにゃふにゃで壊れそうだけど、きゅっと掴む指は強い。

 次に来るときは、名前が決まってるよね。僕はルン、名乗って名前を答えてもらうのが楽しみ。夜のご飯を食べて、白と赤のお花を花籠に入れて荷物へ載せた。お着替えして横になる。

 大きな木がずっと何か話しかけてくる。葉っぱが揺れて、枝が動いた。お家は少し揺れて、ドラゴンの背中に乗っている時みたい。

 寂しいの? 大丈夫、僕はまた戻ってくるよ。お嫁さんとも約束したし、赤ちゃんの名前も知りたいの。それに、白と赤のお花のお礼も持ってくるね。

 夢の中で、シエルと同じ色の人と話をする。大きくて、手のひらに僕が乗れた。綺麗な顔の人は、いっぱい話しかける。僕は一つずつ答えて、その時間がとても楽しかった。またお話ししたいな。
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