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41.約束がいっぱい
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ちゅーして、ようやく喧嘩は終わり。満足する僕の前で、二人は何か呟いている。そこへアガリがきた。僕が噴水に落ちた話を聞いたんだって。
「何をしていたんだ!」
バラムを叱るディーに、僕は唇を尖らせた。もう僕が許したの。説明すればわかってくれると思う。
僕が花籠が欲しいと言ったし、待ってる約束を破ったのも僕。一人で危ないことしたから、怒られるのは僕じゃないとおかしい。ディーは困った顔をして「わかった」と頷いた。
アガリはくすくす笑って、バラムの肩をぽんと叩いた。
「お疲れ様でした。今後は気をつけてください」
「はい、申し訳ございません」
このお話はここで終わり。シエルの奥さんのところへ行くのは、今日の夜から。摘んだお花を綺麗に飾らなくちゃ。花の籠は小さくて、その中に瓶が入っている。お花を差し込んで枯れないようにするんだ。それで大きな布に包んで、花を守るの。
バラムが籠を支える。僕が一本ずつ差し込んで、右や左から確認した。ゆっくりと籠を回してくれるバラムのおかげで、全部確認できたよ。
「もう行っちゃうのね」
フィルが残念だわと言いながら、僕を後ろから抱きしめた。お胸がぽよんと柔らかい。お母さんもよくやっていた。
「うんとね、シエルとお友達になったの。奥さんが赤ちゃん産んで、僕はお呼ばれしたんだよ」
すごいでしょ! 胸を張って尋ねれば、僕を膝に乗せたフィルが素敵ねと微笑む。いい匂いがするフィルの髪が、さらりと僕に触れた。ディーの赤とは違う銀色は、お花の匂いがする。今の僕も同じ匂いがするんだよ。お風呂の後、同じ匂いをつけてもらったの。
「楽しんでね。それと帰ってきたら遊びましょう」
「ほんとう?」
頷くフィルと約束をする。約束は破ったら罰があるんだ。絶対に守らないといけない。
いつもディーやアガリはお仕事があるから、バラムしかいない。フィルも遊んでくれるのは楽しみ。そう伝えたら、ディー達が申し訳なさそうな顔をした。
「朝と寝る時は一緒だからいいの」
一人じゃないから大丈夫だよ。
ここからは忙しかった。まずご飯を食べて、荷物を用意する。ほとんどは用意してもらってあって、最後の荷物は花の籠だった。全部まとめて箱に入れ、ディーが背負う準備をする。僕の椅子も一緒に並んでいた。
前より暖かい季節になったから、上着はいらない? こてりと首を傾げた僕に、空の上は寒いし夜だからと上着を差し出した。アガリが言うなら、寒いんだと思う。袖を通して、前を留めた。
ディーは眠らないで飛ぶ。昼間はお仕事していたのに、眠くならないのかな。
前回と同じように赤いドラゴンの背に乗って、皆に手を振った。バラムもアガリもフィルも、お留守番だよ。でも次はアガリと出かける。暗い空はお月様もいなくて、星も少しだけ。どっちへ向かうか見えないのに、ディーは方向を決めて羽を動かした。
どんどん速くなる。下を見ても黒ばっかりで、よくわからなかった。ディーが道に迷いませんように、お祈りした僕はあふっと欠伸をする。頑張って僕も起きていよう。ディーが一人で寂しいといけないから。
「何をしていたんだ!」
バラムを叱るディーに、僕は唇を尖らせた。もう僕が許したの。説明すればわかってくれると思う。
僕が花籠が欲しいと言ったし、待ってる約束を破ったのも僕。一人で危ないことしたから、怒られるのは僕じゃないとおかしい。ディーは困った顔をして「わかった」と頷いた。
アガリはくすくす笑って、バラムの肩をぽんと叩いた。
「お疲れ様でした。今後は気をつけてください」
「はい、申し訳ございません」
このお話はここで終わり。シエルの奥さんのところへ行くのは、今日の夜から。摘んだお花を綺麗に飾らなくちゃ。花の籠は小さくて、その中に瓶が入っている。お花を差し込んで枯れないようにするんだ。それで大きな布に包んで、花を守るの。
バラムが籠を支える。僕が一本ずつ差し込んで、右や左から確認した。ゆっくりと籠を回してくれるバラムのおかげで、全部確認できたよ。
「もう行っちゃうのね」
フィルが残念だわと言いながら、僕を後ろから抱きしめた。お胸がぽよんと柔らかい。お母さんもよくやっていた。
「うんとね、シエルとお友達になったの。奥さんが赤ちゃん産んで、僕はお呼ばれしたんだよ」
すごいでしょ! 胸を張って尋ねれば、僕を膝に乗せたフィルが素敵ねと微笑む。いい匂いがするフィルの髪が、さらりと僕に触れた。ディーの赤とは違う銀色は、お花の匂いがする。今の僕も同じ匂いがするんだよ。お風呂の後、同じ匂いをつけてもらったの。
「楽しんでね。それと帰ってきたら遊びましょう」
「ほんとう?」
頷くフィルと約束をする。約束は破ったら罰があるんだ。絶対に守らないといけない。
いつもディーやアガリはお仕事があるから、バラムしかいない。フィルも遊んでくれるのは楽しみ。そう伝えたら、ディー達が申し訳なさそうな顔をした。
「朝と寝る時は一緒だからいいの」
一人じゃないから大丈夫だよ。
ここからは忙しかった。まずご飯を食べて、荷物を用意する。ほとんどは用意してもらってあって、最後の荷物は花の籠だった。全部まとめて箱に入れ、ディーが背負う準備をする。僕の椅子も一緒に並んでいた。
前より暖かい季節になったから、上着はいらない? こてりと首を傾げた僕に、空の上は寒いし夜だからと上着を差し出した。アガリが言うなら、寒いんだと思う。袖を通して、前を留めた。
ディーは眠らないで飛ぶ。昼間はお仕事していたのに、眠くならないのかな。
前回と同じように赤いドラゴンの背に乗って、皆に手を振った。バラムもアガリもフィルも、お留守番だよ。でも次はアガリと出かける。暗い空はお月様もいなくて、星も少しだけ。どっちへ向かうか見えないのに、ディーは方向を決めて羽を動かした。
どんどん速くなる。下を見ても黒ばっかりで、よくわからなかった。ディーが道に迷いませんように、お祈りした僕はあふっと欠伸をする。頑張って僕も起きていよう。ディーが一人で寂しいといけないから。
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