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31.赤い糸で真珠を繋ぐ

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 新しい宝物の真珠は、横に穴が空いていた。覗いても向こう側が見えない、小さい穴だよ。そこへアガリは綺麗な糸を通してくれた。

 色は赤、僕が選んだの。青と、赤と、夜の黒、それから葉っぱの緑。いっぱいの色を見せてもらったけど、アガリやディーの色がいい。通してもらって、首から下げた。これなら無くさない!

「ありがとう!」

「どういたしまして。お風呂の時は外してくださいね」

 色が薄くなったりするから、お湯にはダメなんだって。気をつけるね。ディーのお部屋から入るお風呂は、アガリのお部屋からも入れるみたい。バラムのお話では、外のお庭を回っても入り口があるの。

「たくさんあるんだね」

「皆で入るからだよ」

 アガリのお話では、ここに住むドラゴンは皆、このお風呂を使っている。お湯を何度も入れ替えるの、大変そう。そう呟いたら、掃除はするけど、お湯はずっと流れっぱなしみたい。温泉といって、地面から湧いてくる。

「おんせん」

「ここは火山に近いので、熱いお湯が出ます」

 大きなお風呂の底から出てきて、外へ溢れていく。だからドラゴンの姿で入ると、足が熱いって教えてもらった。僕はドラゴンになれないから、足が熱いのは出来ない。

「バラムはドラゴンで入ったことある?」

「ええ、確かに底は熱いですよ」

 ちょっと気になるけど、熱いと怖いし。深いから僕は無理だね。ドラゴンでも熱いなら、僕は焼けちゃうかも。

「うん、どちらかというと溶けちゃう……かな?」

 お湯の時は溶けちゃうを使う。ちゃんと覚えたよ。頷く僕は、お散歩へ向かうことにした。右の手をアガリと繋いで、左はバラムに握ってもらう。並んで歩くと、僕が少し浮いちゃうの。足が届かないんだ。

「えいっ」

 足を縮めてぶら下がる。これはお父さんとお母さんが遊んでくれた時に覚えた。楽しいし、小さいうちしか出来ないのよと言ってた。だから今のうちに楽しむ。だって、お父さんやお母さんが起きる頃は、大きくなっちゃうかも。

「楽しそうですね」

「うん、お父さんとお母さんがしてくれたの」

 アガリはバラムに合図して、一緒に手を揺らしてくれた。前後に体が揺れて、すごく楽しい。笑い声が出て、お散歩なのに歩かないまま進んだ。

 お庭は何もない着陸のところと、お花が植えてある場所がある。今日はお花の方へ向かった。水が出てくる噴水もある。赤と白、黄色とピンク。それから紫のお花も咲いていた。

「綺麗だね」

「部屋に持って帰る?」

「ダメ。可哀想だよ」

 きっと痛いと思う。僕の羽も時々痛いから。毎日お薬を塗ってもらって、背中に畳んでるけど。まだ痛いんだ。千切ったら、僕みたいにお花も泣いちゃうよ。

「ルン様はお優しい」

「違うよ、皆も優しい」

 僕は知ってる。食堂でご飯を食べている時、周りのドラゴンの人は僕に手を振ってくれたり、微笑んでくれたりした。そういうの、優しいって言うんだ。

 お花は見るだけにして、僕達はお散歩を終えた。帰りももちろん、ぶらんと揺れて運んでもらったよ。
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